初めて監査対応を任されると、監査法人からの資料依頼や質問にどう対応すればいいのか、不安になりますよね。

  • 「どこまで資料を準備すればいいの?」
  • 「監査法人から質問されたら、どう答えればいいの?」
  • 「前期と違う資料を依頼されたけれど、どう対応すればいいの?」

 

この記事では、BIG4監査法人で監査をする側、事業会社で監査を受ける側の両方を経験したUSCPAが、監査対応のコツを4つ紹介します。

初めて会計監査を受ける経理担当者の方や、監査対応を少しでもスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

監査対応のコツ4つ

BIG4監査法人で監査をする立場、事業会社で監査を受ける立場の両方を経験して感じるのは、監査対応は「準備」と「コミュニケーション」でかなりスムーズになるということです。

 

ここでは、経理担当者が押さえておきたい監査対応のコツを4つ紹介します。

監査対応のコツ4つ

  1. 監査人と早めにコミュニケーションをとる
  2. 監査資料は期限と整合性を確認して提出する
  3. 変動理由や特殊な取引は事前に確認しておく
  4. 前期と同じ対応で済むと思わない

監査対応のコツを説明していきます。

 

1.監査人と早めにコミュニケーションをとる

監査人と密にコミュニケーションをとる

監査対応のコツの1つ目は、監査人と早めにコミュニケーションをとることです。

 

監査人に隠しごとをしても、良い結果にはつながりません。

何かわからないことや心配なことがあったら、早めに監査人に相談しましょう。

早めに伝えておけば、監査人も監査チーム内で共有し、対応策を考えてくれます。

また、会社の事情を理解してもらっていれば、会計基準や監査上問題のない範囲で、会社の事情を踏まえた対応を考えてくれることもあります。

 

ちなみにどこは、自分が監査人だったときは、経理担当者の仕事の状況や忙しい時間帯、連絡しやすいタイミングをできるだけ把握するようにしていました。

たとえば、「Aさんは夕方以降の対応が難しいから、急ぎの確認事項は早めに連絡しておこう」と考えるだけでも、経理担当者に無理をかけずに確認を進めやすくなります。

監査人と経理担当者のどちらか一方が無理をするのではなく、お互いに動きやすいタイミングを意識することが大切です。

 

自分が経理担当者のときは、往査で監査人が来社したときは、邪魔にならない範囲で監査部屋まで様子を見に行っていました。

「何か急ぎの質問や資料依頼はありますか?」とこまめに確認し、すぐに対応するようにしていたので、監査人にも喜ばれていましたよ。

 

2.監査資料は期限と整合性を確認して提出する

期限までに整合性のとれた監査資料を提出する

監査対応のコツの2つ目は、監査資料は期限と整合性を確認して提出することです。

 

監査資料依頼リスト、いわゆるPBC(Prepared By Client)を監査人から受け取ったら、まずは依頼内容と提出期限を確認しましょう。

そのうえで、社内の担当者に資料作成を依頼します。

 

監査資料は、経理部だけで準備できるとは限りません。

人事部、営業部、情報システム部など、経理部以外の部署に依頼が必要なこともあります。

期限までに提出するのが難しそうな資料があれば、早めに監査人に相談しましょう。

 

また、監査資料依頼リストを見ても、どのような資料を求められているのかわからない場合もあります。

その場合も、自己判断で資料を作るのではなく、監査人に確認してから進めた方が安全です。

 

監査は、TB残高試算表:Trial Balance)の勘定科目単位で検証されることが多いです。

そのため、たとえば、勘定科目明細を依頼されたときは、明細の合計が勘定科目の残高と一致していることを確認してから提出しましょう。

勘定科目残高と一致していない明細を提出すると、監査人から「なぜ一致していないのか」と質問されたり、「勘定科目残高に一致した勘定科目明細を提出してください」と再提出を依頼されたりすることがあります。

 

監査資料を提出するときは、監査資料依頼リストのどの依頼に対応する資料なのかがわかるように、リストに対応した番号を記載しておくと親切です。

また、資料を更新・修正した場合は、「修正1(Revised 1)」などと記載しておくと、どの資料が最新版なのかがわかりやすくなります。

 

監査資料は、「とりあえず出す」よりも、「どの依頼に対する資料か」「どの数字と一致しているか」が分かる状態で提出することが大切です。

そうすることで、監査人との認識のズレを防ぎ、監査の遅れも防ぎやすくなります。

 

3.変動理由や特殊な取引は事前に確認しておく

質問されそうなことは事前に調べておく

監査対応のコツの3つ目は、変動理由や特殊な取引は事前に確認しておくことです。

 

監査人から質問されそうなことは、あらかじめ確認しておきましょう。

特に、前期と比べて金額が大きく増減している勘定科目は、監査人から質問されやすいです。

 

  • 「なぜ売り上げが増えたのか」
  • 「なぜ人件費が減ったのか」
  • 「なぜ広告宣伝費が大きく増えているのか」

といった質問にすぐ答えられるようにしておくと、監査対応がスムーズになります。

 

反対に、大きく変動するはずなのに変動していない勘定科目については、監査人から質問されることがあります。

たとえば、売上が大きく増えているのに販売手数料があまり増えていない場合や、人員が増えているのに人件費があまり増えていない場合などです。

「金額が大きく変わっている科目」だけでなく、「本来なら変動するはずなのに変動していない科目」にも目を向けておくとよいです。

 

大きく変動している理由を確認してみると、単に処理を間違えていただけということもあります。

たとえば、二重計上してしまっていたり、前月の戻しを入れすぎてしまっていたりするケースです。

そのため、変動理由を事前に確認しておくことは、監査対応だけでなく、ミスの早期発見にもつながります。

 

特別利益や特別損失など、一時的・特殊な取引が含まれやすい科目も、事前に明細を作成して内容を確認しておくと安心です。

特に連結決算をしている会社では、子会社の処理にも注意が必要です。

子会社が内容を十分に整理しないまま、その他の科目に収益や費用を計上していることもあります。

親会社側で内容を把握していないと、監査人から質問されたときにすぐ答えられません。

 

金額が大きい取引、通常とは違う取引、前期から大きく変わった取引については、事前に内容を確認しておきましょう。

監査人から質問されてから調べ始めるよりも、先に整理しておいた方が、監査対応はかなり楽になります。

 

4.前期と同じ対応で済むと思わない

「前期はそんな質問はなかった、そんな依頼はなかった」など苦情を言わない

監査対応のコツの4つ目は、前期と同じ対応で済むと思わないことです。

 

監査をしていると、

  • 「前期はそんな質問をされなかった」
  • 「去年はこの資料を求められなかった」

と感じることがあります。

 

しかし、監査は毎年まったく同じ手続きをしているわけではありません。

監査は重要性に基づいて行われるため、前期は監査対象にならなかった勘定科目や取引でも、当期は監査対象になることがあります。

 

たとえば、前期は金額が小さくて詳しく確認されなかった勘定科目でも、当期に金額が大きく増えていれば、監査人から質問されたり、資料を依頼されたりすることがあります。

また、前期に誤りが見つかっていたとしても、金額的に重要性が低い場合、監査上は修正を求めずにパスされることがあります。

その場合、経理担当者に細かく伝えられていないこともあるため、「前期は何も言われなかったから問題ない」とは限りません。

つまり、「前期は聞かれなかったから、当期も聞かれないはず」と考えるのは危険です。

 

監査人は、意地悪で前期と違う質問をしているわけではありません。

会計数値に重要な誤りがないかを確認するために、必要な手続きを行っています。

前期と違う依頼が来たときは、「前期はそんな依頼はありませんでした」と返すだけでは、監査は前に進みにくくなります。

 

監査人によっては、確認の意図を詳しく説明できないこともあります。

そのため、依頼の背景を無理に聞き出そうとするよりも

  • 「どの期間の資料が必要か」
  • 「どの勘定科目まで含めればよいか」
  • 「どの程度の明細が必要か」

など、提出する資料の範囲や形式を確認するとよいでしょう。

前期と違う対応を求められたときほど、感情的にならず、必要な資料や説明を整理して対応することが大切です。

 

まとめ:監査対応は事前準備とコミュニケーションで進めやすくなる

監査対応のコツ4つ

監査対応をスムーズに進めるには、次の4つを意識しましょう。

監査対応のコツ4つ

  1. 監査人とは早めにコミュニケーションをとる
  2. 監査資料は期限と整合性を確認して提出する
  3. 変動理由や特殊な取引は事前に確認しておく
  4. 前期と同じ対応で済むと思わない

 

監査人は、会社を困らせるために質問や資料依頼をしているわけではありません。

会計数値に重要な誤りがないかを確認するために、必要な手続きを行っています。

 

監査を受ける側も、監査人とのやり取りを後回しにせず、必要な資料や説明を早めに整理しておくことが大切です。

特に、前期と違う依頼が来た時や、想定していなかった質問を受けた時は、感情的にならず、資料の範囲や提出形式を確認しながら対応しましょう。

 

監査対応は、事前準備とコミュニケーションでかなり進めやすくなります。

監査人と経理担当者のどちらか一方が無理をするのではなく、お互いに確認しやすい状態を作ることが、スムーズな監査対応につながります。

 

監査法人との付き合い方については『監査法人との付き合い方がわかる本』もおすすめです。

監査を受ける側の立場で、監査法人との接し方を学びたい方におすすめです。

 

監査対応をしていると、会計処理だけでなく、監査の考え方や内部統制の知識が必要だと感じる場面があります。

経理担当者として専門性を高めたい方や、会計・監査を体系的に学びたい方は、USCPAを検討してみるのも1つです。

USCPA試験にはAUD(Auditing and Attestation)という監査の科目があり、監査の目的や手続、監査報告書、内部統制などを学びます。

USCPAに興味がある方は、まずはUSCPAの始め方を参考にしてください。

USCPA(米国公認会計士)の始め方ロードマップ|何から始める?【5ステップ】
USCPA(米国公認会計士)の始め方ロードマップ|何から始める?【5ステップ】USCPA(米国公認会計士)になりたい人のためのUSCPA始め方ロードマップ。最初に潰す壁と一手→今日やること2つで何からを解決。始め方5ステップで、予備校比較・州選び・費用/英語の不安まで整理します。...

 

USCPAの受験資格や学習内容を詳しく知りたい方は、アビタスの無料説明会で確認してみてください。

\1分で申し込みできる/

 無料説明会を予約する↓

USCPA/米国公認会計士 国際資格 アビタス