AUDのリリース問題(AICPA Released Questions)をやっているけど、何が大事なのかよくわからないよ。
誰かに解説してもらいたいな。
2019年から2025年までのAUDのリリース問題を分析したよ。
どのようなトピックが大事なのか、どのように学習すればいいのか解説していくね。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
そして、短期合格には自分に合ったUSCPA予備校を選ぶ必要があります。
おすすめのUSCPA予備校はアビタスです!
日本では唯一、AICPAリリース問題を日本語解説付きで提供しています。
\無料・すぐに読める・オンライン参加可能/
USCPAの勉強を始めていない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かし方やUSCPA短期合格のコツも記載しています。
(2025/08/25 09:34:04時点 Amazon調べ-詳細)
- 注意:【AUD】USCPAリリース問題(AICPA Released Questions)解説にあたって
- 1.AUDで特に重点を置くべきトピック
- 2.AUDリリース問題の出題内容の分析
- (1)2019年のAUDリリース問題分析
- (2)2020年のAUDリリース問題分析
- (3)2021年のAUDリリース問題分析
- (4)2022年のAUDリリース問題分析
- (5)2023年のAUDリリース問題分析
- (6)2024年のAUDリリース問題分析
- (7)2025年のAUDリリース問題分析
- ➀政府監査基準 (GAGAS) における独立性
- ➁統合監査
- ③証明業務の種類
- ➃予測財務諸表
- ⑤政府機関監査
- ⑥監査契約書
- ⑦内部統制の不備のコミュニケーション
- ⑧監査事務所の品質管理
- ⑨調製業務
- ⑩監査計画
- ⑪経済指標
- ⑫企業と環境の理解
- ⑬COSO内部統制フレームワーク
- ⑭内部統制の監視活動
- ⑮職務の分離
- ⑯サービス監査人の報告書
- ⑰経営者による内部統制の無効化
- ⑱許容虚偽表示
- ⑲不適切な仕訳
- ⑳専門家作業の利用
- ㉑EDI
- ㉒監査証拠の信頼性
- ㉓買掛金網羅性
- ㉔サンプリングリスク
- ㉕実証手続きの種類
- ㉖分析的手続き
- ㉗売掛金確認
- ㉘虚偽表示の種類
- ㉙弁護士照会状
- ㉚比較財務諸表
- ㉛虚偽表示の金額評価
- ㉜経営者確認書
- ㉝後発事象
- ㉞監査報告書日付
- ㉟合意手続報告書
- ㊱特別目的フレームワーク
- ㊲レビュー報告書
- ㊳会計原則の変更
- 3.AUDのリリース問題を基にした理解度チェック
- 4.AUDのリリース問題に出てくる理解すべき単語
- まとめ:AUDのリリース問題で学習ポイントを押さえる
注意:【AUD】USCPAリリース問題(AICPA Released Questions)解説にあたって
AUDのUSCPAリリース問題(AICPA Released Questions)の解説をしますが、少しフワッとした部分があるかもしれません。
リリース問題は、権利関係で誰でも入手できるものではありません。
なので、公に問題を1問1問、ネット上に書いていいものではありません。
あくまでも、過去のリリース問題を見て、どのような傾向があるか分析し、お伝えするのが精いっぱいとなります。
少しフワッとしているとしても、USCPA受験生にリリース問題を最大限に活かしていただくため、最大限の努力をしたと、ご理解いただければ幸いです。
当記事では、2019年から2025年までのAUDのリリース問題を分析した結果に基づき、AUD受験生が、何をどのように学習したら良いか、解説していきます。
USCPA試験のリリース問題(AICPAリリース問題)については、こちらの記事が詳しいです。
USCPA試験のAUD受験対策徹底解説も参考にしてください。
AUDのリリース問題解説については、USCPAどこチャンネルの「【AUD】リリース問題(過去問)からの出題傾向解説」も参考にしてください。
1.AUDで特に重点を置くべきトピック
AUDのリリース問題(2019年~2025年)を分析した結果、AUDで特に重点を置いて学習すべきトピックが明確になっています。
リリース問題を通じて頻繁に出題されている、または、内容が複雑で深い理解が求められるトピックは以下の通りです。
これらを優先的に学習することで、効率的に得点アップを目指せると思いますよ。
注意:あくまでもリリース問題を分析した結果であり、「本番で出題される」または「本番で出題された」というわけではありません。
(1)職業倫理と独立性 (Professional Ethics & Independence)
CPAの独立性の原則と、特定の状況(例:相続、配偶者の金融持分、銀行の取締役就任など)が独立性をどのように阻害するかについての詳細な理解が求められます。
非監査業務(税務サービス、人事関連サービスなど)と監査業務を同時に提供する際の独立性への影響は頻出テーマです。特に、SECやPCAOBの規則がAICPA職業行為規範よりも厳格な場合がある点を区別して理解することが重要です。
クライアント記録の返却義務や、カバードメンバーの定義など、AICPA職業行為規範の具体的な内容が問われています。
(2)内部統制 (Internal Control)
COSOフレームワークの5つの構成要素(統制環境、リスク評価、統制活動、情報と伝達、モニタリング活動)とその原則に関する問題が非常に多く出題されています。
固有の限界 (Inherent Limitations)、特に経営者による無視 (management override)や人的エラーに関連する問題も頻出です。
職務の分離 (Segregation of Duties)の原則と具体例が繰り返し問われています。
IT統制の重要性が高まっており、データインテグリティ、アクセス統制(生体認証、暗号化)、アプリケーション統制と全般統制の設計と運用、ウォークスルーなど、技術的な側面からの問いも目立ちます。
サービス組織 (Service Organization)の内部統制(SOCレポート、Type 1 vs. Type 2)に関する理解も必要です。
(3)監査計画とリスク評価 (Audit Planning & Risk Assessment)
新規クライアント受け入れ時の前提条件、監査戦略と監査計画の策定、監査チームの構成、監査証拠の十分性と適切性 が問われます。
重要な虚偽表示のリスク (RMM)の評価と、それに対する全体的な対応(例:監督の強化、専門的懐疑心の強調)が重要です。
重要性 (Materiality)の決定、再評価、許容虚偽表示の概念(定量的・定性的要因)も頻繁に出題されます。
(4)監査証拠と手続き (Audit Evidence & Procedures)
監査証拠の信頼性(情報源や性質による違い)が繰り返し問われます。
各種監査手続き(確認、分析的手続、再計算、再実施、観察、質問、資料の閲覧など)の目的と適用が問われます。
監査サンプリング(属性サンプリングと変数サンプリング、サンプルサイズに影響する要因、逸脱/虚偽表示の評価、サンプリングリスクの種類)の概念とその適用が重要です。
会計上の見積り(年金給付債務、公正価値測定など)の合理性評価、および専門家の作業の利用に関する問題も出題されます。
訴訟、賠償請求及び賦課 (LCA)に関する監査手続(弁護士照会状、経営者への質問、認識・開示の判断)も重要な論点です。
関連当事者取引の識別と評価。
(5)監査報告書とコミュニケーション (Audit Reporting & Communications)
監査報告書の日付(フィールドワーク完了日、監査調書完了日、後発事象と関連する日付変更)に関する規定。
様々な報告書の種類(監査、レビュー、調製、合意手続、検証)とその保証水準、報告書の記載事項の違いを理解することが不可欠です。
継続企業の前提 (Going Concern)に関する評価とその報告書への影響(説明の段落の追加、修正意見の表明)。
後発事象 (Subsequent Events)の識別、評価、財務諸表への影響(修正または開示)とその報告書への反映方法。
監査委員会やガバナンスに責任を負う者とのコミュニケーションの内容と目的。
グループ監査における構成要素の監査人との連携とコミュニケーション。
特殊目的フレームワーク (Special Purpose Framework)に準拠した財務諸表の報告。
補足情報 (Supplementary Information)に対する意見表明。
(6)不正 (Fraud)
監査人の不正に対する責任(合理的な保証、専門的懐疑心)。
経営者による不正(Management Fraud)が検出されにくいリスク。
(7)政府監査基準 (GAGAS/GAS)
単一監査の目的。
政府監査における内部統制の不備の報告(重大な不備と重要な欠陥の両方)。
業務監査における機密情報の取り扱い。
2.AUDリリース問題の出題内容の分析
AUDリリース問題を2019年から2025年まで、どのような問題が出題されているのか分析しました。
2019年から2025年までのAICPAリリース問題には、監査業務の多岐にわたる側面からの出題が含まれており、特に職業倫理と独立性、内部統制、監査計画とリスク評価、監査証拠と手続き、監査報告書とコミュニケーション、そして不正や政府監査基準といったテーマが頻繁に問われています。
また、旧BECやFARの知識が組み込まれた科目横断的な問題も確認できます。
以下に、各年ごとの出題内容をまとめます。
(1)2019年のAUDリリース問題分析
2019年度のAUDリリース問題は、CPAの独立性に関する具体的なシナリオ、内部統制のCOSOフレームワーク、監査計画と不正リスク評価、実証性テストの実施時期など、幅広い分野をカバーしています。
➀CPAの独立性
相続した株式の処理方法や、銀行の取締役就任が独立性に与える影響について問われました。
➁単一監査
管轄連邦機関の役割と関与状況に関する理解が求められました。
③証明業務
SSAEにおける「should consider」の解釈に関する問題が出題されました。
➃初年度監査
新規監査における人員配置の考慮事項が問われました。
⑤調製業務
独立性阻害要因が存在する場合の開示義務に焦点が当てられました。
⑥不正リスク
監査チーム内でのコミュニケーション、特に職業的懐疑心の保持の重要性が問われました。潜在的な不正発見時の監査人の最初の対応についても出題がありました。
⑦実証性テスト
期中実施後の追加的な監査作業(内部統制の有効性が評価されていない場合)が問われました。
⑧ビジネスサイクルと経済学
ビジネスサイクルの定義や、経済成長の変動の主要因(総支出水準)、通貨の流通速度に関するBEC分野からの出題がありました。
⑨Sarbanes-Oxley Act (SOX法)
監査委員会の独立性要件や、記録改ざんに対する罰則について問われました。
⑩COSO内部統制フレームワーク
財務報告に係るリスクの原因(例:急速な事業成長)が問われました。
モニタリング活動の最初のステップや、急激な事業拡大時のモニタリング対応策が問われました。
統制環境を強化する要因に関する問題が出題されました。
統制活動の一例として、トップレベルレビューに関する問題が出ました。
⑪IT統制
データ転送時の不正開示防止策(暗号化)や、会計システムにおける誤記帳防止策(総勘定元帳)に関する問題が出ました。
⑫職務の分離
不適切な職務兼務の例が問われました。
⑬サービス組織
受託監査人報告書(SOCレポート)の評価方法が問われました。
⑭監査計画とリスク評価
監査計画段階での分析的手続の利用(不正リスク識別)や、高いRMMに対する全体的な対応(監督の強化など)が問われました。
⑮重要性
質的要因が重要な虚偽表示の判断に与える影響が問われました。
⑯監査証拠と手続き
監査証拠の信頼性(情報源による違い)が問われました。
売掛金確認手続きで十分な証拠が得られない場合の対応が問われました。
公正価値見積もり(仲買人の提示価格)の評価が問われました。
訴訟、賠償請求、賦課 (LCA) に関する監査証拠の入手手段(顧問弁護士からの裏付け)や、弁護士照会状の回答で追加調査が必要なケースが問われました。
⑰監査報告書とコミュニケーション
監査意見の修正判断基準が問われました。
業務変更(監査から合意手続へ)時の報告書記載事項が問われました。
⑱後発事象
有価証券価値の材料損失や、火災によるプラント損壊が財務諸表にどのように報告されるべきかが問われました。
⑲サンプリング
監査の効率性に関連するサンプリングリスクや、予想虚偽表示額の計算方法が問われました。
⑳継続企業の前提
重大な疑念を抱く可能性が低い状況が問われました。
(2)2020年のAUDリリース問題分析
2020年度のAUDリリース問題は、CPAの独立性のより詳細な側面、内部統制の各要素、不正に関する責任、グループ監査の重要性、会計上の見積もりなど、引き続き広範な領域にわたって出題されました。
➀CPAの独立性
配偶者が監査クライアントの株式を保有している場合の対応が問われました。
従業員給付制度の監査における独立性基準(労働省ガイドライン)が問われました。
➁不正リスク評価
公開会社と非公開会社双方に共通する不正リスク評価の要件が問われました。
③監査エンゲージメント
初度監査の受け入れにおける監査人の主な目的が問われました。
財務諸表作成業務におけるCPAの独立性要件が問われました。
前任監査人の定義と、監査中の重大な困難の監査委員会へのコミュニケーション時期が問われました。
➃レビュー業務
レビュー業務中に不正の兆候を発見した場合の会計士の対応が問われました。
⑤SOX法
CEOとCFOによる財務報告書の認証義務、および上級財務担当役員に対する倫理規範の開示義務が問われました。
⑥COSO内部統制フレームワーク
内部統制システムの目的(達成できることとできないこと)が問われました。
エンティティレベルコントロールの例とそうでないものの区別が問われました。
棚卸資産の価格表における虚偽表示検出に有効でない内部統制活動が問われました。
⑦IT統制
統合監査におけるウォークスルー手続きの完全かつ正確なリストが問われました。
データ整合性エラーのリスクが最も高いスプレッドシートの状況が問われました。
職務の分離違反の例(購買システム)が問われました。
注文の正確な入力を確保するための最適な統制(購買システム)が問われました。
小切手を使った不正を防止できない内部統制手続きが問われました。
バッチ処理システムにおける顧客残高の正確性確認に最も頻繁に分析すべきレポートが問われました。
不正アクセス防止のためのIT統制(生体認証デバイス)が問われました。
⑧サービス組織
サービス組織のコントロールの運用有効性に関する監査証拠を得るための手続きが問われました。
⑨不正
重大な不正を実行する立場として最も可能性が高いのは誰かが問われました。
⑩グループ監査
未検出の虚偽表示がグループ全体重要性を超えないようにするための構成要素重要性の設定が問われました。構成要素監査人が独立性要件を満たさない場合のグループ監査チームの対応が問われました。
⑪統制リスク評価
当年度の監査手続き設計時に考慮しない要因が問われました。
⑫内部監査機能
独立監査人が内部監査人の客観性を評価する際の手続きが問われました。
⑬関連当事者取引
経営者の説明と著しく矛盾する場合の監査人の対応が問われました。
⑭データベース
テーブル内の特定のレコードを識別する一意の属性(主キー)に関する用語が問われました。
⑮監査証拠
年金給付債務の公正評価に最も適切な監査証拠が問われました。
⑯調製業務
財務諸表に重大な虚偽表示があると判明した場合の会計士の対応が問われました。
⑰期首残高監査
監査手続きの目的が問われました。
⑱サンプリング
非統計的サンプリングの特徴が問われました。
属性サンプリングにおいてサンプルサイズを決定する際に考慮しない要因が問われました。
⑲レビュー業務
非公開企業のレビューエンゲージメント中に棚卸資産に関して実施される手続きが問われました。
⑳公正価値
デリバティブや金利スワップの公正価値評価に関する監査証拠と手続きが問われました。
㉑訴訟
訴訟に係る監査証拠として考慮しない事項が問われました。
㉒継続企業の前提 (Going Concern)
重大な疑念が存在する状況が問われました。
㉓虚偽表示の重要性
発見された虚偽表示が重要であるかを判断する質的要因が問われました。
㉔経営者確認書
比較財務諸表のレビュー業務における経営者確認書のカバー期間が問われました。
㉕監査報告書発行後の監査人の責任
監査報告書発行後に事実が発見された場合の監査人の責任、および監査契約終了後の責任が問われました。
㉖監査報告書日付
監査報告書が日付を付与できる最も早い時期が問われました。
㉗合意手続報告書
報告書の記載事項が問われました。
㉘政府監査基準 (GAGAS)
機密情報が監査報告書から除外される場合の対応が問われました。
(3)2021年のAUDリリース問題分析
2021年度のAUDリリース問題は、AICPA職業行為規範の具体的な適用、レビュー業務の特性、内部統制の構成要素と限界、リスク評価、監査サンプリング、後発事象、監査報告書の文言など、監査の基本から応用までを網羅しています。
➀AICPA職業行為規範
クライアントが監査報酬を滞納している場合でも、CPAがクライアント記録を返却する義務があることが問われました。
➁SEC独立性
発行体の監査と同時に提供される非監査サービスが独立性を損なう場合の例が問われました。
③レビュー業務
経営者の討議及び分析 (MD&A) のレビューエンゲージメントにおける必須特性の例外(詳細テストの適用)が問われました。
期中財務情報のレビューで通常実施されない手続き(外部弁護士からの訴訟情報入手)が問われました。
レビュー業務の作業調書に含まれる可能性が最も低いもの(内部統制の評価)が問われました。
レビュー業務で最も実施される可能性が高い手続き(後発事象に関する質問)が問われました。
CPAが実施する作業手順から業務の種類(レビュー)を推測する問題が出題されました。
非独立の会計士がレビュー報告書を発行できるか、貸借対照表のみにレビュー報告書を発行できるかなど、報告に関する記述の正誤が問われました。
➃監査契約書
非公開企業の監査において、契約書に含める可能性が高い事項(内部監査人の関与に関する取り決め)が問われました。
⑤監査調書
非公開企業の監査調書完了の期限が問われました。
⑥品質管理レビュー
業務パートナーとレビュー担当者間で意見の相違が生じた場合の対応が問われました。
⑦SOX法
監査委員会の企業責任要件に関する例外や、監査委員会の役割に関する問題が出題されました。
⑧COSO内部統制フレームワーク
内部統制の有効性に関する最大の懸念事項(ルーティンモニタリングでのタイムリーな誤り検出の失敗)が問われました。
統制環境の構成要素に焦点を当てた企業の行動(性能に関するベースライン期待値の設定)が問われました。
統制環境の評価で最も考慮すべき要因(経営者による倫理的価値観の示し方)が問われました。
監視活動の例(顧客からの苦情情報の利用)が問われました。
内部統制の固有の限界の例(人的エラー)が問われました。また、固有の限界に該当しないものも問われました。
⑨分析的手続き
レビューエンゲージメントにおける分析的手続きの例外(裏付資料との比較)が問われました。
⑩リスク評価と対応
売掛金の回収可能性のレビュー不足が、どの主要なアサーションのリスクを高めるか問われました。
重要な虚偽表示のリスク評価レベルが増加した場合の監査人の一般的な対応(職業的懐疑心の強調)が問われました。
⑪関連当事者取引
リスク評価手続きとして最も適切に行われること(関連当事者取引識別のためのエンティティの手続き評価)が問われました。
⑫スプレッドシート
セル参照のベストプラクティス(絶対セル参照)に関する問題が出ました。
⑬監査サンプリング
サンプルサイズを大きくする必要がある条件(許容虚偽表示レベルが低い場合)が問われました。
統制テストにおけるサンプリングの最も適切な適用例(顧客注文に対する信用承認証拠のテスト)が問われました。
⑭再実施
再実施の監査手続きの最も適切な目的(銀行勘定調整統制の運用有効性のテスト)が問われました。
⑮棚卸資産
表示と開示の適切性に関する監査手続き(ローン契約に担保として供されている棚卸資産の確認)が問われました。
⑯公正価値見積もり
活発に取引される債券の公正市場価値の最も適切な指標(市場公表価格)が問われました。
⑰訴訟
潜在的な訴訟の影響を評価する際に監査証拠として入手しない事項(裁判での審理が必要となる可能性)が問われました。また、訴訟が重要な場合の負債認識に関する対応が問われました。
⑱継続企業の前提
重大な疑念を軽減する条件(所有者持分の増加計画)や、疑念を示す可能性が最も低い条件(優良な金利での債券発行)が問われました。
⑲経営者確認書
署名者(社長とCFO)や、未修正虚偽表示に関する記載内容(重要性がないこと)が問われました。
⑳後発事象
監査報告書日以降に発生し、財務諸表の修正を要する事象に対する監査人の対応(監査報告書日付の変更)の例外が問われました。
㉑監査意見
限定意見または意見差控えを発行する可能性が最も高い状況(弁護士が監査質問状への回答を拒否した場合)が問われました。
㉒監査報告書の文言
非公開企業の監査報告書における意見区分の必須記載事項が問われました。
㉓財務諸表作成業務
要件の例外(経営者提供情報の完全性の検証)や、無保証表示の拒否時の適切な対応が問われました。
㉔調製業務
会計士が独立していない場合でも報告書を発行できることや、特定の要素に対する報告のルールが問われました。
㉕前任監査人
比較財務諸表が他監査人によって監査されている場合の、前任監査人の報告書再発行時の手続き(経営者と後任監査人からの確認書入手)が問われました。
(4)2022年のAUDリリース問題分析
2022年度のAUDリリース問題は、CPAの独立性のさらに詳細なルール(特に税務サービスや公開企業関連)、監査調書の目的と品質管理、不正検出責任、内部統制の評価、後発事象、継続企業の前提、監査意見の表明など、多岐にわたる重要な論点が含まれています。
➀CPAの独立性
AICPA職業行為規範に基づき、税務コンプライアンスサービスでCPAの独立性を損なう行為(CPAが支払い承認権限を持つ場合)が問われました。
公開企業の監査において登録公開会計事務所の独立性が損なわれる状況(ソフトウェアベンダーからコミッションを受け取る場合)が問われました。
公開企業の監査においてCPAが独立性を維持しつつ提供できるサービス(経理部の組織図作成)が問われました。
➁監査基準の用語
SASにおいて推定的に必須な要求事項を示す用語(should)が問われました。
③財務諸表作成業務
契約書において経営者の責任として特定されるべき事項(重要な判断の正確性)が問われました。
➃監査契約書
監査契約書に含める可能性が最も高い事項(監査以外の追加サービス)が問われました。
⑤監査調書
監査調書を作成する主な目的(GAASに準拠した監査の裏付け)が問われました。
⑥品質管理レビュー
品質管理レビューが未実施の場合の監査業務パートナーの対応(監査報告書の発行を差し控える)が問われました。
⑦監査人の責任
誤謬と不正の検出に関する監査人の責任(合理的な保証)が問われました。
⑧期中監査手続
貸借対照表日より前に監査人が最もテストする可能性が高い勘定科目(修繕費)が問われました。
⑨経済学
景気減速時の予想される結果(金利の低下)や、高レバレッジクライアントの固有リスクを増加させる外部要因(プライムレートの増加)に関するBEC分野からの出題がありました。
⑩COSO内部統制フレームワーク
モニタリングプロセスの有効性に関する経営者の懸念事項の例外が問われました。
⑪IT統制
効果的な統制手続きを確保する上でのシステム設計戦略(全般統制とアプリケーション統制の統合)が問われました。
電信送金の過大計上エラーを検出できる内部統制(毎月の銀行勘定調整)が問われました。
信用適格顧客への出荷を確かめるための内部統制テスト(信用保留顧客の船荷証券発行試行)が問われました。
内部統制を最も促進する組織構造(内部監査が監査委員会に直接報告)が問われました。
自動化された情報システムにおける統制のモニタリングに関する問題が出ました。
⑫重要性
合併により財務状況が著しく変化した場合の重要性の再評価が問われました。
発行体の財務諸表監査における重要性の考慮事項(過年度の未修正虚偽表示の累積効果)が問われました。
⑬統合監査
非公開企業の財務報告に係る内部統制(ICFR)の有効性に関する意見形成のために、監査人が実施する手続きの例外(企業の資本構成関連事項のレビュー)が問われました。
⑭統制テスト
発行体の財務諸表監査における統制テストに関する記述の正誤が問われました。
⑮内部監査機能
監査人が内部監査人の業務に依拠できる条件(客観性と能力の肯定的な評価)が問われました。
⑯準拠違反
法律・規制遵守に関する監査人の責任(財務諸表の重要な虚偽表示の特定)が問われました。
⑰監査サンプリング
サンプリングリスクがサンプルサイズに影響を与えることに関する記述の正誤が問われました。
⑱確定給付型年金制度
給付金支払いが制度文書に従って行われているかをテストする最も効果的な手続き(選択された参加者の給付金を再計算)が問われました。
⑲監査証拠
売掛金残高の実在性をテストする最も効果的な監査証拠(顧客からの直接確認)が問われました。
⑳確認手続き
売掛金確認のサンプル抽出元の適切性が問われました。
㉑訴訟、賠償請求及び賦課 (LCA)
弁護士照会状の回答で監査範囲の制限につながる可能性が最も高いもの(特定の係争中の法的問題に関する情報除外)が問われました。
訴訟関連情報を入手するための最初のステップ(経営者との潜在的な訴訟に関する質問と議論)が問われました。
㉒継続企業の前提
非公開企業の継続企業としての能力に重大な疑念を抱く可能性が低い要因(全額償却済み資産の処分計画)が問われました。
非公開企業の継続企業としての能力に重大な疑念を抱く可能性が最も高い要因(主要サプライヤーの破産)が問われました。
発行体の未修正虚偽表示の評価に含まれるべき事項(過年度に検出された誤表示と当年度に検出された過年度関連誤表示)が問われました。
㉓経営者確認書
経営者確認書を入手する主な理由が問われました。
㉔後発事象
監査終了時に後発事象の発見に最も寄与しない監査手続き(監査作業調書のレビュー)が問われました。
開示を要する後発事象を識別するための手続き(中間財務諸表のレビュー・分析)が問われました。
㉕監査報告書
継続企業の前提に重大な疑念がある場合の監査報告書の適切な形式(説明段落付き無限定意見)が問われました。
財務諸表作成業務において、経営者が各ページへの「無保証」表示を拒否した場合の適切な会計士の対応(無保証を明確にする免責事項の発行)が問われました。
調製業務において、エンゲージメントチームのメンバーが直接的な金融利害を持つ場合の会計士の対応(報告書での独立性の欠如の明記)が問われました。
㉖会計原則の変更
不適切な会計原則から適切な会計原則への変更は、虚偽表示の修正として扱われることが問われました。
㉗他国の財務報告フレームワーク
米国以外で利用される財務諸表に対する監査報告書の形式と内容に関する規定が問われました。
(5)2023年のAUDリリース問題分析
2023年度のAUDリリース問題は、AICPA職業行為規範の詳細、監査計画とリスク評価の活動、グループ監査、内部統制の限界と評価、監査サンプリング、訴訟関連手続き、継続企業の前提、監査報告書の構成要素など、実務的なシナリオに基づいた問題が多数出題されました。
➀AICPA職業行為規範
クライアントが報酬を滞納している場合でも、CPAがクライアントに返却しなければならない記録の種類が問われました。
独立性評価の対象となる「カバードメンバー」に該当しない個人(クライアントにコンサルティングサービスを提供する企業の元シニア監査人)が問われました。
CPAの元コントローラーが監査マネージャーになった場合の監査関与の可否(独立性阻害期間の終了後)が問われました。
政府監査基準 (GAGAS) において、会計マネージャーとの親しい友情関係が独立性に与える脅威の種類(馴れ合いの脅威)が問われました。
➁監査計画とリスク評価
監査エンゲージメント全体を通じて継続的に実施される活動ではないもの(統制設計に関する質問)が問われました。
非公開企業の監査におけるリスク評価の文書化の形式と範囲が、エンティティの性質、規模、複雑性に影響されることに関する記述の正誤が問われました。
全体的な監査戦略を確立する際に、非公開企業の監査人がまず行うべきこと(監査の時期とコミュニケーションの性質を計画する)が問われました。
③ガバナンスに責任を負う者とのコミュニケーション
コミュニケーションの主要な目的ではないもの(計画された監査手続きの範囲の承認を得る)が問われました。
➃グループ監査
グループ監査チームがグループ経営者に伝達すべき事項(監査で特定された内部統制の重大な不備)が問われました。
⑤経済学
特定の経済目標(価格安定と製品手頃性)を達成するために政府が固定価格を設定した場合の消費者と生産者への長期的な影響、およびビジネスサイクルの先行経済指標に関するBEC分野からの出題がありました。
⑥SOX法
CEOの証明義務の例外(監査委員会の財務専門性)が問われました。
⑦COSO内部統制フレームワーク
リスク評価構成要素の原則に該当しないもの(リスクを許容可能なレベルに軽減するための活動の選択と開発)が問われました。
人間的判断の誤りやバイアスが内部統制の限界の例であることが問われました。
⑧IT統制
財務報告に関連する情報システムについて十分な知識を得るために監査人が実施すべき活動(取引の開始、承認、記録、処理、報告に関わる電子記録と特定勘定の理解)が問われました。
⑨内部統制
卸売業における売上注文の二重記録を最もよく防止できる統制(連番付与とレビュー)が問われました。
⑩発見的統制
利益目標達成のリスクを軽減する検出統制活動の例(旅費予算差異の週次レビュー)が問われました。
⑪不正リスク
高い不正リスクを示す可能性が高い状況(経営者が期末調整を行う責任を持ち、それが最終結果に著しく影響する場合)が問われました。
⑫統制テスト
過年度の統制運用有効性評価に依拠することを妨げない変更(新しいレポート作成を可能にするシステム変更)が問われました。
⑬政府監査基準 (GAGAS)
政府機関の監査において、監査人の裁量で必要な専門スキルを持つ専門家を使用できることが問われました。内部監査人への質問事項で適切でないもの(ビジネス慣行や倫理行動に関する見解の伝達方法)が問われました。
⑭会計上の見積もり
過年度財務諸表における経営者の重要な会計上の見積もりを遡及的にレビューする監査人の主な目的(経営者のバイアスが存在したかどうかを示す)が問われました。
⑮関連当事者取引
特別な考慮が必要な理由(財務諸表が適正な表示を達成できない可能性)が問われました。
⑯データベース
内部結合のレコード数に関する問題が出題されました。
⑰有給休暇引当金
従業員情報の完全性を検証する最も適切な監査手続き(給与台帳との照合)が問われました。
⑱専門家作業の利用
経営者が専門家を利用している場合、監査人が最も適切に行うべきこと(専門家の性質と専門性のレベルを評価する)が問われました。
⑲監査サンプリング
詳細テストでより大きなサンプルサイズを必要とする要因(統制リスクと固有リスクの評価レベルが高い場合)が問われました。
属性サンプリングにおいてサンプルサイズに影響を与える要因(母集団の予想逸脱率)が問われました。
監査サンプルで発見された虚偽表示額から母集団全体の虚偽表示を推定する方法が問われました。
統制テストのサンプル項目に設計された監査手続きを適用できない場合の対応(当該項目を統制からの逸脱として扱う)が問われました。
⑳専門的懐疑心
経営者の問い合わせに対する回答を裏付けるための最善の手続きの例(独立した情報源からの情報入手)が問われました。
㉑統合監査
発行体の内部統制監査と財務諸表監査における実証的監査手続きの利用に関する記述の正誤が問われました。
㉒現金残高
クライアントの現金残高に関する意見を形成するための最も適切な手続き(クライアントの銀行への確認状の送付)が問われました。
㉓訴訟、賠償請求及び賦課 (LCA)
弁護士が質問状への回答を拒否した場合の監査人の対応(範囲制限による意見修正)が問われました。
㉔継続企業の前提
重大な疑念を示す可能性が最も高い状況(営業活動によるキャッシュフローがマイナス)が問われました。
㉕重要性
虚偽表示が重要であるかを評価する際に考慮する質的要因でないもの(誤採択のリスク)が問われました。
㉖後発事象
財務諸表修正を要する後発事象が発生し、報告書日付が変更された場合の監査人の責任範囲(新しい報告書日付まで)が問われました。
㉗専門家作業の利用
監査報告書における専門家の作業への言及に関する記述の正誤が問われました。
㉘監査報告書
その他情報区分が監査報告書に含まれる状況(米国GAAPとIFRSの両方で財務諸表を報告する場合)が問われました。
発見事項、意見、結論、または保証のいかなる形式も表明しない業務の種類(調製業務)が問われました。
㉙準拠性証明
非公開企業の財務諸表監査と関連して、契約合意の遵守に関する別途報告書を作成する場合の報告書記載事項(契約合意の具体的な条項への言及)が問われました。
㉚比較財務諸表の監査
監査クライアントが全ての表示期間に意見表明を求める場合の、監査人の最初の考慮事項(先行期間の情報が公正な表示を構成する十分な詳細を含んでいるか)が問われました。
㉛補足情報
財務諸表と関連して補足情報が公正に表示されているかについて意見を提供するための手続きが問われました。
(6)2024年のAUDリリース問題分析
2024年度のAUDリリース問題は、AICPA職業行為規範の基礎、監査計画の概念、内部統制の評価とIT統制、不正検出の責任、監査証拠の信頼性、サンプリングリスク、訴訟関連、継続企業の前提、監査報告書の構成と文言、政府監査基準など、監査の核となる領域を深く掘り下げた問題が出題されました。
➀AICPA職業行為規範
「相当な注意 (due care)」の原則が、能力と勤勉さをもってサービスを提供することに関連することが問われました。
PCAOBの独立性規則における、監査人のバイアスがないことの重要性(監査結果の信頼性維持のため)が問われました。
➁単一監査
連邦政府の助成金を受ける地方政府の財務諸表監査において、単一監査が要求される理由(主要プログラムが関連法規を遵守しているか確認するため)が問われました。
③合意手続業務
合意手続業務の最も適切な特徴付け(クライアントが特定の主題に対して実施された特定の手続きに基づく発見事項の報告を要求するエンゲージメント)が問われました。
➃監査エンゲージメントの受嘱
監査人が独立していない場合でも、非公開企業の監査エンゲージメントを受嘱できる唯一の状況(法律により受嘱が義務付けられている場合)が問われました。
⑤監査契約書
非公開企業の内部統制の固有の限界に関するコミュニケーションが、どの文書で要求されるか(エンゲージメントレター)が問われました。
⑥監査調書の保管期限
非公開企業の監査調書の保管期限が、監査報告書発行日から5年間以上であることが問われました。
⑦監査計画
発行体の内部統制監査の全体的な戦略の一部として、監査人が監査委員会に伝えるべき事項(会社の人員の作業利用計画の範囲)が問われました。
監査戦略がより詳細な監査計画の基礎を形成することが問われました。
監査計画の一部として監査人が最も計算する可能性が高いもの(売上総利益率の変化)が問われました。
⑧企業と環境の理解
エンティティとその環境を理解する際に、監査人が通常考慮しない事項(固定資産税評価異議申し立ての申告要件の変更)が問われました。
⑨SOX法
発行体の監査委員会財務専門家に関する開示についての記述の正誤が問われました。
⑩COSO内部統制フレームワーク
内部統制の有効性に関する経営者の監督が、どの統制構成要素の証拠となるか(モニタリング活動)が問われました。
⑪統制環境
発行体の経営哲学と運営スタイルが、財務報告に係る効果的な内部統制の発展を促進するかどうかを監査人が評価すべき理由が問われました。
⑫IT統制
自動化された統制が適している状況(毎月繰り返される多数の類似取引を処理する場合)が問われました。
委託企業(Silver Corp.)の監査人が、受託企業(Gold Payroll Co.)の内部統制システムを評価する際に考慮すべき事項(Goldの監査人によって発行されたGoldの統制に関する報告書)が問われました。
発行体の収益勘定に記録されるべき重要な売上請求書が含まれていない懸念に対処するための最も適切なテスト(記録件数チェック)が問われました。
CSVファイルからのデータインポートでエラーが発生する可能性のある文字列が問われました。
⑬不正
財務諸表における重要な虚偽表示を検出できないリスクが最も大きい状況(経営者による不正)が問われました。
⑭虚偽表示の原因
CFOが減価償却費を減らすために残存価額を水増し、耐用年数を延長した行為が、何に該当するか(不正)が問われました。
⑮補足情報
非公開企業の補足情報に対して意見を提供する場合の重要性レベル(財務諸表監査で使用した重要性レベルと同じ)が問われました。
⑯グループ監査
グループ監査人が構成要素監査人に伝達する必要がない事項(グループ監査人がグループと構成要素のガバナンス責任者に対して無制限のアクセスを持つことの確認)が問われました。
⑰監査データ分析 (ADA)
ADAにより多数の誤表示の可能性が特定された場合の監査人の最も適切な対応(誤表示を類似の特性でグループ化し、さらに分析を行う)が問われました。
⑱監査証拠の信頼性
監査証拠の信頼性が最も影響される要因(証拠の情報源と性質、および入手状況)が問われました。
⑲サンプリングリスク
監査人がサンプルに基づいて勘定残高が重大に誤表示されていると判断したが、その後のテストで誤表示がなかったと判明した場合のサンプリングリスクの種類(過誤棄却)が問われました。
⑳収益の虚偽表示
収益が誤表示されているかを判断するのに役立つ詳細テスト(顧客に与えられた未記録の割引のテスト)が問われました。
㉑分析的手続き
分析的手続きを実証テストとして適用したが、勘定残高の重大な虚偽表示を検出できなかった最も可能性の高い理由(複数の虚偽表示が相殺し合っていた)が問われました。
㉒棚卸資産
第三者の管理下にある重要な棚卸資産に対する監査手続き(第三者からの確認の取得)が問われました。
㉓有価証券
投資対象企業の財務諸表が監査されていない場合の、投資の公正価値評価に関する最初の監査人の対応(クライアントに投資対象企業で適切な監査手続きを適用させるよう依頼する)が問われました。
㉔訴訟
監査人がクライアントに対する訴訟を発見した場合の次の行動(クライアントに不利な結果の発生確率を評価させる)が問われました。
㉕継続企業の前提
経営者の計画を考慮してもなお、発行体の継続企業としての能力に重大な疑念が残る場合に、監査委員会に伝える必要がない事項(内部統制の適切性)が問われました。
㉖経営者のバイアス
経営者の選択的な虚偽表示修正による潜在的なバイアス効果を評価するために、監査人がすべきこと(経営者が虚偽表示を修正しないと決定した理由を理解する)が問われました。
㉗経営者確認書
非公開企業の未修正虚偽表示に関する経営者の書面による確認書についての正しい記述(未修正虚偽表示の要約が書面による確認書に含まれるか添付されるべきである)が問われました。
㉘後発事象
非公開企業の監査において、後発事象に関する監査人の責任に対処するために、監査人がすべきこと(財務諸表の調整または開示を要する全ての後発事象が識別されていることを確認する)が問われました。
㉙監査意見
発行体が不正行為に関する十分かつ適切な証拠を入手することを監査人から妨げた場合、監査人が一般的に表明すべき意見(意見差控え)が問われました。
㉚内部統制監査
発行体のICFR監査において重要な欠陥が識別された場合の正しい結論(会社のICFRは効果的であるとは見なされない)が問われました。
㉛準拠性監査
財務諸表監査とは別の報告書で契約合意の遵守を報告する場合の記載事項(財務諸表監査と関連して報告が提供されているという記述)が問われました。
㉜政府機関のICFR報告
政府機関のICFR監査において、監査人が識別した重要な不備と重要な欠陥の両方を報告すべきことが問われました。
(7)2025年のAUDリリース問題分析
2025年度のAUDリリース問題は、政府監査基準における独立性、統合監査の目的、証明業務の種類、予測財務諸表の性質、監査契約、内部統制の構成要素(特に監視活動と職務分離)、サービス組織報告書の利用、不正(経営者による無効化、仕訳の異常)、監査サンプリング、会計上の見積もり、弁護士照会状、後発事象、経営者確認書、特別目的フレームワーク、会計原則の変更など、多岐にわたる監査の専門知識が試されています。
➀政府監査基準 (GAGAS) における独立性
監査サービスと同時に提供しても独立性を損なわない非監査サービス(新しい会計基準に関する研修の提供)が問われました。
➁統合監査
発行体の統合監査において、統制テストを設計する目的が、財務諸表監査における統制リスクの評価と、内部統制監査における財務報告に係る内部統制に対する意見の両方を達成するためであることが問われました。
③証明業務の種類
GAGASにおける業務の性質が、関連する規準に対する財務主題の測定について十分かつ適切な証拠を得て合理的な結論を導き、主題が規準に従って適正に表示されているかについて意見を表明する業務として、検証(examination)が問われました。
➃予測財務諸表
証明業務における非公開企業の予測財務諸表が、履歴情報と同じくらい正確であると期待すべきでないことが問われました。
⑤政府機関監査
政府機関の監査契約時において、経営者と合意する必要がない事項(内部統制の固有の限界)が問われました。
⑥監査契約書
監査人がクライアントとの間で提供されるサービスに関する理解を文書化する手紙の種類(エンゲージメントレター)が問われました。
⑦内部統制の不備のコミュニケーション
発行体の財務諸表監査において、監査人が統制の不備について書面で伝達する際に、重要な不備と重要な欠陥を区別すべきことが問われました。
⑧監査事務所の品質管理
監査事務所が従業員から独立性方針遵守の書面による確認を、少なくともどのくらいの頻度で取得すべきか(毎年)が問われました。
⑨調製業務
非公開企業の調製業務を行う会計士がすべきこと(適用される財務報告フレームワークの理解)が問われました。
⑩監査計画
発行体の監査計画を立案・実施する際に、監査に予測不可能な要素を導入する例(予告なしに手続きを実施する)が問われました。
⑪経済指標
消費者物価指数 (CPI) が経済のどの特性を評価するために一般的に使用されるか(物価の安定性)が問われました。
⑫企業と環境の理解
エンティティとその環境(内部統制を含む)の理解から得られた結果の利用目的(財務諸表の重要な虚偽表示のリスク評価)が問われました。
⑬COSO内部統制フレームワーク
リスク評価プロセスの前に確立されなければならないもの(エンティティレベルの目的)が問われました。
⑭内部統制の監視活動
内部統制の監視活動に最も直接的に関連する状況(内部監査人が銀行勘定調整の適時性を評価する)が問われました。
⑮職務の分離
別々の従業員によって実行されるべきプロセスのリスト(承認、記録管理、保管機能)が問われました。
⑯サービス監査人の報告書
サービス組織の内部統制に関するサービス監査人の報告書の適切な使用方法(ユーザー監査人が財務諸表監査の一部として利用できる)が問われました。
⑰経営者による内部統制の無効化
発行体の監査において、経営者による内部統制の無効化リスクに特に対処しない監査手続き(重要なプロセスのウォークスルーの実施)が問われました。
⑱許容虚偽表示
発行体の重要な虚偽表示リスクを評価するための許容虚偽表示額を決定するレベル(勘定科目レベル)が問われました。
⑲不適切な仕訳
不適切な仕訳やその他の調整に頻繁に見られる特徴(報告期間の期末に記帳される仕訳)に監査人のテストが焦点を当てるべきことが問われました。
⑳専門家作業の利用
専門家を利用するかどうかを決定する際に、監査人が考慮すべきこと(エンティティの財務諸表の性質、複雑性を含む)が問われました。
㉑EDI
電子データ交換 (EDI) 処理時のデータ損失リスクを軽減するために小売業者が実装できる検出統制(元のEDIファイルと処理済みレコードの記録件数を比較する)が問われました。
㉒監査証拠の信頼性
リースビルディングの預金残高の存在に関する最も高い信頼性を提供する監査証拠(第三者の銀行からの確認)が問われました。
㉓買掛金網羅性
買掛金残高の網羅性をテストする際にサンプルを抽出する可能性が最も高い母集団(7月31日以降の現金支出)が問われました。
㉔サンプリングリスク
サンプルの選択が不適切であったために、監査人が統制リスクを過大に評価してしまった場合に最も起こりうる結果(実証テストから過剰な保証を求めることになる)が問われました。
㉕実証手続きの種類
過去に実施された内部統制手続きを監査人が再現して確かめる手続き(再実施)が問われました。
㉖分析的手続き
光熱費の期末計上額を評価するための分析的手続きの例が問われました。
㉗売掛金確認
口座が紛争中または金額が大きい場合に使用すべき売掛金確認依頼の形式(積極的確認状)が問われました。
㉘虚偽表示の種類
会計上の見積もりを開発する際に使用された仮定と方法を経営者にレビューさせるべき虚偽表示の種類(判断に基づく虚偽表示)が問われました。
㉙弁護士照会状
クライアントの弁護士が監査質問状への回答を適切に制限できる事項(弁護士が実質的な注意を払った事項)が問われました。
㉚比較財務諸表
非公開企業の比較財務諸表において重大な虚偽表示の可能性を監査中に認識した場合の監査人の最初の行動(虚偽表示が実際に発生したかどうかを判断する)が問われました。
㉛虚偽表示の金額評価
係争中の訴訟に関連する負債の誤表示額の特定方法(合理的見積もり範囲の下限値と記録額の差額)が問われました。
㉜経営者確認書
経営者確認書に関する正しい記述(経営者の確認は、財務諸表に報告される全期間について取得されるべきであり、たとえ経営者がその期間に在籍していなかったとしても)が問われました。
㉝後発事象
非公開企業の監査において、財務諸表の調整または開示を要する全ての後発事象が識別されていることを確認するための経営者への質問で、適切でないもの(後発期間におけるICFRの変更の有無)が問われました。
㉞監査報告書日付
非公開企業の監査において、監査報告書日付までに完了が要求される事項の例外(エンティティの監査委員会またはガバナンス責任者が監査人の報告書に同意していること)が問われました。
㉟合意手続報告書
合意手続報告書を作成する際に、実務家が考慮すべきこと(報告書で言及された主題と著しく矛盾する事項が注意に上ったかどうか)が問われました。
㊱特別目的フレームワーク
特別目的フレームワークに従ってエンティティの財務諸表を作成する会計士に要求される行動(適用される財務報告フレームワークの記述を財務諸表の表面に含める)が問われました。
㊲レビュー報告書
税務会計基準を使用して作成された非公開企業の財務諸表に対する会計士のレビュー報告書に含めるべき段落(強調事項段落)が問われました。
㊳会計原則の変更
完成品棚卸資産の会計処理方法をLIFOからFIFOに変更することが、どの種類の変更と見なされるか(会計原則の変更)が問われました
3.AUDのリリース問題を基にした理解度チェック
AUDのリリース問題から、重要論点の理解度を確認していただくためにまとめました。
(1)独立性と倫理規定
AUDの重要論点として、独立性と倫理規定があります。
➀独立性
定義と重要性: 監査人が偏見なく客観的に業務を遂行するために不可欠な要素。会計士は「事実上の独立性」(精神的な独立性)と「外観上の独立性」(第三者から見て独立性があると判断されること)の両方を維持する必要がある。
➁独立性を阻害する要因
③金銭的利害関係
監査クライアントの株式を保有するなど、直接的または重要かつ間接的な金銭的利害がある場合。
意図せず取得した株式(相続など)は、30日以内に売却または譲渡することで独立性の喪失を回避できる。
雇用関係: 監査チームのメンバーやその配偶者がクライアントの Covered Member である場合。
経営責任: クライアントの経営意思決定に関与したり、業務を承認する権限を持ったりする場合。
非監査業務の提供: 監査と同時に提供される特定の非監査業務(例: クライアントの会計帳簿作成、財務諸表のドラフト作成、ITシステムの設計・実装、報酬を受ける形でのソフトウェア推奨など)は独立性を阻害する。ただし、税務申告書の作成や会計ソフトのトレーニングなど、独立性を阻害しない範囲の業務もある。
親密な関係: クライアントの会計責任者との個人的な親密な関係は、馴れ合い(Familiarity threat)のリスクを高め、独立性を阻害する可能性がある。
SOX法とPCAOB規則: 公開企業の監査においては、AICPA倫理規定よりも厳格なSOX法およびPCAOB規則が適用される。これらは特に、独立性を損なう非監査業務の同時提供を厳しく制限している。
政府監査基準(GAGAS): 政府機関の監査において、独立性を阻害する要因(バイアス、馴れ合い、自己利益、不当な影響など)を特定し、対処することが求められる。
➃倫理規定の原則
相当な注意(Due Care): 専門的基準と倫理基準を遵守し、専門能力と業務の質を継続的に向上させる努力をすること。能力と勤勉さを持って業務を提供すること。
誠実性(Integrity): 公正で正直であること。
客観性(Objectivity): 公平で偏見がなく、利害の対立がないこと。
(2)監査の計画と戦略
AUDの重要論点として、監査の計画と戦略があります。
➀監査の前提条件
監査人は、監査契約を受け入れる前に、監査を行うための前提条件が揃っているかを確認する必要がある。これには、独立性の維持、適切な財務報告フレームワークの採用、経営者の誠実性などが含まれる。
➁監査戦略と監査計画
監査戦略: 監査手続の範囲、実施時期、方向性に関する基本方針を定める。より詳細な監査計画の基礎となる。監査の全体的な見通しや、作業を利用する人員(内部監査人など)、他の監査人の関与などが含まれる。
監査計画: 監査戦略に基づいて具体的な監査手続を策定する。
予測不可能性の要素: 経営者が監査人の行動を予測して不正を隠蔽する機会を与えないよう、監査手続に予測不可能な要素を取り入れることが重要。例として、抜き打ちでの手続実施が挙げられる。
③重要性(Materiality)
定義: 財務諸表の利用者の経済的意思決定に影響を与える可能性のある虚偽表示の金額。
評価: 金額的要因(Quantitative)と質的要因(Qualitative)の両方を考慮して決定される。質的要因の例としては、ローン契約の財務制限条項への影響、不正による虚偽表示、過去の未修正虚偽表示の累積的影響などがある。
許容虚偽表示(Tolerable Misstatement): 特定の勘定科目やアサーションに対するサンプリングで用いる実績重要性。
(3)リスク評価と内部統制
AUDの重要論点として、リスク評価と内部統制があります。
➀重要な虚偽表示のリスク(RMM)
定義: 財務諸表に重要な虚偽表示が存在するリスク。固有リスクと統制リスクから構成される。
対応: RMMが高い場合、監査人は発見リスクの許容水準を低く設定し、より厳格な監査を実施する必要がある。これには、経験豊富な人員の配置、監督の強化、実証性テストの拡大などが含まれる。
➁COSO内部統制フレームワーク
5つの構成要素: 統制環境、リスクアセスメント、統制活動、情報と伝達、モニタリング活動。
統制環境(Control Environment): 組織全体に影響を与える内部統制の基礎。経営者の倫理観や行動、経営哲学と営業スタイルがその有効性に影響する。
リスクアセスメント(Risk Assessment): 組織目標の達成に対するリスクを識別・評価するプロセス。不正リスクの評価、重要な変化の識別・分析が含まれる。組織全体の目的(Entity-level objectives)が確立されていることが前提となる。
③統制活動(Control Activities)
リスクを低減するための具体的な方針および手続。
職務の分離(Segregation of Duties): 承認、記録、保管の機能を分離すること。例: 注文の記録と承認を同一人物が行うのは違反。
予防的統制(Preventive Controls): 誤りや不正の発生を未然に防ぐ統制。例: 二重入力のエラーメッセージ。
発見的統制(Detective Controls): 発生した誤りや不正を適時に発見する統制。例: 月次での銀行勘定調整、経費の予算実績差異分析。
自動化された統制: 大量の定型的な取引の処理に適している。
情報と伝達(Information and Communication): 内部統制に関する情報の識別、捕捉、伝達。
➃モニタリング活動(Monitoring Activities)
内部統制の有効性を評価し、不備や改善点を特定するための活動。
日常的評価(例: 顧客からの苦情分析)と独立的評価(例: 内部監査人による評価)がある。
モニタリングの有効性は、経営上の目標達成を保証するものではない。
⑤内部統制の固有の限界(Inherent Limitations of Internal Control)
内部統制が有効に整備・運用されていても、完全に虚偽表示を防ぐことができない要因。
例: 人為的ミス、担当者間の共謀、経営者による内部統制の無視(Management Override)。下位従業員による無視は通常、固有の限界には該当しない。
⑥IT統制
データ・インテグリティ: データの正確性、網羅性、整合性、検証可能性。システムから直接抽出したデータは信頼性が高いが、人的加工が加わるとリスクが高まる。
データベース: リレーショナルデータベースの構成要素にはテーブル、主キー、属性などがある。
アクセス統制: 生体認証など。
システム設計: 全般統制とアプリケーション統制を手続きに組み込んで設計することで、効果的な統制を効率的に構築できる。
(4)監査手続の種類と実施
AUDの重要論点として、監査手続の種類と実施があります。
➀監査証拠
信頼性: 監査証拠の質的側面。情報源(外部情報源は内部情報源より信頼性が高い)、形態、入手状況に依存する。
十分かつ適切な監査証拠: 監査意見形成の基礎となる量と質の監査証拠。
➁主な監査手続
リスク評価手続(Risk Assessment Procedures): RMMを評価するために実施。質問、分析的手続、観察など。
③統制テスト(Tests of Controls)
内部統制の運用有効性を評価する手続。
ウォークスルー(Walkthrough): 一連の内部統制の流れを質問、観察、検証、再実施を通じて追跡し、統制の導入状況を確かめる。
再実施(Reperformance): 過去にクライアントが実施した内部統制手続を監査人が再現して有効性を確かめる。例: 銀行勘定調整の再実施。
サンプリング: 大量の定型的な取引(例: 受注伝票の信用承認)をテストする際に用いられる。
➃実証性テスト(Substantive Tests)
財務諸表の金額の正確性を直接検証する手続。
詳細テスト(Tests of Details): 個々の取引や残高の正確性を検証する。例: 売掛金の確認状送付、棚卸資産の実査。
分析的手続(Analytical Procedures): 財務データ間や財務・非財務データ間の関係性を分析し、異常な変動を識別する。例: 粗利率の変動分析、電力会社の収益推定。
期中での手続実施: 監査人は実証性テストを期中に実施することがあるが、期末日までの期間に生じた変化を検証するために追加の手続が必要。統制リスクが高い場合は、期末日にも詳細テストを実施する必要がある。
⑤主要な勘定科目に対する監査手続
現金: 銀行確認状の送付が実在性検証に最も有効。
売掛金: 顧客への確認状送付が実在性検証に有効。回収可能性の評価は経営者のレビューに依存。
棚卸資産: 外部保管の場合、保管者からの確認状送付が有効。担保提供された棚卸資産は開示の適切性を検証。
年金給付債務: 外部の年金数理人による算定結果の客観性が高い監査証拠となる。
関連当事者取引: 経営者の識別手続きの評価が重要。取引条件の公正性に注意。
会計上の見積り: 経営者の仮定と方法の合理性をレビュー。過去の見積りの回顧的レビューにより経営者のバイアスを評価できる。
(5)監査の完了と報告
AUDの重要論点として、閑散と報告があります。
➀監査調書(Audit Documentation)
目的: GAASに準拠して監査が実施されたことを裏付ける。
文書化完了日: 非公開企業は監査報告書発行日から60日以内、公開企業は45日以内。
保管期間: 監査報告書発行日から最低5年間。
➁監査人によるコミュニケーション
ガバナンス責任者(Those Charged with Governance)とのコミュニケーション: 監査範囲、時期、重要な監査上の発見事項などを伝達。計画された監査手続の範囲について承認を得るのが目的ではない。
内部統制の不備の伝達: 公開企業の場合、重大な不備と重要な欠陥を区別して報告する。
③経営者確認書(Management Representation Letter)
目的: 経営者の責任(財務諸表の作成、内部統制の維持など)を確認し、監査人との理解を明確にする。他の監査手続を補完する。
署名者: CEOおよびCFOなど、財務および経営に全体的な責任を持つ経営陣のメンバー。
日付: 監査報告書日と同日付。
対象期間: 報告対象となる全期間をカバー。
未修正虚偽表示: 未修正の虚偽表示が個別にまたは全体として重要ではないという経営者の表明を記載。
➃後発事象(Subsequent Events)
定義: 財務諸表日後から監査報告書発行日までに発生した、財務諸表の修正または開示が必要な事象。
監査手続: 経営者への質問、取締役会議事録の閲覧、弁護士からの照会書など。
監査報告書の日付: 財務諸表修正が必要な場合、監査手続完了日に日付を修正。開示のみ必要な場合、二重日付を用いる。
⑤継続企業の前提(Going Concern Assumption)
重大な疑念の兆候: 営業活動からのキャッシュフローのマイナス、債務不履行の可能性、事業停止、重要な供給者の破産など。減価償却済み資産の処分計画は通常、重大な疑念とはならない。
監査報告書への影響: 経営者による評価と開示が適切であれば、無限定意見に「説明の段落」を追加。不適切であれば、意見修正。
監査委員会への伝達: 監査報告書への影響、財務諸表への影響、開示の適切性などを伝達。内部統制の適切性は直接関係しない。
⑥監査意見の種類
無限定意見(Unqualified Opinion): 財務諸表が適正に表示されていると表明。
限定意見(Qualified Opinion): 財務諸表に重要な虚偽表示があるが、全体としては適正と判断できる場合、または監査範囲の制限があるものの、全体的な意見表明が可能と判断できる場合。
不適正意見(Adverse Opinion): 財務諸表に極めて重要な虚偽表示がある場合、または重要な欠陥がICFRにある場合。
意見差控(Disclaimer of Opinion): 監査範囲の制限が極めて重要で、意見を表明できない場合。法規により監査受託が強制される場合の非独立監査人が表明する。
⑦監査報告書の段落
意見区分(Opinion Paragraph): 適用される財務報告フレームワークに準拠している旨を記載。
追記情報区分(Emphasis-of-Matter Paragraph): 財務諸表に適切に表示・開示されている事項について、利用者の注意を喚起する場合。例: 継続企業の前提に関する重要な疑念、GAAP以外の特別目的フレームワークに準拠した財務諸表。
その他情報区分(Other-Matter Paragraph): 財務諸表に表示・開示されていない情報について、利用者に情報提供することが適切と判断される場合。例: IFRSとUS GAAPの両方で財務諸表を作成している旨。
⑧比較財務諸表
監査報告書は単一の報告書で両期間について意見を表明。前年度の財務情報が適正に表示されているかを最初に検討。
⑨会計原則の変更
会計原則がGAAPに準拠していない方法から準拠した方法に変更された場合、「虚偽表示の修正」とみなされる。FIFOからLIFOへの変更は会計原則の変更に該当する。
(6)その他の業務
AUDの重要論点として、そのほかの業務があります。
➀調製業務(Compilation Engagement)
定義: 経営者による財務諸表の作成を会計士が支援し報告する業務。
独立性: 独立していなくても実施可能だが、その旨を報告書に記載する必要がある。
保証: いかなる保証も提供しない。財務諸表の各ページに「いかなる保証も提供しない」旨を記載する。
手続: 内部統制の評価や財務情報の検証は不要。適用される財務報告フレームワークを理解する必要がある。
報告書: 発見事項や結論は表明しない。
➁レビュー業務(Review Engagement)
定義: 財務諸表に重要な修正が必要であると会計士が気づいた事項について結論を表明する業務。
保証: 限定的保証(Limited Assurance)を提供する。
独立性: 独立性が要求される。
手続: 質問と分析的手続が中心。詳細テスト(確認状送付、実地棚卸立会など)やリスク評価は実施しない。
③合意手続業務(Agreed-Upon Procedures Engagement)
定義: 特定の当事者と合意した手続を実施し、その結果(Findings)を報告する業務。
保証: いかなる保証も提供しない。意見や結論は表明しない。
報告書: 発見事項のみを報告。主題と矛盾する事項がないか確認する。手続の十分性についてCPAは責任を負わない。
➃検証業務(Examination Engagement)
定義: 主題または主題の情報が関連する規準に従って、全ての重要な点において適正に表示されているかについて意見を表明する業務。
保証: 合理的保証(Reasonable Assurance)を提供する。
適用: GAGASにおける政府監査など。
⑤単一監査(Single Audit)
定義: 連邦政府から一定額以上の助成金を受けている企業に対し、財務諸表監査と主要な政府プログラムに関する準拠性監査を一括して実施する形態。
目的: 助成金受領企業が関連法規を遵守しているか確認すること。
⑥SOC報告書
目的: 受託企業(サービス組織)の統制の有効性を、委託企業(ユーザー組織)の監査人が評価する際に利用される。
SOC 1 Type 2報告書: 内部統制の整備状況と運用有効性の両方について報告されるため、運用有効性の証拠を得たい場合に望ましい。
報告書への言及: 通常、ユーザー監査人は財務諸表監査報告書でサービス組織監査人に言及しない。意見修正に関連する場合のみ言及可能。
4.AUDのリリース問題に出てくる理解すべき単語
AUDのリリース問題に出てくる単語で、理解しておくべきものをまとめておきます。
AICPA Code of Professional Conduct (AICPA職業行為規範): 米国公認会計士協会が定める、会計専門職の倫理原則と行動規範。
Agreed-Upon Procedures Engagement (合意手続業務): 会計士が特定の当事者と合意した手続を実施し、その結果(発見事項)を報告する業務。保証は提供しない。
Analytical Procedures (分析的手続): 財務データ間、または財務データと非財務データ間の合理的な関係を分析することにより、財務情報を評価する監査手続。
Assurance (保証): 財務情報に関する信頼性。監査業務では「合理的保証」、レビュー業務では「限定的保証」を提供する。
Attest Engagement (証明業務): CPAが主題または主題情報に対して意見や結論を表明する業務。監査、レビュー、検証などが含まれる。
Audit Documentation (監査調書): 監査人が監査を実施し、監査意見を形成する際に得られた証拠、実施した作業、到達した結論を記録した文書。
Audit Engagement Letter (監査契約書): 監査業務の目的、範囲、監査人と経営者の責任、監査の固有の限界など、監査の前提条件を明確にするために作成される書面。
Audit Strategy (監査戦略): 監査手続の範囲、実施時期、方向性に関する基本方針を定めるもの。
Attribute Sampling (属性サンプリング): 内部統制の有効性を評価する統制テストにおいて、特定の統制からの逸脱率を推定するために用いられるサンプリング手法。
Bias (偏向): CPAが客観的な判断を妨げる偏りを持つこと。政府監査基準における独立性阻害要因の一つ。
Business Cycle (ビジネスサイクル): 生産、雇用、収益、売上などの経済活動の指標が増減する周期。
Cognizant Agency (管轄連邦機関): 連邦政府からの資金管理を委任され、単一監査に立ち会う連邦政府機関。
Collusion (共謀): 複数の個人が結託して不正を行うこと。内部統制の固有の限界の一つ。
Compilation Engagement (調製業務): 会計士が経営者の指示に基づき財務諸表の作成を支援し、報告書を発行する業務。独立性は必須ではないが、保証は提供されない。
Completeness (網羅性): 全ての取引や残高が適切に記録されているというアサーション。
Component Auditor (構成要素の監査人): 連結グループに含まれる子会社等の構成要素を監査する監査人。
Confirmation (確認状): 監査人が外部の第三者(例:銀行、顧客)から直接、特定の情報に関する書面での確認を得る監査手続。
Control Activities (統制活動): リスクを低減するための具体的な方針および手続。COSO内部統制フレームワークの構成要素の一つ。
Control Environment (統制環境): 組織全体において内部統制を実行するための基礎となる基準、プロセス、組織構造。COSO内部統制フレームワークの構成要素の一つ。
Control Risk (統制リスク): 虚偽表示が企業の内部統制によって適時に防止、発見、または是正されないリスク。
COSO Internal Control Framework (COSO内部統制フレームワーク): 企業における内部統制の設計、導入、運用、評価のための包括的なガイドライン。
Covered Member (対象者): AICPA職業行為規範において、独立性評価の対象となる個人または事業体。
CSV (Comma-Separated Values) file: データをカンマで区切って格納するテキストファイル形式。
Custodial Functions (保管機能): 資産の物理的な管理に関わる職務。職務の分離において、承認や記録機能と分離されるべき。
Data Integrity (データ・インテグリティ): データが正確性、網羅性、整合性、検証可能性を備えていること。
Detective Controls (発見的統制): 発生した誤りや不正を適時に発見するための統制活動。
Direct Financial Interest (直接的な持分): クライアントの株式などを直接所有する金銭的利害。独立性を阻害する要因。
Disclaimer of Opinion (意見差控): 監査範囲の制限が極めて重要である場合、または独立性が欠如している場合など、監査人が意見を表明できない旨を示す監査意見。
Due Care (相当な注意): 専門的な基準及び倫理基準を遵守し、専門能力と業務の質を継続的に向上させる努力をすること。
Electronic Data Interchange (EDI): 企業間でビジネス文書を電子的に交換するシステム。
Embezzlement (横領): 企業の資産を不正に窃取する行為。
Emphasis-of-Matter Paragraph (追記情報区分): 財務諸表に適切に表示または開示されている事項について、監査報告書の利用者の注意を喚起するために追加される段落。
Engagement Quality Control Review (品質管理レビュー): 業務報告書が発行される前に、業務チームが下した重要な判断および結論を客観的に評価する会計事務所の品質管理手続。
Entity-Level Control (事業体レベルの内部統制): 企業全体にわたる内部統制。例:統制環境、リスク評価プロセス、期末財務報告プロセス、経営者による無視に対する統制。
Error (誤謬): 意図的ではない虚偽表示の原因。
Examination Engagement (検証業務): SSAEに準拠し、主題または主題の情報が関連する規準に従って、全ての重要な点において適正に表示されているかについて意見を表明する業務。合理的保証を提供する。
Existence (実在性): 資産や負債が実際に存在するというアサーション。
Expansionary Monetary Policy (拡大金融政策): 中央銀行が貨幣供給を拡大して経済活動を促進する金融政策。
Expected Population Deviation Rate (予想逸脱率): 統制テストにおいて、母集団における内部統制からの逸脱が予想される割合。サンプリングサイズ決定の要因。
External Specialist (外部の専門家): 監査人が財務諸表に関連する事項について専門的な知識や評価を必要とする場合に、監査人の代わりに評価を実施する者。
Fair Value (公正価値): 市場参加者間の秩序ある取引における資産の売却価格、または負債の移転価格。
Familiarity Threat (馴れ合いの脅威): 監査人とクライアントの間に長期または親密な関係が存在することで、独立性が損なわれるリスク。
Financial Audit (財務監査): 財務諸表が関連する財務報告フレームワークに準拠して適正に表示されているかについて意見を表明する監査。
Financial Interests (金銭的利害): 監査クライアントの証券を保有するなどの利害関係。独立性を阻害する要因。
Financial Reporting Oversight Role (財務報告を監督する立場): クライアントの財務報告プロセスを監督する役割。
Foreign Key (外部キー): リレーショナルデータベースにおいて、あるテーブルの主キーではないが、別のテーブルの主キーとなる列。
Fraud (不正): 意図的な虚偽表示の原因。経営者による不正と従業員による不正がある。
Fraudulent Financial Reporting (不正な財務報告): 経営者が財務諸表を意図的に誤って表示すること。
GAGAS (Generally Accepted Government Auditing Standards): 政府機関の監査に適用される政府監査基準。
Going Concern Assumption (継続企業の前提): 企業が予見可能な将来にわたって事業を継続するという仮定。
Group Audit (グループ監査): 連結財務諸表を監査すること。
Group Auditor (グループ監査人): 連結財務諸表を監査する監査人。
Hard-Coding (ハードコーディング): プログラム内でデータを直接記述すること。柔軟性に欠ける。
Inherent Limitation of Internal Control (内部統制の固有の限界): 内部統制が有効であっても、全てのリスクを排除できない要因。
Inherent Risk (固有リスク): 内部統制が全く存在しないと仮定した場合に、財務諸表に重要な虚偽表示が存在するリスク。
Initial Audit (初年度監査): 監査人が初めてクライアントの監査を行うこと。
Inquiry (質問): 監査人がクライアントの経営者、従業員、その他の関係者から情報を得る監査手続。レビュー業務やリスク評価手続で頻繁に用いられる。
Inspection (検証): 文書や記録を検討する監査手続。
Integrated Audit (統合監査): 公開企業の財務諸表監査と財務報告に係る内部統制監査を同時に行うこと。
Interim Date (期中): 会計期間の途中。監査手続を期中に実施すること。
Internal Audit Function (内部監査機能): 組織内の独立した評価活動。監査人はその客観性と能力を評価し、その作業を利用できる。
Issuer (公開企業): SECに登録している企業。
Judgmental Misstatements (判断に基づく虚偽表示): 会計上の見積りに関する経営者の判断が不合理または不適切であることに起因する虚偽表示。
Lagging Indicator (遅行指標): 経済活動の結果を反映して変動する景気指標。
Leading Indicator (先行指標): 将来の経済活動を予測するための景気指標。
Limited Assurance (限定的保証): レビュー業務において提供される保証水準
Litigation, Claims, and Assessments (訴訟、賠償請求、及び賦課): 係争中の訴訟や将来発生する可能性のある損害賠償請求など。監査人はその潜在的な影響を評価する。
Loan Covenants (財務制限条項): 借入契約などに含まれる、財務比率の維持などに関する条項。
Management Override (経営者による内部統制の無視): 経営者が特権的な立場を利用して内部統制のプロセスを無視した専断的な行動をとること。
Management Representation Letter (経営者確認書): 経営者が財務諸表に対する責任や、重要な監査事項に関する情報を確認するために監査人に提出する書面。
Material Weakness (重要な欠陥): 財務報告に係る内部統制における不備で、財務諸表に重要な虚偽表示が発生する可能性が高いもの。
Materiality (重要性): 財務諸表の虚偽表示が利用者の意思決定に影響を与える可能性のある閾値。
Monitoring Activities (監視活動): 内部統制が継続的に有効に機能しているか評価する活動。COSO内部統制フレームワークの構成要素の一つ。
Negative Confirmation (消極的確認状): 確認状の情報が送付先の認識と一致しない場合にのみ回答を求める形式。
Non-Audit Services (非監査業務): 監査業務以外の業務。会計士が監査クライアントに提供する場合、独立性に影響を与える可能性がある。
Noncompliance (準拠違反): 法律、規制、または契約の条項に違反すること。
Nonissuer (非公開企業): SECに登録していない企業。
Nonstatistical Sampling (非統計的サンプリング): 統計的手法を用いずに、監査人の判断に基づいてサンプルを抽出するサンプリング手法。
Observation (観察): 監査人がクライアントのプロセスや手続をリアルタイムで目視により確認する監査手続。
Other-Matter Paragraph (その他情報区分): 監査報告書に表示または開示された情報以外で、利用者に情報提供することが適切と判断される事項を記載する段落。
Overall Response (全般的な対応): 重要な虚偽表示のリスクが高い場合に、特定の勘定科目やアサーションにとらわれず、監査業務全体に対して監査チームが行う対応。
Performance Audit (業務監査): GAGASにおける監査の一種で、政府プログラムの業績や政府系企業の内部統制を対象とする。
Performance Materiality (実績重要性): 財務諸表全体の重要性よりも低い金額で設定される、個々の取引、勘定残高、または開示レベルでの重要性。
Positive Confirmation (積極的確認状): 確認状に記載された情報が送付先の認識と一致しているかどうかに関わらず、必ず回答を求める形式。
Predecessor Auditor (前任監査人): 監査業務を引き継ぐ際に、以前にクライアントを監査していた監査人。
Preparation Engagement (作成業務): 会計士が経営者の依頼に基づき財務諸表を作成する業務。保証は提供しない。
Preventive Controls (予防的統制): 誤りや不正の発生を未然に防ぐための統制活動。
Primary Key (主キー): リレーショナルデータベースにおいて、各レコードを一意に識別するための列。
Prospective Financial Statements (予測財務諸表): 将来の財務状況、経営成績、キャッシュフローの予測値を示す財務諸表。
Public Company Accounting Oversight Board (PCAOB): 公開企業の監査を監督する米国機関。
Qualified Opinion (限定意見): 財務諸表に重要な虚偽表示があるが、全体としては適正と判断できる場合、または監査範囲の制限があるが、意見表明が可能と判断できる場合に表明される監査意見。
Reasonable Assurance (合理的保証): 監査人が財務諸表に重要な虚偽表示がないことについて得る高度な保証。絶対的保証ではない。
Recalculation (再計算): 監査人がクライアントの計算や数値を自分で再計算して正確性を確認する監査手続。
Recordkeeping Functions (記録機能): 会計記録の作成と維持に関わる職務。職務の分離において、承認や保管機能と分離されるべき。
Registered Public Accounting Firm (登録公開会計事務所): PCAOBに登録している会計事務所。
Relational Database (リレーショナルデータベース): データをテーブル形式で整理し、関連するデータ間の関係を定義するデータベースモデル。
Reperformance (再実施): 監査人がクライアントの内部統制手続きを再現して、その運用有効性を検証する監査手続。
Reporting Release Date (報告書発行日): 監査報告書がクライアントに発行される日付。監査調書の文書化完了日や保管期間の起算点となる。
Review Engagement (レビュー業務): 会計士が財務諸表に重要な修正が必要であると気づいた事項について結論を表明する業務。限定的保証を提供する。
Rights and Obligations (権利と義務): 企業が資産に対する権利を有し、負債に対する義務を負っているというアサーション。
Risk Assessment (リスクアセスメント): 組織目標の達成に対するリスクを識別・評価するプロセス。COSO内部統制フレームワークの構成要素の一つ。
Risk of Material Misstatement (RMM) (重要な虚偽表示のリスク): 財務諸表に重要な虚偽表示が存在するリスク。
Sarbanes-Oxley Act of 2002 (SOX法): 米国の公開企業の会計およびコーポレートガバナンスを強化するために制定された法律。
Scope Limitation (監査範囲の制限): 監査人が十分かつ適切な監査証拠を入手できない状況。
Segregation of Duties (職務の分離): 承認、記録、保管の機能を異なる担当者に割り当てる内部統制の原則。
Significant Deficiencies (重大な不備): 財務報告に係る内部統制の不備のうち、重要な虚偽表示が発生する可能性が低いもの。
Single Audit (単一監査): 連邦政府から一定額以上の助成金を受けている企業に対し、財務諸表監査と準拠性監査を一括して実施する監査形態。
SOC (Service and Organization Controls) 1 Report: 受託企業(サービス組織)の統制に関する受託監査人が発行する報告書。
Special Purpose Framework (特別目的フレームワーク): GAAP以外の特定の目的(税務基準など)のために作成される財務報告フレームワーク。
SSAE (Statements on Standards for Attestation Engagements): AICPAが定める証明業務に関する基準。
SSARS (Statements on Standards for Accounting and Review Services): AICPAが定める会計およびレビュー業務に関する基準。
Statistical Sampling (統計的サンプリング): 確率の法則に基づきサンプルを選定し、統計的手法を用いて評価するサンプリング手法。
Subsequent Events (後発事象): 財務諸表日後から監査報告書発行日までに発生した、財務諸表の修正または開示が必要な事象。
Substantial Doubt (重大な疑念): 企業の継続企業としての存続能力について、事業継続が困難になる可能性が高いこと。
Substantive Procedures (実証性手続): 財務諸表の金額の正確性や妥当性を直接検証する監査手続。
Successor Auditor (後任監査人): 前任監査人から監査業務を引き継ぐ監査人。
Tolerable Misstatement (許容虚偽表示): サンプリングによって発見された虚偽表示が重要であるかを判断するための基準値。実績重要性とも呼ばれる。
Unqualified Opinion (無限定意見): 監査人が財務諸表が適正に表示されていると結論付けた場合に表明する監査意見。
Uncorrected Misstatements (未修正の虚偽表示): 監査人が発見し、経営者に伝達したが、経営者が修正しなかった虚偽表示。
User Auditor (委託監査人): 委託企業(ユーザー組織)の監査人。受託企業のSOC報告書を利用して監査を実施する。
Valuation (評価): 資産、負債、および資本項目が適切な金額で財務諸表に計上されているというアサーション。
Velocity of Money (通貨の流通速度): 名目GDPを通貨供給量で割って算出される、通貨の回転率を示す指標。
Walkthrough (ウォークスルー): 内部統制の導入状況を確かめるために、一連の取引の流れを追跡し、質問、観察、検証、再実施を行う監査手続。
Wire Transfer (電信送金): 銀行間の直接取引による送金。
まとめ:AUDのリリース問題で学習ポイントを押さえる
AICPAリリース問題は、実際の試験で出題される問題の形式、難易度、および範囲を理解するための最も重要な資料です。
最大限に活用するために、以下の点を考慮して学習を進めることをおすすめします。
(1)各問題の徹底的な理解
正解だけでなく、不正解の選択肢についても「なぜ間違っているのか」を明確に理解することが重要です。
解説(特に日本語の詳しい解説)を熟読し、関連する監査基準、会計基準、または倫理規定に立ち戻って知識を補強しましょう。
たとえば、「should」が「原則として必須」を意味し、「must」が「無条件に必須」を意味するといった、基準で用いられる用語のニュアンスも理解しましょう。
単に答えを暗記するのではなく、背景にある概念やロジックを理解することで、応用問題にも対応できるようになります。
(2)頻出テーマの重点学習
上記の分析で示された「職業倫理と独立性」「内部統制(COSO、IT統制)」「監査証拠と手続き」「監査報告書とコミュニケーション」は特に重要度が高い分野です。
これらのテーマに焦点を当て、関連する問題を集中的に解き、深く掘り下げて学習しましょう。
特定の数値や期間(例:独立性回復後の監査関与期間、監査調書の保管期間、相続株式の売却期限)が問われることもありますので、これらも正確に覚えるようにしましょう。
(3)関連法規・基準との紐付け
AICPAの「Code of Professional Conduct」、監査基準(SAS)、証明業務基準(SSAE)、レビュー業務基準(SSARS)、政府監査基準(GAGAS/GAS)、そしてSarbanes-Oxley Act (SOX)PCAOB規則 が常に参照されています。
問題を解く際には、どの基準や法規が背景にあるかを意識し、該当する部分をテキストや資料で確認する習慣をつけましょう。
(4)科目横断的な知識の強化
AUDでは、旧BECのCOSOフレームワーク、IT統制、SOX法、経済学のビジネスサイクルや金融政策、FARの会計処理や見積もりに関する知識が問われることがあります。
それぞれの科目の知識が単独でなく、関連付けて出題されることを意識し、横断的に復習する時間を設けましょう。
(5)実践的なシナリオ問題への対応力向上
AICPAの問題は、監査実務における具体的なシナリオを提示し、それに対する最も適切な監査人の対応を問う形式が多いです。
たとえば、「不正の疑いがある場合の対応」、「後発事象が見つかった場合の報告書の日付処理」 など。
これらの問題を通じて、実務における判断力と職業的懐疑心 (professional skepticism) を養いましょう。
以上、5つのポイントを実践することで、AICPAリリース問題を単なる過去問としてではなく、合格に直結する強力な学習ツールとして最大限に活用できるでしょう。
以上、「【AUD】USCPA試験リリース問題(AICPA Released Questions)徹底解説」でした。
重要論点は決まっているんだね。
ぜひ、この傾向に従って、AUD対策を進めて合格してね。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
おすすめのUSCPA予備校はアビタスです。
\無料・すぐ読める・オンライン参加可/
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かしかた・USCPA短期合格のコツを記載しています。
(2025/08/25 09:34:04時点 Amazon調べ-詳細)