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【AUD基礎講座 4/4】監査の結論の形成と報告を完全攻略!AreaⅣ

AUD基礎講座➃ 結論の形成と報告
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どこ
どこ
どこは、ワシントン州のUSCPA(米国公認会計士)だよ。

AUDは苦手というUSCPA受験生が多いようだよ。

決して難しい科目ではないのだけど、なかなか理解するのが難しいのかな。

少しでも理解しやすくなるよう、AUDのBlueprint(ブループリント:試験の設計図)に基づいて、AUDの基礎を全4回で解説していくね。

今回は4回目で、監査の結論の形成と報告について、BlueprintのAreaⅣの部分だよ。

 

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【AUD基礎講座 4/4】監査の結論の形成と報告を完全攻略!AreaⅣ

今回は、監査プロセスの最終段階である「結論の形成と報告」、すなわちAUDブループリントのエリアIVについて、深く掘り下げて解説していきます。

監査プロセスをマラソンにたとえるなら、これまで計画(エリアI)、リスク評価(エリアII)、監査手続の実施(エリアIII)と走り続け、いよいよこのエリアIVで「最後のゴールテープを切る」ことになります。

監査の集大成ともいえるこの重要な部分を、一緒にマスターしていきましょう。

この記事では、監査意見を表明する前の最終手続きから、意見の種類と判断基準、報告書の構成、そしてエリアIVがカバーする広範な業務までを体系的に解説します。

 

もし音声で理解したい場合は、USCPAどこチャンネルの【AUD基礎4/4】監査の結論と報告 USCPA受験生向けをご覧ください。

 

1. 意見表明への最終関門:監査のラップアップ・フェーズ

監査意見を形成する直前には、監査の品質を担保するための極めて重要な手続きが残っています。

厳密にはブループリントのエリアIII(監査手続の実施)の範囲ですが、エリアIVの結論を出すための大前提となるため、ここでしっかり理解しておきましょう。

 

(1)決算日後の重要イベント:「期後事象(Subsequent Events)」の検討

「期後事象(Subsequent Events)」とは、監査対象期間の終了後(例:12月31日)から監査報告書日までの間に発生した事象を指します。

この事象は、その原因が決算日時点で存在していたかどうかによって、2つのタイプに分類されます。

タイプ 原因 財務諸表への

影響と対応

具体例
タイプ1 決算日時点で原因が存在する。 財務諸表の修正(Adjustment)と注記での開示(Disclosure)の両方が必要。 決算日時点で回収が危ぶまれていた売掛金が、期後に正式に貸し倒れとなった。
タイプ2 決算日時点で原因が存在しない。 財務諸表の修正は不要。ただし、重要性があれば注記での開示(Disclosure)が必要。 決算日後に発生した予期せぬ自然災害により、工場が大きな損害を受けた。

 

このタイプ1とタイプ2の判断を誤ると、財務諸表の最終的な正しさが揺らいでしまうため、非常に慎重な検討が求められる重要なステップです。

 

(2)経営者からの最終確認:「経営者確認書(Management Representation Letter)」の入手

「経営者確認書(Management Representation Letter、通称Rep Letter)」は、監査プロセス中に経営者が監査人へ口頭で伝えた内容や、経営者が負うべき責任について、書面で最終確認するための文書です。

これにより、後々の「言った・言わない」というトラブルを防ぎます。

 

この確認書は、必ず会社のレターヘッドで作成してもらい、CEOやCFOといった責任ある役職の方が署名します。

 

経営者確認書には、主に以下の内容が含まれます。

経営確認書に含まれる内容

  • 経営陣が財務諸表の作成と適正な表示に責任を負うこと。
  • 内部統制の整備・運用・維持(Design, Implementation, and Maintenance)に対する責任。
  • 監査に必要な全ての情報を監査人に提供したこと。
  • 経営陣が認識している不正や法令違反の疑いがないこと。
  • 把握している全ての期後事象を監査人に伝えたこと。

 

この確認書には、2つの極めて重要なポイントがあります。

経営者確認書のポイント

  • 日付の重要性

経営者確認書の日付は、監査報告書の日付と同日か、それに近い日付でなければならず、監査報告書日より後になることは決してありません。

これは、監査人が現場での作業を終えるその日までに行われた表明を確認するためです。

  • 入手できなかった場合の影響

「監査範囲の制約(Scope Limitation)」意見不表明となる可能性が極めて高くなります。

 

 

2. エリアIV-Aの核心:4つの監査意見を理解する

監査人は、集めた証拠を基に最終的な結論として監査意見を表明します。意見には大きく分けて4つの種類があります。

 

(1)最も望ましい結果:「無限定意見(Unmodified Opinion)」

財務諸表が、適用される財務報告の枠組み(例:US GAAP)に準拠し、全ての重要な点において適正に表示されている(”presented fairly in all material respects”)と監査人が結論付けた場合に表明される、いわゆる「クリーンな意見」です。

  • 非公開会社向け基準(SAS):Unmodified Opinion、
  • 公開会社向け基準(PCAOB):Unqualified Opinion

意味は同じです。

 

(2)問題が見つかった場合:「修正意見(Modified Opinions)」

無限定意見を表明できない場合に表明されるのが「修正意見」です。

どの修正意見になるかは、以下の2つの軸の組み合わせによって決まります。

 

➀原因の軸

GAAPからの逸脱(GAAP Departure): 会計原則の適用に誤りがある。

監査範囲の制約(Scope Limitation): 必要な監査手続を実施できなかった。

 

➁影響の広がりの軸

限定的(Material but not Pervasive): 問題の影響が特定の勘定科目などに限定されている。

広範(Material and Pervasive): 問題の影響が財務諸表の広範囲に及ぶ、または財務諸表の理解の根幹に関わるほど重要である。

 

(3)3種類の修正意見

上記の判断基準に基づき、3種類の修正意見が決定されます。

 

➀限定付意見(Qualified Opinion)

条件: 原因が「限定的なGAAP逸脱」または「限定的な監査範囲の制約」の場合。

意味: 「特定の影響を除けば、財務諸表は適正である」という趣旨の意見です。

 

➁不適正意見(Adverse Opinion)

条件: 原因が「広範なGAAP逸脱」の場合。

意味: 最も厳しい意見であり、「財務諸表は適正に表示していない(do not present fairly)」と断定します。

これは、財務諸表全体が信頼できないという強いメッセージです。

 

③意見不表明(Disclaimer of Opinion)

条件: 原因が「広範な監査範囲の制約」の場合。

意味: 十分な証拠を入手できず、意見形成の基礎がないため「意見を表明しない(do not express an opinion)」と述べます。

注意すべきは、財務諸表がダメだと言っているわけではない点です。

 

 

3. 監査意見の伝え方:監査報告書の基本構成(非公開会社向け)

監査意見は、監査報告書という正式な文書で伝えられます。

非公開会社向けの標準的な無限定意見報告書は、順番が重要な以下の4つの主要セクションで構成されます。

 

(1)監査人の意見(Auditor’s Opinion)

最初に結論である監査意見を述べます。

 

(2)意見の根拠(Basis for Opinion)

監査がGAAS(Generally Accepted Auditing Standards)に準拠して行われたこと、監査人の独立性、そして意見表明の基礎となる十分かつ適切な証拠を得たことなどを記載します。

修正意見の場合は、その理由もここに記載されます。

 

(3)経営者の責任(Management’s Responsibility)

財務諸表の作成と適正な表示、そして内部統制に対する経営者の責任を明記します。

 

(4)監査人の責任(Auditor’s Responsibility) 

見表明という監査人の目的、合理的な保証の獲得、監査の範囲や手続の概要などを説明します。

 

これら基本構成に加え、特定の状況下で以下の区分が追加されることがあります。

追加1:強調事項区分(Emphasis-of-Matter Paragraph)

継続企業の前提に関する重要な不確実性など、財務諸表を理解する上で特に重要な事項へ読者の注意を喚起するために使用されます。

 

追加2:その他の記載区分(Other-Matter Paragraph)

過年度の財務諸表を別の監査人が監査した場合など、監査業務や監査報告書の理解に関連する情報を記載するために使用されます。

 

 

4. 財務諸表監査だけじゃない!エリアIVの広大な学習範囲

エリアIVの学習は、ここから財務諸表監査という中心的なテーマから、より広い保証業務(Assurance Services)や関連サービス(Related Services)の世界へと広がっていきます。

高得点を狙うには、この知識の幅を広げておく必要があります。

 

(1)証明業務(Attestation Engagements)

財務諸表以外のテーマ(例:内部統制の有効性)に保証を提供する業務です。

➀意見表明業務(Examination)

監査と同じくらい高いレベルの保証を提供します。

➁レビュー業務(Review)

限定的な保証を提供します。

③合意された手続業務(Agreed-Upon Procedures / AUP)

保証は提供せず、実施した手続とその結果のみを報告します。

 

(2)会計及びレビュー業務(SSARS)

主に非公開会社向けのサービスです。

 

➀調製業務(Preparation)、コンピレーション業務(Compilation)

保証を提供しません。

➁レビュー業務(Review)

限定的な保証を提供します。

証明業務にもレビューがありましたが、適用される基準が異なります。

試験では、どちらの基準に基づくレビューなのか、その違いを理解しているかが問われるので注意が必要です。

 

(3)公開会社監査(Issuer Audits)

PCAOB基準に準拠します。

特に、サーベンス・オクスリー法(SOX法)が要求する、財務報告に係る内部統制監査と財務諸表監査を一体で行う統合監査(Integrated Audit)が非常に重要です。

 

(4)政府監査(Governmental Audits)

GAASに加え、GAO(米国政府会計検査院)が定める追加基準(通称Yellow Book)に従う監査です。

 

(5)その他の報告業務

特別目的の財務報告の枠組み(Special Purpose Frameworks)(例:税法基準)に基づく報告や、四半期財務諸表に対する期中レビュー(Interim Review)なども含まれます。

 

 

5. AUD試験合格への2つの鍵

広範なエリアIVをマスターするためには、以下の2点が不可欠です。

 

(1)ロジックの理解

単なる丸暗記では、応用問題には対応できません。

「なぜこの状況ではこの意見になるのか?」「なぜこの手続きが必要なのか?」といった、ルールや手続の裏にある理由や原則(ロジック)を理解することが、本当の実力に繋がります。

 

(2)英語での用語習得

試験は全て英語です。

重要な専門用語を日本語とセットで覚えるのではなく、英語で正確に覚えることが、本番での時間短縮と得点力アップに直結します。

以下の用語は必ず英語で押さえておきましょう。

  • Subsequent Events
  • Management Representation Letter
  • Unmodified Opinion
  • Qualified Opinion
  • Adverse Opinion
  • Disclaimer of Opinion
  • Emphasis-of-Matter Paragraph
  • Other-Matter Paragraph
  • Attestation Engagements
  • Examination
  • Review
  • Agreed-Upon Procedures
  • Accounting and Review Services
  • SSARS
  • Preparation
  • Compilation
  • Review
  • Issuer Audits
  • Integrated Audit
  • Governmental Audits
  • Yellow Book

 

 

以上、「【AUD基礎講座 4/4】監査の結論の形成と報告を完全攻略!AreaⅣ 」でした。

どこ
どこ
USCPA(米国公認会計士)試験の AUDにおける「結論の形成と報告」(エリアⅣ)に焦点を当てて解説したよ。

まず、あらゆる意見表明の大前提となる監査の最終チェック、すなわち期後事象の検討と経営者確認書の入手が大事だね。

それから、監査証拠に基づき4つの監査意見のいずれかを決定するロジックも理解してね。

さらに、その結論が監査報告書という形でどのように伝えられるかも覚えてね。

財務諸表監査だけでなく、証明業務やSSARSといったエリアIVがカバーする広範なトピックもしっかり押さえておいてね。

USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。

短期合格のコツも記載しています。

 

まだUSCPAの学習を開始していない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。

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