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【REG基礎講座】個人所得税申告書 Form 1040 を徹底解説!USCPA受験生向け

個人所得税申告書 Form1040
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どこは、ワシントン州のUSCPA(米国公認会計士)だよ。

USCPA試験のREG科目において、個人所得税の申告書であるForm 1040に関するTBS問題に対して「どこから手をつけていいかわからない」「情報が多すぎて混乱する」といった声をよく聞くんだよね。

Form1040、特にそのTBS問題に対して苦手意識を持っているREG受験生も多いはず。

その苦手意識を払拭し、Form 1040を得意分野に変えられるよう解説していくね。

 

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目次(見たい項目へ)

はじめに:Form 1040の苦手意識を克服しよう

Form 1040への苦手意識を払拭し、得意分野に変えるために鍵となるのが、Form 1040全体の構造、特に各スケジュールからの情報の「流れ(Flow)」を体系的に理解することです。

 

Form 1040はそれ自体が複雑な計算を行う場所というよりは、様々なスケジュール(Schedule C、E、Dなど)からの情報を集約する「要約(summary)」または「」としての役割を果たしています。

つまり、1040そのものを丸暗記する必要はなく、『どのスケジュールの数字が最終的に1040のどこに入るか』を追えるようになることがREGでは重要です。

この中心的な概念を理解すれば、個々の取引が最終的に納税額にどう影響するのか、驚くほどクリアに見えてくるはずですよ。

 

Form1040とスケジュールの関係はこんな感じです。

[Form 1040 (Page 1)]

│ 追加所得・調整があれば

[Schedule 1]
├─ Part I: Additional Income → 1040 P1 (2024年なら line 8)
└─ Part II: Adjustments → 1040 P1 (2024年なら line 10)


[Form 1040 (Page 1 の下部 → Page 2)]

│ 税額を増やすか・減らすかで分岐
├─▶ [Schedule 2] … 追加の税金 → 1040 P2 line 17 / 23 に戻る
└─▶ [Schedule 3] … 追加の控除・支払 → 1040 P2 line 20 / 31 に戻る

 

 

もし音声で理解したい場合は、USCPAどこチャンネルの【REG基礎】個人所得税申告書 Form1040 解説 USCPA受験生向け をご覧ください。

 

 

最初に、Form1040がどんなものか確認したい方は、英語と和訳の聞き流し動画を用意していますので、こちらをご覧ください。

【REG】Form 1040 米国個人所得税申告書(Individual Income Tax Return)聞き流し

 

 

Form1040の所得控除(Adjustments)と税額控除(Credits)について知りたい場合は、【REG基礎講座】所得控除と税額控除(Credit)をForm1040に沿って整理!をどうぞ。

REG基礎 控除とクレジット
【REG基礎講座】所得控除と税額控除(Credit)をForm1040に沿って整理!USCPA受験生用USCPA試験のREGの基礎を解説!REGの中でも特に重要な論点である個人所得税申告書(Form1040)の控除(Deduction)と税額控除(Credits)について解説。AGIの上か下か、Above the Line vs Below the Line。...

 

動画がいい場合は、こちらです。

11月時点で工事中。

 

また、IRS(米国内国歳入庁)の公式サイトで最新のForm 1040を確認してみてもいいですね。

USCPA試験では、問題文に添付されているフォームや指示が最優先です。

年度で行番号が変わることがあるので、必ず問題側に合わせてくださいね。

IRS公式サイト:About Form 1040, U.S. Individual Income Tax Return

 

ほか、REGの受験対策については、以下の記事も参考になります。

 

USCPA試験REGの試験対策

【REG】USCPA試験のREGはどんな科目?2024年新試験の対策と傾向を解説
【2025年・2026年】REG(税法と商法)のUSCPA試験対策を徹底解説!USCPA試験のREG(税法と商法)はどんな科目?新試験での受験対策をUSCPAどこが解説!必要な勉強時間、受験戦略、重要ポイント、受験生による手応えと結果も紹介!...

 

USCPA試験REGのBlueprint

【2021年7月改正後】USCPA試験 REG Blueprintsの内容
REGのBlueprint(ブループリント)を解説!2025年USCPA試験対応【REGのBlueprint】USCPA試験合格のため、AICPAのBlueprintsを一読するのをおすすめしています。BlueprintsのREG部分に何が書かれているか、特に高いスキルが必要なのは何か解説!...

 

 

1.USCPA試験における個人所得税(Form 1040)の重要性

REG科目において、個人所得税の知識は合否を分ける重要な要素です。

 

USCPA試験のREG科目のBlueprint(ブループリント)では、Area IV「Federal Taxation of Individuals」が個人所得税の出題分野です。

単なる知識の記憶(Remembering & Understanding)だけでなく、具体的なシナリオに基づいて計算(Application)や分析(Analysis)を行う高度なスキルが求められることがわかります。

 

以下の表は、Blueprintで示されている代表的なタスクと、それぞれに要求されるスキルレベルをまとめたものです。

コンテンツグループ 代表的なタスク(英語) 代表的なタスク(和訳) スキルレベル
Gross income (inclusions and exclusions) Calculate the amounts that should be included in an individual’s gross income as reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return, including wages, interest and dividends, guaranteed payments received from a partnership, fringe benefits, income from a qualified retirement plan and punitive damages. Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告される個人の総所得に含めるべき金額(賃金、利息・配当金、パートナーシップから受け取った保証金、付加給付、適格退職年金制度からの所得、懲罰的損害賠償金など)を計算する。 Application
Gross income (inclusions and exclusions) Calculate the capital gain that should be included in an individual’s gross income as reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return from transactions, including gains from the sale of investments or virtual currencies, assets received as gifts and assets received from a decedent and classify them as long-term or short-term. Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告される個人の総所得に含めるべきキャピタルゲインを、取引(投資や仮想通貨の売却益、贈与や被相続人から受け取った資産からの利益など)から計算し、長期または短期に分類する。 Application
Gross income (inclusions and exclusions) Calculate the amounts that should be excluded from an individual’s gross income as reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return, including tax-exempt interest, gifts received and life insurance proceeds. Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告される個人の総所得から除外すべき金額(非課税利息、受領した贈与、生命保険金など)を計算する。 Application
Gross income (inclusions and exclusions) Calculate the income reported in the year of death for a decedent on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return. Form 1040(米国個人所得税申告書)で、被相続人の死亡年に報告される所得を計算する。 Application
Gross income (inclusions and exclusions) Review Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return and supporting documentation, including any source data used to create the return, to determine the completeness and accuracy of the gross income reported. Form 1040(米国個人所得税申告書)および申告書の作成に使用された原データを含む裏付け文書をレビューし、報告された総所得の完全性と正確性を判断する。 Analysis
Gross income (inclusions and exclusions) Review and resolve discrepancies identified by automated diagnostic and validation checks to ensure the completeness and accuracy of the gross income reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return based on the source data used to prepare the form. 自動診断および検証チェックによって特定された不一致点をレビューし、解決することで、申告書の作成に使用された原データに基づき、Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告された総所得の完全性と正確性を確保する。 Analysis
Reporting of items from pass-through entities Use information provided from disregarded and pass-through entities in which an individual has an ownership interest to report an owner’s share of ordinary business income (loss) and separately stated items on an individual’s tax return. 個人が所有権を有するディスリガード・エンティティ(Disregarded Entity)およびパススルー・エンティティから提供された情報を使用し、事業主の通常事業所得(損失)と個別表示項目を個人の税務申告書(Form 1040)に報告する。 Application
Adjustments and deductions to arrive at adjusted gross income and taxable income Review Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return and supporting documentation, including any source data used to create the return, to determine the accuracy of the adjusted gross income and taxable income reported. Form 1040(米国個人所得税申告書)および申告書の作成に使用された原データを含む裏付け文書をレビューし、報告された調整後総所得(AGI)および課税所得の正確性を判断する。 Analysis
Adjustments and deductions to arrive at adjusted gross income and taxable income Review and resolve discrepancies identified by automated diagnostic and validation checks to ensure the completeness and accuracy of the adjusted gross income and taxable income reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return based on the source data used to prepare the form. 自動診断および検証チェックによって特定された不一致点をレビューし、解決することで、申告書の作成に使用された原データに基づき、Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告された調整後総所得(AGI)および課税所得の完全性と正確性を確保する。 Analysis
Loss limitations Review Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return and supporting documentation, including any source data used to create the return, to determine the accuracy of the losses reported. Form 1040(米国個人所得税申告書)および申告書の作成に使用された原データを含む裏付け文書をレビューし、報告された損失の正確性を判断する。 Analysis
Loss limitations Review and resolve discrepancies identified by automated diagnostic and validation checks to ensure the completeness and accuracy of the loss limitations reported on Form 1040 – U.S. Individual Income Tax Return based on the source data used to prepare the form. 自動診断および検証チェックによって特定された不一致点をレビューし、解決することで、申告書の作成に使用された原データに基づき、Form 1040(米国個人所得税申告書)で報告された損失制限の完全性と正確性を確保する。 Analysis

 

 

Form 1040の構造を理解し、情報を正しく配置・計算する能力は、REG試験で高得点を狙う上で不可欠なことが分かりますね。

なお、ここで扱うのは個人所得の申告書としてのForm 1040であり、Trust・Estateや特殊なクレジットは問題文で指定されたときのみ対応すれば十分です。

 

2.Form 1040の全体像:5つのステップで理解する情報の「流れ」

Form 1040の構造を理解する最善の方法は、「情報の流れ」をステップバイステップで追うことです。

この5つのステップは、Form 1040の1ページ目で総所得から課税所得を算出し、2ページ目で最終的な納税額を確定させるという物理的な構造と連動しています。

 

ステップ1:総所得(Gross Income)の集計

最初のステップは、給与、事業所得、利子、配当など、あらゆる源泉からの収入を合計することです。

 

ここには3つの主要な情報の流れがあります。

  1. 従業員の給与所得(Form W-2):Form 1040の1ページ目に直接記載されるもの。
  2. 自営業所得(Schedule C)や賃貸不動産所得(Schedule E):まずSchedule 1に集計され、その合計額がForm 1040に転記されるもの。
  3. 資産の売却や暗号資産の売買など:Form 8949 → Schedule D を経由して1040に反映されるもの

 

暗号資産は、売却・交換などキャピタル取引があった場合にSchedule Dへ行き、給与やマイニング報酬として受け取った場合は通常の所得として扱います。

 

ステップ2:調整後総所得(Adjusted Gross Income: AGI)の計算

次に、総所得から特定の控除項目を差し引き、AGIを算出します。

これらの控除は「Above-the-line deductions」とも呼ばれ、Schedule 1のPart IIに記載されます。

 

試験で頻出する項目の具体例は以下の通りです。

  • Traditional IRAへの拠出控除
  • 自営業者向け健康保険料控除
  • 学生ローン利息控除
  • 自営業税(Self-employment tax)の半分(雇用主が負担する社会保障税・メディケア税相当分として)

 

REGでは、これらの控除額は問題文に金額が与えられることが多いです。

全部を記憶するより『AGIの前に引く=for AGI』という位置づけを押さえてくださいね。

 

ステップ3:控除額(Deductions)の決定

AGIからさらに差し引くことができる控除額を決定します。

 

納税者は、以下の2つのうち通常は金額が大きい方を選択します(試験でもこの前提で出題されることが多いです)。

  • 標準控除(Standard Deduction): 申告ステータスごとに定められた固定額の控除。
  • 項目別控除(Itemized Deductions, Schedule A): 住宅ローン利息、州・地方税、慈善寄付などの合計額。

ただし、試験の問題文に「項目別控除を選択している」とあれば、その指示を優先してください。

 

ステップ4:課税所得(Taxable Income)の計算

AGIからステップ3で決定した控除額や適格事業所得控除(QBI Deduction)などを差し引くと、最終的に税額計算の基礎となる「課税所得」が算出されます。

ここで重要なのは、「AGIは重要な中間指標だが、実際に税金を支払うのは課税所得に対してである」という点です。

この段階の行番号は年度で変わるため、REGでは提示されたフォーム上の行をそのまま使ってください。

 

ステップ5:税額、税額控除、支払(Tax, Credits, and Payments)

最後に、Form 1040の2ページ目で、課税所得に税率を適用して税額を算出し、そこから税額控除(Credits)を差し引きます。

さらに、源泉徴収(Withholding)や予定納税(Estimated tax payments)といった既に支払った税額を考慮し、最終的な納税額または還付額が決定します。

 

さらに、Form 1040の2ページ目では、基本の税額に「追加の税金(Additional Taxes)」と「追加の控除・納付(Additional Credits and Payments)」を出し入れするために、

  • Schedule 2 → 1040 line 17 / line 23
  • Schedule 3 → 1040 line 20 / line 31

という2本のサブラインを使います。

 

2024年フォームではこの配置なので、REGでもこの形で出てきたらそのまま追ってください。

問題側のフォームが別の年式なら、行番号は問題に従ってくださいね。

「税額を増やすのはSchedule 2」「税額を減らす・支払済みに足すのはSchedule 3」と覚えておくと、2ページ目で迷いません。

 

子ども関連のクレジットなど、一部の税額控除は別フォーム・別スケジュール(例:Schedule 8812)で計算して1040の2ページ目に戻します。

1040は「本体でざっくり、詳細は別紙で計算して戻す」という構造だと理解しておくと迷いません。

この情報の流れを理解するために、次のようなアナロジーが役立ちます。

Form 1040は都市全体の地図。

各スケジュールは特定の地区の詳細地図。

REG試験では、個々の取引という出発点から、どの道(スケジュール)を通り、最終目的地(納税額)にたどり着くかを理解しているかが問われるわけです。

 

 

3.REG受験生が押さえるべき主要フォームとスケジュール

TBS問題では、様々な資料から情報を抜き出し、正しいフォームやスケジュールに配置する能力が試されます。

特に以下のフォームは頻出です。

 

(1)Form W-2 (Wage and Tax Statement)

従業員の給与所得と源泉徴収税額が記載されています。

Box 1の賃金はForm 1040のLine 1aに直接流れるという点をしっかり押さえましょう。

Box 1の給与所得はForm 1040の1ページ目へ、源泉徴収税額は2ページ目の支払額セクションへと流れ込みます。

 

(2)Schedule C (Profit or Loss from Business)

重要なポイントは、売上総額ではなく、広告費や保険料などの経費を差し引いた後の「純利益または純損失」がSchedule 1に流れることです。

 

REGでは、どの費用が控除可能でどれが個人的支出かを区別する問題が多いです。

計算結果はSchedule 1を通じて1040に行きます。

最終的な純利益/損失額が、Schedule 1 Part Iに流れ込みます。

 

(3)Schedule E (Supplemental Income and Loss)

貸不動産、ロイヤルティ、そしてパススルー事業体(パートナーシップ、S Corporation)からの所得や損失を報告します。

これらの純利益または純損失がSchedule 1に集計されます。

 

パートナーシップやSコープからのK-1情報をForm 1040に流し込む問題もここに含まれます。

受け取ったK-1をそのまま区分して入力できるかがポイントです。

すべての所得/損失を合計した純額が、Schedule 1 Part Iに流れ込みます。

 

(4)Schedule D / Form 8949 (Capital Gains and Losses)

株式やデジタル資産(例:Bitcoin)などの資産売却によるキャピタルゲインやロスを報告します。

保有期間が1年以下(短期)か1年超(長期)かによって税率が異なるため、その区別が重要になります。

仮想通貨・デジタル資産については、売却・交換などキャピタル取引があった場合のみこのルートになり、マイニングや報酬として受け取った場合は通常所得として Form1040に計上します。

計算された純損益額が、Form 1040のLine 7に流れ込みます。

 

(5)Schedule 1 (Additional Income and Adjustments to Income)

Form 1040のハブ(中心)となる非常に重要なスケジュールです

Part IがSchedule CやEなどからの追加所得を集計し、Part IIがAGIを計算するための調整項目(Above-the-line控除)を集計する場所であることを再確認してください。

Part I で集計した追加所得は、その年のForm 1040の「その他の所得」欄(2024年版ならline 8)に、Part IIで集計した調整額は「Adjustments to income」の欄(2024年版ならline 10)に入ります。

*行番号は年度で変わるので、試験では必ず問題に添付されたフォームの番号を優先してください。

 

(6)Schedule A (Itemized Deductions)

項目別控除を計算するためのスケジュールです。

標準控除の金額と比較して、こちらの方が有利な(合計額が大きい)場合にのみ使用されます。

計算された控除合計額が、Form 1040のLine 12で標準控除と比較され、有利な方が採用されます。

 

 

4. Form 1040 TBS問題 攻略法

Form1040のTBS問題はどのように攻略すればいいのか解説します。

 

(1)何を覚えるべきか:ルールと分類

まず安心してください。

試験では、フォームのライン番号や、毎年インフレ調整される標準控除の具体的な金額を暗記する必要はありません。

それらは通常、問題文や資料で与えられます。

 

代わりに最も重要なのは、「項目の正しい分類」を覚えることです。

つまり、「この所得はどこに計上されるのか?」「この支出はどの種類の控除に該当するのか?」を正確に判断する能力です。

以下に頻出する論点と考え方を挙げます。

 

➀自営業者向け健康保険料

これはSchedule Cの事業経費ではなく、Schedule 1のAGI調整項目(Above-the-line deduction)です。

これは試験で頻出する引っかけ問題。

なぜなら、事業関連費のように見えて、個人の生活費(医療費)の性質も持つからです。

税法はこれを個人への恩恵とみなし、項目別控除を選択するか否かに関わらず(利益が上限ですが)控除を認めるため、「Above-the-line」としてAGI計算に直接影響させるわけです。

このロジックを理解すれば、単なる暗記から脱却できます。

 

➁IRAへの拠出

Traditional IRAへの拠出は(所得制限などの条件付きで)控除可能ですが、Roth IRAへの拠出は控除不可です。

これはIRAの目的を理解すると覚えやすくなります。

Traditional IRAは「税繰延べ(Deduct now, pay tax on distributions)」、Roth IRAは「非課税成長(Pay tax now, tax-free distributions)」が目的です。

したがって、控除が認められるのは拠出時に課税を残すTraditional IRAだけです。

 

③非課税所得の例外

労災補償金(Workers’ Compensation)は非課税ですが、その利息は課税対象です。

奨学金は授業料・書籍代に充てられた部分は非課税ですが、宿泊費・食費(room and board)に充てられた部分は課税対象です。

税法の原則は「すべての所得は課税対象。ただし例外を除く」です。

労災補償金や奨学金の本体は、損害の補填や教育支援という政策目的で非課税とされています。

ですが、そこから生じる利息や、教育と直接関係のない生活費(宿泊費・食費)は、その例外規定の範囲外となり、原則通り課税対象に戻るのです。

 

➃デジタル資産

売却・交換などキャピタル取引がある場合はForm 8949→Schedule D→Form 1040の順で反映します。

なお、現行のForm 1040には申告書の冒頭に「Digital assets に関する取引があったか?」というYes/Noの質問が独立して置かれています(2024年版)。

ここは実際のTBSでもそのまま出されることがあるので、売却・交換ならSchedule Dへ、報酬・マイニングならSchedule 1の所得として処理する、という後続の流れとセットで意識しておいてください。

 

報酬・マイニングとして受け取った場合は、キャピタルではなく通常所得として扱い、Schedule 1(Part I)経由でForm 1040に流し込みます。

 

IRSはデジタル資産の取引報告漏れに注目しています。

Form 1040の冒頭に質問を配置したのは、納税者に報告義務を強く意識させるためです。

税務上、デジタル資産は株式などと同じ「資産(property)」として扱われるため、売却損益はSchedule Dで報告するというルールを徹底しましょう。

 

(2)TBS問題の解き方 3ステップ

複雑に見えるTBS問題も、体系的なアプローチで解くことができます。

 

ステップ1:資料の確認(Identify the “Given”)

最初に問題の指示を読み、提示された資料(W-2、1099フォーム、取引メモなど)にどのような情報が含まれているかをざっと把握します。

何が問われているのか、どの情報をどこに入力すべきかを確認しましょう。

 

ステップ2: 情報の流れを追跡(Visualize the Flow)

各情報がどのスケジュールを経由して、最終的にForm 1040のどの部分(総所得、AGI、課税所得)に影響を与えるかを頭の中で追跡します。

「この自営業の売上と経費はSchedule Cで純利益を計算し、その結果がSchedule 1に行き、最終的にForm 1040の総所得の一部になる」といった具体的な流れをイメージします。

 

提示されているフォームやスケジュールは、その年度のものとして扱い、手元の知識と違っても問題文のフォームを優先してください。

この「流れの追跡」は、単に数値を埋める作業ではありません。

TBS問題では、既に入力されている数値が間違っている場合もあります。

全体の流れを理解していれば、「AGIがこの値なのに、この控除額はおかしい」といった矛盾点に気づき、能動的に間違いを発見・修正できるようになります。

 

ステップ3:計算と入力(Calculate and Populate)

必要な計算(例:Schedule Cの純利益、キャピタルゲインの計算など)を行い、シミュレーション画面の正しいセルに数値を入力します。

単位や符号(マイナスなど)の入力ミスに注意しましょう。

 

(3)よくある間違いと注意点

受験生が陥りやすい典型的な間違いを事前に知っておくことで、本番での失点を防げます。

  • Schedule Cで売上総額を利益と勘違いし、経費を引かずに転記してしまう。
  • “Above-the-line”控除(例:IRA拠出)を、項目別控除(Schedule A)に誤って含めてしまう。
  • AGI(調整後総所得)の金額によって控除額が制限されるルール(例:学生ローン利息のフェーズアウト)を見落とす。
  • 従業員(W-2受給者)は、原則として事業関連経費を控除できないという基本的なルールを忘れてしまう。

 

 

5. 試験直前チェックリスト:これだけは押さえよう!

最後に、試験直前に見直すべき最重要ポイントをまとめました。

「覚える/覚えなくていい」で分けます。

 

(1)必ず覚える

覚えるのは以下です。

  • 1040は各スケジュールのまとめである
  • for AGI / from AGI の位置
  • Schedule C・E・Dの代表的な流れ
  • 税額を増やすのがSchedule 2、減らす/支払うのがSchedule 3
  • 問題文に行番号があればそれに従う 

 

(2)問題文で与えられたら使う(覚えなくていい)

覚えなくていいのは以下です。

  • 年度ごとの標準控除額
  • フォームの細かい表示位置
  • 実務用のチェックボックス類 

 

 

以上、「【REG基礎講座】個人所得税申告書 Form 1040 解説!USCPA受験生向け」でした。

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USCPA(米国公認会計士)試験の REGにおける個人所得税申告書 Form1040について解説したよ。

Form 1040の構造は、一見複雑だよね。

でも、情報の流れという「幹」を掴めば、個々の「枝葉」であるルールも整理しやすくなるからね。

ポイントをしっかり押さえて頑張ってね!

USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。

短期合格のコツも記載しています。

 

まだUSCPAの学習を開始していない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。

USCPAの始めかた 5ステップ
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