1.経理におすすめの資格は「目的別」に選ぶのが大事

結論から言うと、未経験から経理を目指すなら日商簿記3級・2級、経理経験者のキャリアアップならビジネス会計検定やFASS検定、外資・グローバル経理を目指すならUSCPAやIFRS Certificateがおすすめです。

 

経理・会計に関する資格はたくさんあります。

日商簿記、ビジネス会計検定、FASS検定、USCPA、IFRS Certificateなど、名前を聞いたことがある資格も多いでしょう。

 

ただし、経理の資格は、有名だから取る難しそうだから評価されそうという理由だけで選ぶのはおすすめしません。

なぜなら、目指すキャリアによって、必要な資格が変わるからです。

 

目指す方向 おすすめ資格
未経験から経理を目指したい 日商簿記3級・2級
経理としてキャリアアップしたい 日商簿記1級、ビジネス会計検定、FASS検定
外資・グローバル経理を目指したい USCPA、IFRS Certificate
会計英語を学びたい USCPA、IFRS Certificate、会計英語教材

 

私自身も、最初からUSCPAを目指していたわけではありません。

まず簿記で会計の基礎を学び、英文会計に触れ、最終的にUSCPAへ進みました。

その経験から言うと、資格は「取れるものを順番に取る」のではなく、なりたいキャリアに必要なものを選ぶ方が大事です。

 

資格をたくさん並べると、どれも必要に見えてしまいます。

でも実際には、すべての資格を取る必要はありません。

 

国内経理を深めたいのか。
決算書を読む力を高めたいのか。
外資系企業で働きたいのか。
グローバル経理や海外子会社管理に関わりたいのか。

目指す方向によって、選ぶべき資格は変わります。

 

この記事では、USCPAである筆者が、経理におすすめの資格を目的別に整理し、どの順番で学ぶとよいかを解説します。

 

2.経理におすすめの資格早見表

まずは、経理におすすめの資格を目的別に整理します。

 

目的 おすすめ資格 向いている人
経理の基礎を学びたい 日商簿記3級 未経験者・経理初心者
経理職を目指したい 日商簿記2級 経理転職を考えている人
国内経理で評価されたい 日商簿記1級 経理経験者・上級者
決算書を読む力をつけたい ビジネス会計検定 経理・財務・管理職志向の人
経理実務のスキルを確認したい FASS検定 経理・財務の実務経験者
英語を使う経理キャリアを目指したい USCPA 英語×会計でキャリアを広げたい人
IFRSに強くなりたい IFRS Certificate IFRS適用企業・外資・海外子会社管理に関わる人

 

 

ここで、経理資格の全体像をロードマップで見ておきましょう。

 

経理資格の目的別ロードマップ

 

図解のとおり、未経験者は日商簿記3級・2級から始めるのが基本です。

経理経験者は、ビジネス会計検定やFASS検定で、財務諸表を読む力や実務スキルを補強できます。

外資・グローバル経理を目指すなら、会計英語、USCPA、IFRS Certificateが選択肢になります。

 

ざっくり整理すると、次のようになります。

タイプ おすすめの順番
未経験者 日商簿記3級 → 日商簿記2級
経理経験者 日商簿記2級の復習 → ビジネス会計検定・FASS検定
上級経理を目指す人 必要に応じて日商簿記1級
外資・グローバル志向 日商簿記2級 → 会計英語 → USCPA・IFRS Certificate

 

ここからは、目的別にそれぞれの資格を見ていきます。

 

3.未経験から経理を目指す人におすすめの資格

未経験から経理を目指すなら、最初におすすめなのは日商簿記です。

 

経理の仕事では、仕訳、勘定科目、貸借対照表、損益計算書など、会計の基本的な考え方を理解していることが大事です。

会計の基礎がないまま経理の仕事に入ると、用語の意味がわからず、実務の理解に時間がかかります。

そのため、未経験から経理を目指す人は、まず日商簿記3級・2級で会計の土台を作りましょう。

 

(1)日商簿記3級

日商簿記3級は、経理・会計の入口となる資格です。

簿記3級では、仕訳、帳簿、試算表、精算表、貸借対照表、損益計算書など、会計の基本を学びます。

 

項目 内容
向いている人 経理未経験者・会計初心者
学べること 仕訳、帳簿、決算書の基礎
位置づけ 経理資格の入口
優先度 未経験者なら最優先

 

経理未経験者にとっては、まず簿記3級を学ぶことで、経理の仕事で使われる言葉に慣れることができます。

たとえば、売上、仕入、現金、預金、売掛金、買掛金、減価償却費など、経理では当たり前に使われる用語があります。

こうした基本用語を理解していないと、経理の実務に入ったときに苦労しやすいです。

そのため、未経験から経理を目指すなら、まずは日商簿記3級から始めるのがおすすめです。

 

(2)日商簿記2級

経理職を目指すなら、日商簿記2級まで取得しておきたいところです。

簿記2級では、商業簿記に加えて工業簿記も学びます。

 

項目 内容
向いている人 経理職を目指す人・経理転職を考えている人
学べること 商業簿記、工業簿記、財務諸表の基礎
位置づけ 経理転職で評価されやすい基礎資格
優先度 経理職を目指すなら高い

 

簿記3級よりも難易度は上がりますが、経理職への転職やキャリア形成を考えるなら、簿記2級はかなり実用的です。

求人でも、経理職の応募条件や歓迎条件として「日商簿記2級」が挙げられることがあります。

 

もちろん、簿記2級を取れば必ず経理に転職できるわけではありません。

ただし、未経験から経理を目指す場合、簿記2級を持っていると、会計の基礎を学んでいることを示しやすくなります。

経理未経験者にとって、簿記2級は「経理を本気で目指している」と伝えるための資格ともいえます。

 

(3)ビジネス会計検定3級

日商簿記とあわせて検討したいのが、ビジネス会計検定です。

簿記が「会計処理をする力」を学ぶ資格だとすると、ビジネス会計検定は「決算書を読む力」を学ぶ資格です。

 

項目 内容
向いている人 決算書を読む力をつけたい人
学べること 財務諸表の読み方、経営分析の基礎
位置づけ 簿記とあわせて学ぶと効果的な資格
優先度 簿記3級・2級の後に検討

 

経理では、仕訳や決算処理だけでなく、財務諸表を理解する力も大事です。

特に、将来的に経理から財務、経営企画、管理会計、管理職を目指したい人は、数字を作るだけでなく、数字を読む力も必要になります。

 

ただし、未経験者が最初に取り組むなら、まずは日商簿記3級・2級を優先した方がよいです。

そのうえで、余力があればビジネス会計検定3級を学ぶと、会計の理解がより深まります。

 

4.経理経験者のキャリアアップにおすすめの資格

すでに経理経験がある人は、簿記3級・2級だけでなく、自分のキャリアの方向性に合わせて資格を選ぶのがおすすめです。

経理経験者の場合、「資格を取ること」自体が目的ではありません。自分の実務経験に、どの知識を足すとキャリアが広がるのかを考えることが大事です。

 

目指す方向 おすすめ資格
国内経理を深めたい 日商簿記1級
財務諸表を読む力を高めたい ビジネス会計検定2級・1級
経理実務スキルを確認したい FASS検定

 

ここで大事なのは、経理経験者が必ず日商簿記1級を目指す必要はないということです。

国内経理を深めたいなら日商簿記1級は有力です。

一方で、財務分析や管理職志向ならビジネス会計検定、実務スキルの確認ならFASS検定、外資・グローバル経理を目指すならUSCPAという選び方もあります。

 

(1)日商簿記1級

国内経理を深めたい人には、日商簿記1級が選択肢になります。

簿記1級では、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を学びます。財務会計だけでなく、原価計算や管理会計の理解も必要になります。

 

項目 内容
向いている人 上場企業経理・高度な会計業務を目指す人
学べること 商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算
位置づけ 国内会計を深く学ぶ資格
注意点 難易度が高く、学習時間も必要

 

経理経験者が簿記1級を学ぶメリットは、会計処理の背景にある理論を深く理解できることです。

ただし、すべての経理担当者に簿記1級が必要なわけではありません。

簿記1級は、税理士試験や公認会計士試験も視野に入れている人、上場企業の経理や高度な会計業務に関わりたい人、会計をかなり深く学びたい人に向いています。

一方で、外資系企業やグローバル経理を目指すなら、簿記1級だけでなく、USCPAやIFRS Certificateを検討するのもよいでしょう。

 

(2)ビジネス会計検定2級・1級

経理経験者には、ビジネス会計検定2級・1級もおすすめです。

経理の仕事では、会計処理を正確に行う力が大事です。

ただ、それだけではなく、作成された財務諸表を読んで、会社の収益性・安全性・成長性などを分析する力も求められます。

 

項目 内容
向いている人 財務・経営企画・管理職志向の人
学べること 財務諸表分析、経営分析
位置づけ 数字を読む力を高める資格
優先度 経理経験者・管理職志向なら検討

 

特に、経理から財務、経営企画、管理会計、管理職を目指す場合、数字を「作る側」から「使う側」へ視点を広げることが大事です。

ビジネス会計検定は、財務諸表分析を学ぶのに向いています。簿記で会計処理を学び、ビジネス会計検定で財務諸表の読み方を学ぶと、経理としての視野が広がります。

 

(3)FASS検定

経理・財務の実務経験者には、FASS検定も選択肢になります。

FASS検定は、経理・財務分野の実務知識やスキルを確認するための検定です。

 

項目 内容
向いている人 経理・財務の実務経験者
学べること 資産、決算、税務、資金などの実務知識
位置づけ 実務スキルを確認するための試験
優先度 実務経験者がスキルを棚卸ししたいときに検討

 

FASS検定は、合格・不合格ではなく、スコアによって評価されます。

そのため、資格を取るというより、自分の経理・財務スキルを客観的に確認するための試験と考えるとよいでしょう。

 

日商簿記が会計の基礎力を示す資格だとすると、FASS検定は経理・財務の実務スキルを確認するための資格です。

すでに経理経験があり、自分の実務力を棚卸ししたい人には向いています。

 

ただし、未経験者が最初に取る資格としては、日商簿記の方がわかりやすいです。

FASS検定は、ある程度実務経験を積んだ人が、自分のスキルを確認するために使うのがよいでしょう。

 

5.資格ごとの役割を比較しよう

ここまで、未経験者向け・経理経験者向けの資格を見てきました。

 

ここで一度、資格ごとの役割を整理しておきましょう。

 

会計資格ごとの役割比較

 

同じ会計資格でも、学べる内容やキャリアでの使い方は違います。

 

資格 主な役割
日商簿記 会計処理の基礎を学ぶ
ビジネス会計検定 決算書を読む力を身につける
FASS検定 経理・財務の実務スキルを確認する
USCPA 英語×会計でキャリアを広げる
IFRS Certificate IFRSに絞って学ぶ

 

「会計を学ぶ資格」といっても、日商簿記とUSCPAでは目的が違います。

日商簿記は、まず会計処理の基礎を固める資格です。

ビジネス会計検定は、財務諸表を読む力を身につける資格です。

FASS検定は、経理・財務の実務スキルを確認する資格です。

USCPAは、英語で会計・監査・税務・ビジネスなどを学び、キャリアの幅を広げる資格です。

IFRS Certificateは、IFRSに絞って学びたい人に向いています。

この違いを理解しておくと、自分に必要な資格を選びやすくなります。

 

6.外資・グローバル経理を目指す人におすすめの資格

外資系企業、海外子会社管理、英文経理、IFRS対応などを目指すなら、日商簿記だけでは足りない場面があります。

日本基準の会計処理だけでなく、英語で会計を理解する力、IFRSを理解する力、海外の会計・監査・税務に関する基本知識も求められるからです。

特に、外資系企業やグローバル企業では、英語で会計資料を読んだり、海外拠点とやり取りしたり、IFRSに関する知識が求められたりすることがあります。

そのようなキャリアを目指すなら、USCPAやIFRS Certificateを検討する価値があります。

 

目指す方向 おすすめ資格
英語×会計でキャリアを広げたい USCPA
IFRSに強くなりたい IFRS Certificate
会計英語に慣れたい USCPA、IFRS Certificate、会計英語教材

 

(1)USCPA

英語を使って会計キャリアを広げたいなら、USCPAは有力な選択肢です。

USCPAは、米国公認会計士の資格です。

会計、監査、税務、ビジネス、IT、内部統制など、幅広い分野を英語で学びます。

 

項目 内容
向いている人 外資・グローバル経理を目指す人
学べること 会計、監査、税務、ビジネス、IT、内部統制
強み 英語×会計でキャリアを広げやすい
注意点 受験資格や単位要件の確認が必要

 

日本で経理・会計キャリアを築くうえでも、USCPAは外資系企業、海外子会社管理、グローバル経理、内部監査、FP&A、監査法人などで評価されることがあります。

特に、次のような人にはUSCPAが向いています。

 

USCPAが向いている人
外資系企業で経理・財務として働きたい人
英語を使う会計キャリアを目指したい人
海外子会社管理やグローバル経理に関わりたい人
監査法人やアドバイザリーにキャリアを広げたい人
簿記だけではキャリアの広がりに限界を感じている人

 

私自身、USCPAを学んだことで、会計を英語で理解する力が大きく伸びました。

日本の経理だけを見るのではなく、監査、内部統制、海外子会社管理、外資系企業の経理など、キャリアの見え方も変わりました。

もちろん、USCPAは簡単な資格ではありません。英語で会計を学ぶ必要がありますし、受験資格や単位要件もあります。

 

ただし、外資・グローバル経理を目指すなら、簿記とは違う方向にキャリアを広げられる資格です。

国内経理を深めるなら簿記1級。
英語×会計でキャリアを広げるならUSCPA。

このように考えると、資格選びがしやすくなります。

 

USCPAは「興味があるからすぐ受験できる」という資格ではありません。

出願する州によって受験資格が異なり、学歴、会計単位、ビジネス単位などの確認が必要になります。

そのため、USCPAを検討するなら、まずは自分が受験できるのか、不足単位があるのか、どの州で出願できそうなのかを確認しておくと安心です。

 

USCPAを検討している人へ

英語を使う経理・財務、海外子会社管理、監査法人やアドバイザリーに興味があるなら、USCPAは一度検討する価値があります。

ただし、USCPAは出願する州によって受験資格が異なり、学歴・会計単位・ビジネス単位などの確認が必要です。

 

アビタスのUSCPA無料説明会では、USCPA試験の全体像だけでなく、自分が受験できるのか、不足単位があるのかも確認できます。

USCPAが自分のキャリアに合うか迷っている人は、まず無料説明会で確認してみるとよいでしょう。

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(2)IFRS Certificate

IFRSに強くなりたい人には、IFRS Certificateも選択肢になります。

IFRS Certificateは、ACCAが提供するIFRSに関する資格です。

 

項目 内容
向いている人 IFRS適用企業・外資・海外子会社管理に関わる人
学べること IFRSの基礎、国際財務報告の考え方
強み IFRSに絞って学べる
注意点 USCPAのように会計全般を広く学ぶ資格ではない

 

IFRSは、国際的に使われている会計基準です。

日本企業でも、IFRSを任意適用している企業があります。また、外資系企業や海外子会社管理に関わる場合、IFRSの知識が必要になることがあります。

IFRS Certificateは、次のような人に向いています。

 

IFRS Certificateが向いている人
IFRS適用企業で働いている人
外資系企業で経理・財務に関わる人
海外子会社管理に関わる人
日本基準だけでなくIFRSも学びたい人
USCPAほど広く学ぶ前に、IFRSに絞って学びたい人

 

USCPAは、会計・監査・税務・ビジネスなど幅広く学ぶ資格です。

一方、IFRS Certificateは、IFRSに絞って学びたい人に向いています。そのため、すでに経理経験があり、IFRS対応が必要な人には、IFRS Certificateが現実的な選択肢になります。

 

USCPAで会計全般を広く学ぶのか。
IFRS CertificateでIFRSに絞って学ぶのか。

ここは、自分の業務内容や目指したいキャリアに合わせて選ぶとよいでしょう。

 

(3)会計英語の学習

外資・グローバル経理を目指すなら、会計英語の学習も大事です。

外資系企業では、勘定科目、財務諸表、月次決算、監査対応、内部統制、レポーティングなどを英語で扱うことがあります。

 

日本語 英語
貸借対照表 balance sheet
損益計算書 income statement
キャッシュ・フロー計算書 cash flow statement
売上 revenue
費用 expense
売掛金 accounts receivable
買掛金 accounts payable
減価償却 depreciation
減損 impairment
内部統制 internal control

 

ただし、会計英語だけを単独で学ぶよりも、簿記やUSCPA、IFRS Certificateの学習と組み合わせた方が理解しやすいです。

会計の基礎がないまま英単語だけ覚えても、実務では使いにくいからです。

 

まずは日商簿記で会計の基礎を固める。

そのうえで、USCPAやIFRS Certificateを通じて英語で会計を学ぶ。

この順番の方が、実務につながりやすいです。

 

7.BATICは現在終了|今から受ける資格としてはおすすめしない

以前は、会計英語を学ぶ資格としてBATICも選択肢に入りました。

BATICは「国際会計検定」と呼ばれ、英語力と国際会計スキルを同時に測る検定試験でした。

しかし、BATICはすでに終了しています。

そのため、今から受験する資格としてBATICをおすすめすることはできません。

 

項目 内容
資格名 BATIC
正式名称 国際会計検定
現在の状況 試験終了
今から受験できるか できない
現在の位置づけ 英文会計の学習教材として参考にする程度

 

BATICの公式テキストや問題集は、英文会計の学習教材として参考になる部分があります。

とはいえ、資格として履歴書に書くことを目的にするなら、現在受験できる資格を選んだ方がよいです。

会計英語を学びたいなら、日商簿記で会計の基礎を固めたうえで、USCPAやIFRS Certificateの学習に進む方が現実的です。

 

8.経理資格はどの順番で取るべき?

経理資格は、目的に合わせて選ぶことが大事です。

ただ、どの順番で学べばよいか迷う人も多いでしょう。

 

その前に、自分がどの資格を選ぶべきかを簡単に整理しておきましょう。

 

どの会計資格を選ぶべきか診断

 

図解のとおり、最初に考えるべきなのは「今の自分の状況」と「目指したい方向」です。

未経験なのか。
経理経験があるのか。
外資・グローバル経理を目指したいのか。
IFRS対応が必要なのか。

この順番で考えると、選ぶべき資格が見えやすくなります。

 

(1)未経験から経理を目指す場合

未経験から経理を目指すなら、次の順番がおすすめです。

順番 やること 目的
1 日商簿記3級 会計の基本を学ぶ
2 日商簿記2級 経理職を目指せる基礎力をつける
3 ビジネス会計検定3級 決算書を読む力をつける
4 経理実務を経験する 資格を実務に結びつける

 

まずは、日商簿記3級で会計の基本を学びます。

その後、経理職を目指すなら日商簿記2級まで進むとよいでしょう。

余力があれば、ビジネス会計検定3級で財務諸表を読む力も身につけると、経理の仕事をより立体的に理解しやすくなります。

ただし、未経験者の場合、資格だけを増やしすぎるよりも、早めに実務経験を積むことも大事です。

経理は、実務経験が評価されやすい仕事です。そのため、簿記2級を取得したら、経理職への転職や社内異動も検討するとよいでしょう。

 

(2)経理経験者がキャリアアップを目指す場合

経理経験者がキャリアアップを目指すなら、次のような順番がおすすめです。

順番 やること 目的
1 日商簿記2級の知識を確認する 基礎知識を確認する
2 必要に応じて日商簿記1級 会計を深く学ぶ
3 ビジネス会計検定2級・1級 財務諸表を読む力を高める
4 FASS検定 経理・財務の実務力を確認する
5 転職・社内異動・業務範囲拡大を検討する 資格をキャリアにつなげる

 

経理経験者の場合、資格を取るだけでなく、どの業務経験を積むかが重要です。

月次決算、年次決算、税務申告、監査対応、連結決算、開示、管理会計、予算管理など、経理の業務範囲は広いです。

資格を学ぶことで知識は増えますが、実務経験と組み合わせてこそキャリアアップにつながります。

そのため、資格学習とあわせて、今の職場で担当業務を広げられないか、転職によって経験を広げられないかも考えるとよいでしょう。

 

(3)外資・グローバル経理を目指す場合

外資・グローバル経理を目指すなら、次の順番がおすすめです。

 

順番 やること 目的
1 日商簿記2級レベルの会計基礎を固める 会計の土台を作る
2 会計英語に慣れる 英語で会計用語を理解する
3 USCPAを検討する 英語×会計でキャリアを広げる
4 IFRSが必要ならIFRS Certificateを学ぶ IFRSの知識を補強する
5 英語を使う経理・財務の求人を確認する 資格を転職・キャリア形成につなげる

 

外資・グローバル経理を目指す場合、英語力だけでも、会計知識だけでも不十分です。

英語と会計の両方を使えることが強みになります。その意味で、USCPAは外資・グローバル経理を目指す人にとって、かなり相性のよい資格です。

ただし、USCPAは受験資格や学習量の確認が必要です。

いきなり申し込むのではなく、自分の学歴・単位・英語力・キャリア目標に合うかを確認してから始めるのがおすすめです。

 

9.経理資格だけでなく、実務経験・英語・転職戦略もセットで考える

経理のキャリアアップでは、資格だけでなく、実務経験も重要です。

資格は、知識を学ぶうえで役立ちます。ただし、資格を取っただけで、自動的に年収が上がったり、希望の会社に転職できたりするわけではありません。

経理職では、どのような実務経験があるかも重視されます。

 

評価されやすい経験 内容
月次決算 毎月の決算処理を行う経験
年次決算 年度末の決算処理を行う経験
税務申告 法人税・消費税などの申告に関わる経験
監査対応 監査法人とのやり取りに対応する経験
連結決算 グループ会社を含めた決算に関わる経験
開示業務 有価証券報告書などの開示資料に関わる経験
管理会計 予算管理や業績分析に関わる経験
海外子会社管理 海外拠点の経理・財務管理に関わる経験
IFRS対応 国際会計基準に関わる経験
英語でのレポーティング 英語で財務情報を報告する経験

 

資格は、こうした実務経験と組み合わせることで、より強みになります。

 

たとえば、日商簿記2級を持っていて月次決算の経験がある人は、未経験者よりも経理転職で評価されやすくなります。

USCPAを学んでいて、外資系企業で英語を使った経理経験がある人は、グローバル経理や海外子会社管理の求人にも挑戦しやすくなります。

IFRS Certificateを持っていて、IFRS適用企業での実務経験がある人は、IFRS対応力をアピールしやすくなります。

 

つまり、資格は実務経験と組み合わせてこそ、キャリアに活きてきます。

USCPAに合格すれば、それだけで希望のキャリアが自動的に手に入るわけではありません。

 

ただし、経理・財務・監査・英語・海外関連業務などの経験と組み合わせることで、キャリアの選択肢を広げやすくなります。

資格は、単独で完結するものではありません。実務経験や転職戦略と組み合わせてこそ、キャリアに活きてきます。

 

ただ、自分の経験や資格が転職市場でどう評価されるのかは、自分だけでは判断しにくいこともあります。

特に、経理・財務、監査法人、会計アドバイザリー、外資系企業などを目指す場合、求人ごとに求められる経験や資格は違います。

そのため、転職を少しでも考えているなら、経理・財務や会計領域に詳しい転職エージェントに相談して、自分の経験・資格・希望条件を整理してみるのも一つの方法です。

 

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10.経理資格を選ぶときの注意点

経理資格を選ぶときは、注意点もあります。

特に大事なのは、次の3つです。

 

注意点 内容
資格を取りすぎない 資格を増やすより、必要な資格を選ぶ
目的に合わない資格を選ばない キャリアの方向性に合う資格を選ぶ
古い資格情報に注意する 終了済み資格や制度変更に注意する

 

(1)資格を取りすぎない

経理・会計の資格はたくさんあります。

しかし、資格を増やせば増やすほどキャリアアップできるわけではありません。

資格を取りすぎると、学習時間ばかりかかって、実務経験を積むタイミングを逃してしまうこともあります。

特に、未経験から経理を目指す場合は、資格を増やしすぎるよりも、日商簿記2級を目安に実務経験を積むことを考えた方がよいでしょう。

 

(2)目的に合わない資格を選ばない

資格には、それぞれ向いている目的があります。

 

目的 選びたい資格
国内経理を深めたい 日商簿記1級
決算書を読む力を高めたい ビジネス会計検定
経理実務のスキルを確認したい FASS検定
外資・グローバル経理を目指したい USCPA
IFRSに強くなりたい IFRS Certificate

 

「なんとなく有名だから」「難しそうだから」という理由だけで選ぶと、学習したあとにキャリアにつながりにくいことがあります。

資格は、自分の目的に合わせて選びましょう。

 

(3)古い資格情報に注意する

会計資格の情報は、古くなっていることがあります。

たとえば、BATICはすでに終了しているため、今から受験する資格としては選べません。

また、資格名や試験制度、出題範囲、受験方法が変わることもあります。

 

資格を選ぶときは、必ず公式サイトで最新情報を確認しましょう。

ブログやSNSの情報は参考になりますが、最終的には公式情報を確認することが大事です。

 

11.まとめ|経理の資格は「なりたいキャリア」から逆算しよう

経理におすすめの資格は、人によって変わります。

最後に、目的別のおすすめ資格を整理します。

 

目的 おすすめ資格
未経験から経理を目指したい 日商簿記3級・2級
経理経験者としてキャリアアップしたい 日商簿記1級、ビジネス会計検定、FASS検定
外資・グローバル経理を目指したい USCPA
IFRSに強くなりたい IFRS Certificate
会計英語を学びたい USCPA、IFRS Certificate、会計英語教材

 

大事なのは、資格をたくさん取ることではありません。

自分がどんな経理キャリアを目指したいのかを考えたうえで、必要な資格を選ぶことです。

 

国内経理を深めたいのか。
決算書を読む力を高めたいのか。
外資系企業で働きたいのか。
グローバル経理や海外子会社管理に関わりたいのか。

目指す方向によって、選ぶべき資格は変わります。

 

特に、英語を使う経理・財務、海外子会社管理、IFRS対応に興味があるなら、USCPAやIFRS Certificateは一度検討する価値があります。

私自身も、簿記から始めて、英文会計、USCPAへと学習を進めたことで、経理・会計キャリアの見え方が大きく変わりました。

 

資格は、キャリアを広げるための手段です。

資格そのものをゴールにするのではなく、なりたいキャリアから逆算して、今の自分に必要な資格を選びましょう。

そして、USCPAを目指すなら受験資格を確認すること、転職やキャリアアップを考えるなら自分の市場価値を知ることも大切です。

 

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