もし、デメリットもあるなら、知りたいな。
事業会社での経理の経験から、監査法人と事業会社を比較しつつ、監査法人で働くデメリットも挙げてみるね。
Big4大手監査法人で働くと、忙しいけれど充実した日々が送れます。たくさんの人に出会え、専門的知識を試され、コミュニケーション能力とはったり力が爆上げします(笑)。
お給料だって悪くないし、Big4大手監査法人なら、会計業界ではトップの職場と考えて良いので、会計の専門家として最高峰で働いているというプライドが保てます。
となると、監査法人のメリットばかり表に出てきてしまいますが、今回は、監査法人で働く「一般的に言われているイメージ通りの」メリットだけではなく、「どこのかなり主観が入った」デメリットも併せてお届けします。
どこは、監査法人に関しては、Big4大手監査法人での勤務経験しかないため、他の中小監査法人の状況は把握できておりません。
そのため、文中に出てくる「監査法人」は、Big4大手監査法人を指していると考えてください。
監査法人への転職に関しては、以下の記事を参考にしてください☟

1.監査法人で働くメリット
USCPAが監査法人で働く一番のメリットを最初に書いてしまいます。それは、「監査法人で働いたという事実が、その後の会計分野でのキャリアの積み上げを楽にしてくれること」です。
なぜ、そう言えるかというと、監査法人には、USCPAを十分な経験と知識を備えた会計プロフェッショナルに育て上げる環境があり、そのような環境でプロフェッショナルとして育て上げられたUSCPAなら、そのあと、どのような道に進もうとも、好待遇で扱われるようになるためです。
それでは、もう少し具体的に、USCPAが監査法人で働くメリットについて、見ていきます。
USCPAが監査法人で働く際のメリット
- 専門的な会計知識が身につくこと
- ライセンス取得とCPE単位取得の支援があること
- 転職する際に有利になること
(1)専門的な会計知識が身につくこと
専門的な会計知識が身につくのは、以下の3つの理由によると考えます。
①日本の公認会計士と働くから
どのクライアントにアサインされても、必ずひとりは日本の公認会計士が監査チームにいました。ですので、日本の公認会計士がいつもそばにいることになります。
日本の公認会計士試験合格者は、やはり優秀で、当たり前ですが、日本の会計基準についてUSCPAよりずっと詳しいです。
そして、何か分からないことがあると、同じチームメンバーとして、親身にアドバイスをしてくれました(チームメンバーの誰かが仕事を終えられないと、チームとしての仕事も終わらないからということもあります)。
もちろん、自分で勉強をするという姿勢が大事ですが、日本の公認会計士のみなさんは、人に教えることが好きな、性格の良い人が大半だったため、教えを乞うと喜んで教えてくれていました。まるで、会計の家庭教師がいるようでした。
②勉強せざるを得ないから
USCPAも試験を通して会計や監査の勉強をしていますが、日本の公認会計士に比べると、勉強を通して得た知識は十分ではありません。
ですので、監査法人に入所した場合、会計プロフェッショナルとして仕事をしていくためには、USCPA試験以上に勉強をしなくてはならなくなります。
入所後に勉強したかどうかで、かなり差がついていきます。そして、勉強しているかどうかは、周りも全員会計プロフェッショナルなため、すぐに見透かされてしまいます。
勉強していないと、アサインされたプロジェクトで、業務を遂行できないですし、周りは勉強しているので(平日の夜や、週末も、事務所で勉強している人が多かったです)、自分だけどんどん評価が下がって、昇進にもかかわってきます。
USCPAが監査法人で働くために勉強しておきたいことについては、以下の記事を参照してください☟

③法人研修制度が整備されているから
セミナー形式やディスカッション形式の研修、e-learning、英語講座など、さまざまな形態の研修を閑散期を中心に受けることになります。
これはどこの所属していた事業部だけかもしれませんが、USCPAを対象に、T〇Cの講師をお呼びして、日商簿記1級講座も開かれていました(日商簿記1級に合格していないUSCPAは強制参加)。
必修単位を満たすために受けるだけではなく、自分の興味に応じて追加で受けることも可能です。
どこが印象に残っているのは、棚卸の立ち合い研修でしょうか。あいにく、棚卸の立ち合いが発生するクライアントを担当する機会がなかったため、自分で立候補してその研修を受けることにしました。
実際に本物のクライアントの棚卸に立ち合い、最後にクライアントの役員の方々の前で講評までして、なんとも実践的な研修でした。
(2)ライセンス取得とCPE単位取得の支援があること
これは、監査法人ならではのメリットだと言えます。
①ライセンス取得の支援があること
ライセンスを取得しないと、名刺にUSCPAと肩書が書けません。ですので、監査法人としては、USCPAにライセンスを取得することを強く勧めてきます。
名刺にUSCPAと書かれているのと、何も書かれていないのとでは、クライアントの心証が大きく変わってくるため、名刺に肩書が書けるように、ライセンスを取得するよう勧めてくるわけです。
どこが入所した際も、ライセンスを取得するようにと人事からメールが来ました。そして、ライセンスの書類にサインをしてくれるUSCPAライセンスホルダーの紹介や、ライセンス取得費用の負担など、法人が手厚くサポートしてくれました。
②CPE単位取得の支援があること
これもかなり大きなメリットだと思うのですが、監査法人の研修を受けると、CPE単位が充足されます。
つまり、USCPAのライセンスを更新するために必要な単位が、監査法人の研修を受ければ満たせ、自分で別に取得する必要がなくなります。
監査法人の研修ですので自己負担はゼロですし、勤務時間中に受けられますので、自分のプライベートな時間も費やす必要がありません。もちろん、ライセンスの更新費用も法人持ちです。
(3)転職する際に有利になること
監査法人を辞めたあと、転職エージェントに登録をしましたが、USCPAの資格があり、監査法人での経験があるというと、さまざまな企業よりオファーが来ました。
外資系企業や日系のグローバル企業の経理職など、誰でも知っているような大企業からスカウトが来ます。
USCPAの威力なのではなく、「USCPA×監査法人経験」が、企業側にとって大きな魅力だからだと思います。
どこの場合は、監査法人を退所後、タイの米国企業に応募したのですが、多くの応募者の中から採用してもらえました。
監査法人、とくにBig4の名前は、日本だけではなく世界中どこでも通用します。職務経歴書に監査法人勤務経験を書いておくと、書類審査の通過率はかなり高くなると考えて良いです。
USCPAの転職については、以下の記事を参照してください☟





2.事業会社と比較した監査法人で働くデメリット
この監査法人で働くデメリットには、かなりどこの主観が入っております(笑)。
監査法人で監査人をしていた時と、事業会社で経理をしていた時との比較で、デメリットについて見ていきます。
USCPAが監査法人で働く際のデメリット
- 監査法人は頑張り甲斐がない?
- 監査法人では仕事は自分で勝ち取れ?
- 監査法人では株式投資ができない?
(1)監査法人は頑張り甲斐がない?
監査法人で働いていて、いつも悲しくなっていたことがあります。それは、頑張って監査をするほど、クライアントに嫌がられることです。
クライアントは、監査意見が期限までに出て、監査報告書をもらえればよいだけなので、内心はあまり面倒なことがないまま終わることを望んでいます。
ですので、監査人から質問や資料依頼がたくさん来ると、日常業務が忙しいのにと嫌がってきます。
「頑張れば頑張るほど、嫌がられる」。こんなに悲しいことはないです。
それに、アサイン次第なので、次回もそのクライアントを担当できるとも限らず、一回限りのお付き合いになってしまうことも多いです。
一方、事業会社で働いていると、自分の会社に愛着が沸いてきます。
自分の会社のビジネスを理解して、経理担当者として、経理業務はもちろんのこと、会社のために財務分析や予算作成なども行います。
上司や役員から改善点の意見を求められ、その意見が採用されると、会社のために頑張っている、会社のためになっていると実感できます。
ちなみに、どこが監査法人をあっさりと辞めたのは、事業会社で、経理担当者として経営者の右腕のような「影の実力者」になるのが夢だったからであり、現時点でかなり実現できています。
(2)監査法人では仕事は自分で勝ち取れ?
監査法人での監査人は、アサインされたときのみ仕事があります。
アサイン会議が開かれ、プロジェクトごとに、「どのスタッフが欲しい」と要望が出され、スタッフの業務が決められていきます。
ということは、人気が全くないスタッフは、どのプロジェクトにもアサインされません。
クライアント先に行くこともなく、事務所にいつも残っていることになります。非常にシビアです。
「はないちもんめ」で、裏でこそこそと誰を選ぶか相談しているのと同じ状態です。誰にも選ばれないことを恐れて、周りへの人気取りや、自分の能力のアピールをしている人もいました。
一方、事業会社では、そのようなあからさまなことにはなりません(少なくとも、経理や財務などの部署では)。
過去に、外資系企業で働いていた際の直属の上司が、朝出社したらそのままクビで、荷物をまとめて退職させられたということはありましたが、職員に仕事を与えないまま生殺しのような状態にしていたのを見たのは、監査法人だけです。
(3)監査法人では株式投資ができない?
仕事と直接関係はないのですが、1つ困ったことがありました。それは、株式投資ができないことです。
株式投資に一番興味があった時期に監査法人に入所してしまったので、地味に困りました。
監査法人で働く場合、株式売買をしないのが無難です。自分がアサインされるクライアント以外の株式なら保有しても良いのですが、法人へ届出をしなくてはなりません。
それが面倒なので、色々な投資に手を出している人でも、株式投資だけはやっていない人が法人内では大半でした。
ちなみに、その代わりに不動産投資をやっている人が多かったです。不動産投資の勧誘の電話が、法人支給の携帯電話にしょっちゅうかかってきました。
おそらく、監査法人勤務の公認会計士なら、信用力抜群で、ローンがおりやすいと考えるからだと思います。
一方、事業会社で働く場合は、株式売買ができないということはないでしょう(もちろん、インサイダー取引になるような場合はだめですが)。
上場企業で働いていると、自分の勤務先の企業の株価の動向に非常に気を付けるようになりますし、経理担当者としてはステークホルダー(利害関係者)との関係にも気を配るようになります。
銀行担当者との打ち合わせでの発言や、提出資料に気を付けますし、外部の株主の反応を考え、年次決算にて決算書の数字の見え方(どの段階利益に区分するか)や、開示資料の文言ひとつにも配慮します。
監査法人でクライアントの決算書を監査していた時よりも、自分ごととして会社の数字を見て理解するようになり、さらに他の会社の理解にもつながり、その感覚は株式投資をする際にも大いに役立っています。
3.まとめ
USCPAが監査法人で働く際のメリットをもう一度見てみましょう。
USCPAが監査法人で働く際のメリット
- 専門的な会計知識が身につくこと
- ライセンス取得とCPE単位取得の支援があること
- 転職する際に有利になること
監査法人は、強制的に専門的な会計知識が身につく場所であると言えます。お給料をもらいながら、USCPAとして足りない知識のお勉強ができるのは、USCPA合格後のファーストステップとしてかなりお得ではないでしょうか。
また、法人がライセンス取得や、ライセンス維持のための単位取得を支援してくれるのも、かなり大きなメリットなのではないでしょうか。USCPAのライセンスを持っている人が法人内にたくさんいるというのも、何かあった時に心強いです。
そして、転職する際には、監査法人出身者は、「監査法人によって選ばれ、過酷な労働に耐え、高度な知識や経験を身につけてきた人」という見方をされますので、好待遇で迎えられる可能性が高くなります。
監査法人での経験が、USCPAとしてのその後の会計分野でのキャリアを最速で上に引き上げてくれます。ですので、USCPA合格後の1社目の転職は、監査法人を選ばれることをおすすめします。
最後に、USCPAが監査法人で働く際のデメリットも、事業会社との比較で挙げました。
USCPAが監査法人で働く際のデメリット
- 監査法人は頑張り甲斐がない?
- 監査法人では仕事は自分で勝ち取れ?
- 監査法人では株式投資ができない?
デメリットも気になる方がいると思ったので書きましたが、正直、頑張っても、このくらいしかみつかりませんでした(笑)。
もしかしたら、これを読んで事業会社の方が良いと思われる方も出てくるかもしれません。
それでも、最初は監査法人、それから事業会社に移られるのがキャリアプランとして良いかと、自分の経験から思います。
今後ずっと会計分野でキャリアを積み上げたいのならば、会計の専門家に囲まれて切磋琢磨し、プレッシャーの下で必死に会計の勉強をする。そんな環境に身を置くのは、すごくいいことだと思うよ。USCPA合格後の数年だけでもいいから。
監査法人をやめた後も、監査法人の元同僚とは、会計関係の良き友達、良きライバル、良き相談相手として関係が続いていくよ。その関係は、他では手に入れられない、大切な財産だよ。

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