USCPA試験の合格率(Pass Rate)ってどのくらいなのか知りたいな。
合格率が高くて受けたらお得な時期ってあるのかな。
昔より今の方が試験も難しくなって、合格率が下がったりしてないのかな。
USCPA試験の合格率(Pass Rate)は、本当はあまり気にしなくていいと思うんだけど、気になるよね。
USCPA試験の直近の合格率はどのくらいなのか、日本の合格率は他の国と比べてどうなのか、昔と比べて合格率はどう変わったのか、合格率にはどのような傾向があるのか。
合格率について深堀りしていくね。
USCPA試験の合格率(Pass Rate)から何が分かる?
USCPA試験の合格率(Pass Rate)から何が分かるのでしょうか?
USCPA試験の合格率については、AICPAが四半期ごとに公表しています。
過去の合格率を見ていただくと分かるのですが、合格率は変動しています。
USCPA試験の合格率が変動するのは、試験の難易度が変動するからでしょうか。
いいえ、違います。
AICPAによれば、USCPA試験の合格率は「USCPA受験者がどれだけ試験の準備ができていたか」を示すものです。
つまり、合格率が高かったときは、試験が簡単だったわけではなく「しっかりと準備をして、試験に挑めた受験者が多かった」ということを示すということでしょう。
過去にさかのぼってみていくと、USCPA試験の合格率の変動には傾向があることが分かってきます。
ですが、このことを理解していれば、「合格率が高いときに自分も受験しよう」などという、的外れの受験計画をたてなくなるでしょう。
「合格率に惑わされないのが吉」ですが、とはいえ気になると思いますので、合格率について深堀りしていきます。
1.最近のUSCPA試験の合格率
まず、最近のUSCPA試験の合格率を見ていきましょう。
2020年度、2021年度、2022年度のUSCPA試験の合格率(小数点以下四捨五入)は、以下のようになります。
参照先:AICPA公表のUSCPA試験の合格率(CPA Pass Rate)
(1)2020年度のUSCPA試験の合格率
2020年度の合格率は、以下の通りです。
科目 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 累計 |
AUD | 48% | 65% | 57% | 48% | 53% |
BEC | 62% | 77% | 70% | 61% | 66% |
FAR | 46% | 63% | 56% | 44% | 50% |
REG | 55% | 75% | 66% | 58% | 62% |
2020年は、1年を通して、4科目とも合格率が高くなりました。
2020年のQ2とQ3の合格率は異常な高さで、Q2の合格率は、過去10年の中で最も高くなりました。
特に、BECの2020年Q2の合格率は、Q1より15%増の77%で過去最高だったそうです。
2020年の合格率の急上昇は、新型コロナが原因です。
世界のほとんどの地域でロックダウンが実行されていたため、受験者にとっては勉強時間が増え、勉強時間を奪うような用事が減っていました。
AICPAによれば、合格率が上がっただけでなく、スコアも向上していたそうです(4科目全てにおいて、MC問題、TBS問題、WC問題で通常よりスコアが良かったそうです。
2020年は特殊な年だったので、これから受験するあなたにとっては、あまり参考にはならないかもしれません。
ですが、過去の合格率と比較する際に間違った解釈をしないよう、急上昇した理由を挙げ、あえて記載しておきます。
(2)2021年度のUSCPA試験の合格率
2021年度の合格率は、以下の通りです。
科目 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 累計 |
AUD | 49% | 50% | 47% | 45% | 48% |
BEC | 62% | 63% | 62% | 60% | 62% |
FAR | 47% | 43% | 48% | 40% | 45% |
REG | 59% | 59% | 63% | 58% | 60% |
2021年Q1の合格率は、2020年Q1の合格率と大きな差異はありません。
2021年Q2の合格率は、2020年Q2の異常に高かった合格率と比較すると、通常に戻っていますが、FARの合格率が43%で下がっています。
理由については、不明です。
調査しましたし、AICPAに問い合わせもしましたが、AICPAからは返事がありませんでした(何かを問い合わせても分かるときは返事がくるので、返事がないのは分からないから?)。
2021年Q3の合格率は、AUDが47%でBECが62%で合格率が下がっていますが、2021年7月の試験内容の変更による影響だと考えられます。
2021年7月の試験内容の変更では、AUDとBECについては、増加した項目が多く負担が重くなりましたので、AUDとBECについては、準備が間に合わなかった受験生がいたことでしょう。
ちなみに、FARとREGについては、増加した項目が無く、削減した項目のみで負担が軽くなりましたので、合格率に影響はなかったようです。
2021年4Qの合格率は、まだAUDが45%でBECが60%で合格率は下がったままです。
そして、またFARの合格率が40%で下がっています(なぜなのかは不明です)。
(3)2022年度のUSCPA試験の合格率
2022年度の合格率は、以下の通りです。
科目 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 累計 |
AUD | 46% | 49% | 49% | 47% | 48% |
BEC | 57% | 62% | 60% | 60% | 60% |
FAR | 45% | 46% | 44% | 41% | 45% |
REG | 60% | 61% | 62% | 56% | 61% |
2023年3月時点では、2022年Q4の合格率まで公表されています。
2022年Q1の合格率は、REG以外は低水準にとどまっています。
特に、BECの合格率が57%で低いのが気になります。
もしかしたら、2024年1月からの新制度を踏まえて傾向が変化しているので、その影響かもしれません。
2022年Q2の合格率は、通常通り全科目で上がりました。
BECの合格率も62%で通常通りになりました。
2022年Q3の合格率も、特に変な動きをしている科目はないです。
試験内容の変更の影響がなく、十分に準備ができた受験生が多かったということではないでしょうか。
2022年Q4の合格率は、FARとREGが低いです。
FARの合格率が41%なのも気になりますが、REGの合格率が56%なのは特に低く感じます。
なぜこんなに下がったのか調査してみます。
2.日本を含めた国ごとのUSCPA試験の合格率
つぎに、日本を含めた国ごとのUSCPA試験の合格率を見ていきましょう。
(1)2018年度の国ごとのUSCPA試験の合格率
2018年の国ごとの合格率をサイトに記載している方がいたので、参考にさせていただきました(今は見られなくなってしまいましたので、リンクは削除しました)。
CPA受験者の数が多い上位5ヶ国の2018年の合格率は、以下の通りです。
ちなみに、米国を除けば、日本が一番CPA受験者が多いです。
国名 | 受験者数 | 合格率 |
日本 | 1,852名 | 43.1% |
インド | 1,378名 | 41.7% |
中国 | 1,283名 | 50.5% |
韓国 | 988名 | 48.3% |
カナダ | 327名 | 51.8% |
2018年の日本の受験者の合格率は43.1%だそうです。
このデータを見る限りは、日本の受験者の合格率はそこまで低くないと思うのですが、いかがでしょうか。
(2)最近の日本の受験者のUSCPA試験の合格率
NASBAが、日本の受験者の合格率の詳細データを公表したのは、2014年の分が最後です(もし、最近また公表していましたら、教えていただけると嬉しいです)。
2014年当時は、日本の受験者が年々減少しており、合格率もあまり高くなかったです(それは、日本だけではなく、全体的にですが)。
「日本の受験者の合格率は、実際はかなり低い、だまされるな(?)」などと言われたりしていますが、2014年当時のデータを見て言っている方が多いです。
2014年当時とは状況が変わっていますし、2014年のデータでは古過ぎではないでしょうか。
2014年当時は、日本でのUSCPAブームは去ったのかと思っていたのですが、最近は広告宣伝効果もあるのか、USCPAの認知度が上がり、色々な方がUSCPAに挑戦するようになっています。
さらに、日本で受験できるようになったので、気軽にUSCPA試験にチャレンジできるようになりました。
合格率自体は、日本では色々な方が挑戦できるので、他の国と比べるとそこまで高くないかもしれません(TOEICのスコアも、同じ理由で高くないですよね)。
とはいえ、きちんと試験の準備をして受験すれば合格するので、合格率はあまり気にしなくてもいいかと思います。
試験の準備が十分でなければ不合格になるだけ、合格率は関係なく、自分は自分、しっかりと勉強すれば良いだけでしょう。
3.過去の科目ごとのUSCPA試験の合格率の推移
さらに、科目ごとのUSCPA試験の合格率の推移を見ていきましょう。
注1:2017年に合格率がいったん下がっているのですが、これは2017年に大きな試験変更があり、十分に準備ができなかった受験者が多かったことが原因だと考えられます。同様のことが2011年の試験変更でも起きています。
注2:2020年は、前述のように、新型コロナの影響で、合格率が通常より高くなりました。少し特殊な年であったことことに留意してください。
(1)AUDのUSCPA試験の合格率
過去のAUDの合格率は、以下の通りです。
合格率 | |
2016 | 46% |
2017 | 49% |
2018 | 51% |
2019 | 51% |
2020 | 53% |
2021 | 48% |
2022 | 48% |
AUDの合格率は、50%前後です。
そして、4科目の中ではちょうど平均的な合格率となっています。
米国の受験者にとっては、AUDは大変な科目という認識はあまりないようです。
ですが、日本の受験者の一定数は、「AUDの沼」にはまってしまう場合があるので、もう少し合格率が低いのではないかと思います。
(2)BECのUSCPA試験の合格率
過去のBECの合格率は、以下の通りです。
合格率 | |
2016 | 55% |
2017 | 53% |
2018 | 59% |
2019 | 60% |
2020 | 66% |
2021 | 62% |
2022 | 60% |
BECの合格率は、60%前後で、合格率は右肩上がりと言っていいでしょう。
そして、4科目の中で最も高い合格率となっています。
BECの合格率が高いのは、BECは最後に受験をする受験者が多いので、既にFARやAUDの知識を活かせるからだと言われています。
ですが、これは米国の受験者の場合で、日本の受験者は、FARの次に受験する場合も多いですし、WC問題(記述式問題)でハンデがあるので、そこまで合格率が高くないと思います。
(3)FARのUSCPA試験の合格率
過去のFARの合格率は、以下の通りです。
合格率 | |
2016 | 46% |
2017 | 44% |
2018 | 46% |
2019 | 46% |
2020 | 50% |
2021 | 45% |
2022 | 45% |
FARの合格率は、45%前後で、合格率の変動はあまり大きくないと言えるでしょう。
そして、4科目の中で最も低い合格率となっています。
FARの合格率が低いのは、USCPA受験者にとって、最も準備が大変な科目だからだと言われています。
FARの範囲が広いこと、単に暗記するだけではなく、関連する概念を理解して仕訳や計算をする必要があることなどが原因として挙げられます。
とはいえ、それは米国の受験者の場合でしょう。
日本の受験者は、既に日商簿記2級に合格している人も多く、受験にさえたどり着けば合格する人は多い印象ですので(受験にたどり着けない人は多そうです)、もう少し合格率は高いのではないかと思います。
(4)REGのUSCPA試験の合格率
過去のREGの合格率は、以下の通りです。
合格率 | |
2016 | 48% |
2017 | 47% |
2018 | 53% |
2019 | 56% |
2020 | 62% |
2021 | 60% |
2022 | 61% |
REGの合格率は、最近は60%に届いています。
そして、BECに次いで高い合格率となっています。
REGは、税法やビジネス法など会計以外の分野が問われますので、会計しか馴染みがなかった受験者にとっては、取っつきにくい科目です。
とはいえ、REGは準備が大変だという声はあまり聞きません。
特に、日本の受験者は、最後にREGを受験する場合が多いので、勉強法が既に確立されていたり、ラストスパートで追い込んでいたりするので、合格率も高めかと思います。
推察:科目ごとのUSCPA試験の合格率の推移
2016年から2022年の7年間の科目ごとの合格率を記載しましたが、約20年間の合格率を見ても、基本的には右肩上がりで合格率が上がってきています。
ただし、2011年のUSCPA試験の大きな改正があったのち、科目ごとの合格率には、大きな差が出るようになりました。
2011年までは、各科目の合格率にほとんど差はありませんでした。
2011年のUSCPA試験の改正までは、FAR、AUD、REGの3科目でWC(記述式問題)が出題されていましたが、2011年以降は反対に、BECだけでWC(記述式問題)が出題されることになりました。
また、FARでIFRS(国際会計基準)が出題されるようになりました(ただし、2021年にIFRSは出題されなくなりました)。
2011年のUSCPA試験の改正後は、BECの合格率が他の科目に比べて高くなり、FARの合格率が他の科目に比べて低くなっています。
日本人受験者の間では、WC(記述式問題)は大変だというイメージが強いのですが、米国の受験者にとっては、WC(記述式問題)は得点源で、BECの合格率が高くなったのかもしれません。
また、FARの範囲が広くなったことが、特に米国の受験者には大きな負担となって、FARの合格率が低くなる要因になったのかもしれません。
前述のように、2021年7月にも、大き目な試験内容の変更がありました。
受験者にとっては、FARとREGは負担が軽くなり、AUDとBECは負担が重くなりました。
ですので、2021年3Qと4QのAUDとBECの合格率が低くなっています。
4.USCPA試験の合格率の傾向
さいごに、USCPA試験の合格率の傾向についてご説明します。
(1)四半期でUSCPA試験の合格率が変動する
ここ10年くらいの合格率を見ると、明らかな傾向があることが分かります。
それは「Q1とQ4の合格率が低く、Q2とQ3の合格率が高い」という傾向です。
前述の通り、合格率が高いのは、試験が簡単だからというわけではないので、Q2かQ3に試験を受けようと考えるのは早計です。
(2)Q2とQ3のUSCPA試験の合格率が高くなる理由
Q2とQ3の合格率が高くなるのには、きちんとした理由があります。
USCPA試験でQ2とQ3の合格率が高くなる理由
- Q1は、繁忙期で勉強がしにくい(米国の多くの企業は、12月末決算ですね)。
- Q1とQ4は、年末年始やクリスマスなどのイベントで勉強がしにくい。
- Q2は、繁忙期が終わり、勉強に時間が取れるようになる。
- Q2は、大学を卒業したばかりの受験者が、大学の授業に時間がとられないようになる(米国の大学は、9月から5月までの学期制で、5月に卒業ですね)。
- Q3は、Q2から試験の準備をしてきた受験者の準備が十分に整う。
合格率が季節変動するのは、米国の決算スケジュールや大学の学期制の影響ですね。
日本の受験者の皆さんだと、3月決算の会社にお勤めの場合も多いでしょうし、大学の卒業も3月です。
それに、大学生の受験者の皆さんは、在学中に並行して勉強すると思うので、卒業とはあまり関係ない気もします。
つまり、日本の受験者の皆さんだけの合格率の統計を取ると、AICPAの公表の合格率と傾向が違ってくるでしょう。
以上、「USCPA試験の合格率から何が分かる?【合格率に惑わされないのが吉】」についてでした。
Q2とQ3の合格率が高いけど、Q2とQ3の試験が簡単だというわけではないんだね。
それに、合格率は、右肩上がりで上がってきていると言えるんだね。
また、米国の試験で米国の受験者が多く受けるから、合格率も、米国の会社や大学のサイクルの影響を大いに受けているということだね。
以前は4科目の合格率はほぼ同じだったのに、今はBECの合格率が高くて、FARの合格率が低くて差が大きくなっているんだね。
つまり、今は多くの受験者にとって、BECの準備はしやすく、FARの準備はしにくいということが言えるかな。
色々と合格率について分かったことがあるけど、結局のところ、合格するかは、どれだけ準備ができているかにかかっているわけだよね。
結論としては、自分の環境に影響を与える要因を事前に把握して、少しでも影響を受けないですむような勉強のスケジュールを立てることが大事ってことだろうね。
USCPA試験の難易度の記事も併せて参考にしてください。

USCPA試験については、こちらの記事も参考にしてください☟

USCPA(米国公認会計士)
USCPA講座の資料請求・説明会申し込み(無料)
USCPA講座の紹介割引(入学金11,000円オフ)
USCPAの受験ガイド(どこの本)
USCPAの始め方(参考ページ)
CIA(公認内部監査人)
CIA講座の資料請求、説明会申し込み(無料)
CIAの詳細情報(参考ページ)
CIA(公認内部監査人)とは?試験の難易度は?どうやって勉強する?
IFRS検定(国際会計基準検定・IFRS Certificate)
IFRS検定講座の紹介割引(受講料3,000円オフ)
IFRS検定の詳細情報(参考ページ)
【アビタス紹介割引あり】IFRS検定(国際会計基準検定)の難易度、活かし方
BATIC(国際会計検定)
BATICは2022年11月28日に終了しました。
ですが、公式テキストと公式問題集での英文会計の学習は依然としておすすめです。
BATICの公式テキスト・公式問題集
USCMA(米国公認管理会計士)、EA(米国税理士)
USCMAとEAの講座の資料請求(無料)
USCMAとEAの詳細情報(参考ページ)
国際会計資格 USCPA・USCMA・EAの比較、どれを取るといいのか?
簿記検定
簿記検定2級と3級のコース利用(完全無料)
CPA Learning(ラーニング)の簿記コース
USCPAと簿記検定の比較(参考ページ)
USCPA(米国公認会計士)と簿記検定、どっちが役に立つのか?
公認会計士
公認会計士講座の資料請求(無料)
USCPAと公認会計士の比較(参考ページ)