試験中に難易度が変化するとか、採点されない問題が出題されるとか聞いたけど、よくわからなくて困ったな。
「テストレットの難易度変化」と「ダミー問題の出題」のことだね。
USCPA試験の2大特徴だよ。
どちらも、USCPA試験を受ける前に知っておいた方がいいと思うから、説明しておくね。
1.テストレットの難易度変化
まず、「テストレットの難易度変化」について話していきます。
日本では「テストレットの難易度変化」と呼ばれることが多いですが、AICPA(米国公認会計士協会)は「multi-stage testing (MST)」と呼んでいます。
(1)そもそも、テストレットって?
そもそも、テストレットとは何なのかというと、問題群のことです。
各科目のテストレット(問題群)の出題形式
FAR、REG、AUD
- テストレット1と2:Multiple Choice Questions(択一問題)
- テストレット3、4、5:Task-based Simulation(事例形式問題)
BEC
- テストレット1と2:Multiple Choice Questions(択一問題)
- テストレット3と4:Task-based Simulation(事例形式問題)
- テストレット5:Written Communication(記述式問題)
BECだけ、テストレット5が記述式問題となります。
各科目につき5つのテストレットがあり、テストレット1からテストレット5まで、順番に回答していくことになります。
(2)どのテストレットで難易度変化が起こるの?
各科目につきテストレットが5つあることが分かりましたが、全てのテストレットで難易度変化が起こるのでしょうか。
いいえ、違います。
テストレットの難易度変化が起こるのは、テストレット2の「Multiple Choice Questions(択一問題)」だけです。
テストレット3からテストレット5の「Task-based Simulation(事例形式問題)」や「Written Communication(記述式問題)」でも、難易度変化が起こると思われている方がいますが、それは誤解です。
また、事例形式問題や記述式問題は、択一問題の結果で出題される問題が変わるわけではなく、最初からどの問題が出題されるか決められています。
(3)結局、テストレットの難易度変化って何?
結局のところ、「テストレットの難易度変化」というのは、何なのでしょうか。
「テストレットの難易度変化」は、「Multiple Choice Questions(択一問題)」のテストレットは、テストレット1とテストレット2の2つありますが、1つ目のテストレットの出来により、2つ目のテストレットの難易度が変わるというものです。
ちなみに、「Multiple Choice Questions(択一問題)」のテストレットの難易度は、2種類しかありません。
「Multiple Choice Questions(択一問題)」のテストレットの難易度
- Medium(普通)
- Difficult(難しい)
テストレット1では、必ず「Medium(普通)」のテストレットを解きます。
テストレット1がよくできていれば、テストレット2では「Difficult(難しい)」のテストレットを解きます。
そして、テストレット1があまりできていなければ、再度「Medium(普通)」のテストレットを解くことになるわけです。
「Multiple Choice Questions(択一問題)」のテストレットの難易度変化
テストレット1は、「Medium(普通)」となっている。
- テストレット1が良くできている場合:テストレット2の難易度が「Difficult(難しい)」に上がる。
- テストレット1があまりできていない場合:テストレット2の難易度は「Medicum(普通)」のまま変わらない。
とはいえ、「Medium(普通)」のテストレットにも難しい問題が含まれており、「Difficult(難しい)」のテストレットにも簡単な問題は含まれています。
「Difficult(難しい)」のテストレットは、「Medicum(普通)」のテストレットより、平均より難しい問題が多く含まれているというだけです。
(4)なぜ、テストレットの難易度変化なんてあるの?
それでは、なぜ「テストレットの難易度変化」があるのでしょうか。
どこが、アビタスのUSCPAセミナーで聞いたところでは、テストレットの難易度変化は、「視力検査」と同じとのことでした。
一度くらいは「視力検査」を受けたことがあると思うので、詳しくは説明しませんが、手順は以下のような感じだと思います。
「視力検査」の手順
真ん中あたりにある大きさのマークを見せる。
- それが見えれば、それより小さなマークが見えるか試す。
- それが見えなければ、もう一度同じ大きさの他のマークが見えるか試す。
視力検査では、最初に見せたマークが見えれば、それより小さなマークが見えているかを試すため、難易度を上げます。
最初に見せたマークが見えなければ、念のため、他の同じ大きさのマークで、本当にその大きさのマークが見えないか試すでしょう。
これは、できるだけ少ない回数で視力を測るための効率的な方法です。
つまり、USCPA試験の「テストレットの難易度変化」も、できるだけ少ない問題数で、受験生の実力を正確に測るための効率的な方法と言えるでしょう。
(5)試験中に、難易度変化について気にするべき?
USCPA試験では「テストレットの難易度変化」が起こることについてはご理解いただけたと思います。
では、試験中に「テストレットの難易度変化」について、何か気にしたほうがいいことがあるのでしょうか。
試験中は、特に気を付ける必要はないと思います。
テストレット2を解きながら、難化したか考えたり、難化しなかったようだと落ち込んだり、難化した気がすると喜んだりするのは無駄だと思います。
そもそも、テストレット2を解いていても、難化したかどうかなど、分からないことの方が多いです。
どこの経験では、FAR、BEC、REGに関しては、難化した気がしました。
テストレット2の最初の方の問題を解いていたら、明らかに勉強したことがない、自分にとっては難しい問題がたくさん出てきたからです。
でも、もしかしたら、後述する「ダミー問題」が目についただけかもしれません。
そして、AUDですが、テストレット1はすごく簡単に感じ、テストレット2もすごく簡単に感じて、難化しなかった気がしました。
難化しなかった気がしたので不合格かと思ったのですが、結果は、Multiple Choice Questions(択一問題)は満点だっただろうと思われるスコアでした。
テストレット2で難化しても、なお簡単に感じるくらい、AUDは理解できていたということになります。
つまり、テストレット2で難化したかどうかの自分の感覚など、あてにならないと言えるでしょう。
「テストレットの難易度変化」については、USCPA試験はそういう出題のしくみになっているのだと理解するだけで、試験中に気にかける必要はない。
2.ダミー問題の出題
つぎに、「ダミー問題の出題」について話していきます。
(1)そもそも、ダミー問題って?
「ダミー問題」とは、出題されて解く必要があるけれど、採点されない問題のことです。
つまり、「ダミー問題」とは、正解でも不正解でも、合否には関係ない問題です。
日本では「ダミー問題」と呼ばれることが多いですが、AICPA(米国公認会計士協会)は「Pretest Questions」と呼んでいます。
USCPA試験の問題の種類
- Operational Questions:採点される
- Pretest Questions:採点されない ☜通称「ダミー問題」
どのくらいの「ダミー問題」が、どこで出題されるかというと、以下の通りです。
試験形式 | ダミー問題の数 |
Multiple Choice Questions(択一問題) | 12問 |
Task-based Simulation(事例形式問題) | 1問 |
Written Communication(記述式問題) | 1問 |
ちなみに、各科目ごとの出題数は、以下の通りです。
試験形式 | FAR | AUD | REG | BEC |
Multiple Choice Questions(択一問題) | 66問 | 72問 | 76問 | 62問 |
Task-based Simulation(事例形式問題) | 8問 | 8問 | 8問 | 4問 |
Written Communication(記述式問題) | N.A. | N.A. | N.A. | 3問 |
択一問題については、各科目ごとの「ダミー問題」が出題数に占める割合は、以下の通りです。
試験形式 | FAR | AUD | REG | BEC |
Multiple Choice Questions(択一問題) | 18% | 17% | 16% | 19% |
- 択一問題では、約20%が「ダミー問題」☜問題を解いていると5問に1問くらいは「ダミー問題」にあたる。
- 事例形式問題と記述式問題では、問題を解いていると1問だけ「ダミー問題」にあたる。
(2)なぜ、ダミー問題なんて出題されるの?
それでは、なぜ採点されない「ダミー問題」が出題されるのでしょうか。
どこが、アビタスのUSCPAセミナーで聞いたところでは、「ダミー問題」は、Prometric、NASBA、AICPA(つまり出題者たち)がデータ収集を目的として出題しているとのことでした。
ダミー問題出題の目的
以下のことを決めるため、出題して受験生に解いてもらい、正答率を確認します。
- 今後、採点される問題(Operational Questions)として、実際に出題するかどうか。
- 今後、採点される問題(Operational Questions)として出題した場合、どのくらいの「ポイント」とするか。
(3)試験中に、ダミー問題について気にするべき?
USCPA試験では、採点されない「ダミー問題」が出題されることがご理解いただけたと思います。
では、試験中に「ダミー問題」について、何か気にしたほうがいいことがあるのでしょうか。
試験中は、特に気を付ける必要はないでしょう。
というより、どれが「ダミー問題」か、問題を解いていても、見分けがつきません。
AICPAも、「ダミー問題」がどれなのか分からないようになっていると明記しています。
ですので、「ダミー問題」の可能性があっても、全ての問題が採点されると考えて問題を解く必要があるでしょう。
ただし、あまりにも難しかったり、過去の勉強で全く触れたことがない問題で、解くのに時間がかかりそうな場合に限り、「ダミー問題」である可能性が高いと考え、捨ててしまってもいいかもしれません。
3.まとめ:試験中に気にするべきなのは?
USCPA試験の2大特徴である、「テストレットの難易度変化」と「ダミー問題の出題」について見てきました。
ずいぶん前になりますが、USCPA受験生の間で「難易度変化で難しくなると不利だから、テストレット1は手を抜いた方がいい」というデマが流れたことがあります。
USCPA試験のしくみを知っていれば、すぐにデマだと気が付けるでしょう。
ですので、間違った行動を試験中にしないためにも、USCPA試験の特徴は知っておいた方がいいと思いました。
とはいえ、「テストレットの難易度変化」と「ダミー問題の出題」については、試験中に気にするものではないでしょう。
試験中に気にかけても、スコアアップにつながる何かができるわけではないからです。
それでは、試験中に気にかけるべきなのは、どんなことでしょうか。
USCPA試験は、過去の受験生の正答率から、各問題の難易度が決まり、正解と不正解で割り当てられる「ポイント」も決まっているとのことです。
問題の難易度 | 正解した場合 | 不正解だった場合 |
難しい | 「ポイント」がたくさんもらえる | 「ポイント」はあまり引かれない |
普通 | 「ポイント」は少ししかもらえない | 「ポイント」がたくさん引かれる |
つまり、正解だった問題が多ければ合格、正解だった問題が少なければ不合格という、正解数で合否が決まる単純な試験ではないということです。
難しい問題に正解できれば「ポイント」がたくさんもらえ、普通の問題に不正解だと「ポイント」がたくさん引かれるとの理解です(ちなみに、USCPA試験は減点方式の試験です)。
USCPA試験においては、難化したかや、ダミー問題かどうかを気にするよりは、普通の問題をいかに間違えないようにし、「ポイント」が大きくマイナスされないように気にするべきでしょう。
以上、「USCPA試験の2大特徴【難易度変化とダミー問題】」でした。
でも、どちらも、試験中に気にするようなものではないんだね。
できなかったと思っても、できなかった問題はダミー問題で、採点されなかったりするから、スコアが良かったりするんだね。
それに、択一問題が簡単だったと思っても、実際はできていなかったから、難化しなかっただけという可能性もあるし。
だから、試験中は、できが悪いと思っても、最後まであきらめずに全力を尽くす。
試験後は、スコアリリース(結果発表)まで、合否について自分の感覚で決めつけないってことかな。
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