USCPA試験のREG科目では、個人所得税の申告書 Form 1040で、Adjustments (調整)、Deductions (所得控除)、Credits (税額控除) が出てくると混乱してしまうことがあるかもね。
頭の中で整理されていないと、問題がササっと解けないんだよね。
整理するお手伝いをするので、混乱せずに特にForm 1040のTBS問題が解けるようになってね。
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もし音声で理解したい場合は、USCPAどこチャンネルの【REG基礎】控除と税額控除をForm 1040の流れで理解!USCPA受験生向け をご覧ください
動画公開後はここにリンクを貼ります(2025年11月時点で)。
USCPA試験REGの試験対策も参考にしてください。
USCPA試験REGのBlueprintも参考にしてください。
REG受験生が混乱する「所得控除(Deduction)」と「税額控除(Credit)」を整理しよう
USCPAのREG科目、特に個人所得税(Form 1040)の計算問題で、多くの受験生が「どの項目を、どの順番で引けばいいのか」と混乱してしまいます。
Adjustments (調整)
Deductions (所得控除)
Credits (税額控除)
といった用語が次々に出てきて。
それぞれの役割と適用されるタイミングが曖昧になってしまうのは、無理もありません。
この記事の目的は、複雑に見えるForm 1040の計算プロセスを、所得の申告から最終的な納税額・還付額の確定まで「上から下への流れ」として体系的に理解してもらうこと。
そして、特に混同しやすい「所得控除 (Deduction)」と「税額控除 (Credit)」の違いを明確に理解してもらうことです。
この記事を読み終える頃には、各項目が税金計算プロセスのどの段階で適用されるか。
これがクリアになり、REGの個人所得税に関する問題が格段に解きやすくなるはずです。
最初に、Form1040の全体像が理解したい方は【REG基礎】個人所得税申告書 Form1040 解説 USCPA受験生向け をご覧ください
また、Form1040の英語と和訳の聞き流し動画【REG】Form 1040 米国個人所得税申告書(Individual Income Tax Return)聞き流しもご覧ください。
さらに、IRS(米国内国歳入庁)の公式サイトで最新のForm 1040を確認してみてもいいですね。
IRS公式サイト:About Form 1040, U.S. Individual Income Tax Return
ただし、USCPA試験では、問題文に添付されているフォームや指示が最優先です。
年度で行番号が変わることがあるので、必ず問題側に合わせてくださいね。
Form 1040の全体像:税金計算は7つのステップで覚えよう
個人所得税の計算は、一見すると複雑ですが、実は一貫した流れに沿って行われます。
この流れを覚えるための記憶術が、7つのステップ。
「載せる → しぼる → 比べる → かける → さしひく → 足す → 清算する」です。
個人所得税計算の7ステップ
- 載せる:所得(Income)をすべて合計する。
- しぼる:調整項目(Adjustments)を引いて調整後総所得(AGI)を出す。
- 比べる:標準控除(Standard Deduction)と項目別控除(Itemized Deduction)の大きい方(+QBI控除)を引いて課税所得(Taxable Income)を出す。
- かける:税率をかけて税額(Tax)を計算する。
- さしひく:非還付型税額控除(Nonrefundable Credits)を引く。
- 足す:その他の税金(Other Taxes)を加算する。
- 清算する:支払い済み税額(Payments)と還付型税額控除(Refundable Credits)で最終的な還付額・納税額を確定する。
この7ステップが、本記事で解説していく全体の骨格となります。
ステップ1 & 2:AGIを計算する「Above-the-Line控除(Adjustments)」
Adjustmentsは「Above-the-Line Deductions」とも呼ばれます。
これは、税額計算の重要な基準値である調整後総所得(Adjusted Gross Income, AGI)を計算する前に、総所得から差し引かれる項目だからです。
この控除の最大のポイントは「標準控除か項目別控除かの選択に関係なく、該当者であれば利用できる」という点です。
つまり、誰もが使えるわけではありませんが、条件を満たす納税者にとっては非常に有利な控除と言えます。
REG試験で頻出の代表的なAdjustments(Above-the-Line-Deductions)は、記憶術「HERB」を使って4つのグループに分けると覚えやすくなります。
Adjustments(Above-the-Line-Deductions)の暗記法
「HERB」(ハーブ)
- H(Health):健康関連費用。自営業者の健康保険料控除、HSAへの拠出
- E(Education):教育関連費用。学生ローン利子控除、Educator expenses
- R(Retirement):退職金制度関連。控除対象IRAへの拠出
- B(Business):事業関連費用。自営業者税の半分(1/2 Self-employment tax)
AGIは多くの控除やクレジットの適用可否を決める基準値(フェーズアウトの起点)となります。
よって、税務戦略上、このAGIをいかに低く抑えるかが非常に重要になります。
ステップ3:課税所得を計算する「Below-the-Line控除(Deductions)」
AGIが計算された後に適用されるのが、一般的に「控除」として知られるDeductionsです。
これらは「Below-the-Line Deductions」とも呼ばれます。
納税者は、ここで「標準控除(Standard Deduction)」と「項目別控除(Itemized Deductions)」のどちらか有利な方(金額が大きい方)を一つだけ選択します。
両方を同時に適用することはできません。
項目別控除の合計額が毎年標準控除の額に近い納税者は、「バンチング(Bunching)」という税務戦略を検討できます。
これは、慈善寄付や州税の支払いといったコントロール可能な費用を戦略的に特定の年に集中させることで、その年の項目別控除額を標準控除額より大幅に増やし、翌年は標準控除を選択するという手法です。
これにより、2年間の合計控除額を最大化できる可能性があります。
項目別控除(Itemized Deductions)は、特定の支出を個別に集計する方式です。
主要なカテゴリーは、記憶術「医・税・住・寄・災」で覚えるのが効果的です。
項目別控除(Itemized Deductions)の暗記法
「医・税・住・寄・災」(い・ぜい・じゅう・き・さい)
- 医 (Medical Expenses):医療費。AGIの7.5%を超えた部分のみが控除対象
- 税 (State and Local Taxes – SALT):州・地方の所得税、売上税、固定資産税など。控除額には年間10,000の上限が設定(夫婦個別申告の場合は5,000)。
- 住 (Home Mortgage Interest):自宅の住宅ローン利息
- 寄 (Charitable Contributions):適格な慈善団体への寄付金
- 災 (Casualty and Theft Losses):災害・盗難による損失。連邦政府が指定した災害地域での損失に限定
項目別控除(Itemized Deduction)は生活コストを拾った箱というイメージ
- 医療費:でも全部じゃなくて、AGIの○%超だけ
- 税金:州・地方税は上限がある
- 住宅ローン利息:自宅がらみの正統派利息だけ
- 寄付:きれいにItemizedに落ちる
- 災害:毎回は使わないけどItemizedの仲間にいる
標準控除または項目別控除を差し引いた後、該当する納税者はさらに「適格事業所得控除(QBI Deduction)」を差し引きます。
ここまで計算して、ようやく課税所得(Taxable Income)が確定します。
多くのREG受験生が混同するのが、「所得控除(Deduction)」と「税額控除(Credit)」の違いです。
この二つは税金への影響が全く異なるため、正確に理解することが不可欠です。
| 項目 | 所得控除 (Deduction) | 税額控除 (Credit) |
| 効果 | 課税所得(Taxable Income)を減らす | 税額(Tax Liability)そのものを直接減らす |
| 価値 | 税率に応じて節税効果が変わる | 税率に関係なく、1ドル対1ドル(dollar-for-dollar)で減額される |
| どちらが強力か | Creditよりも効果は間接的 | 一般的にDeductionよりも強力で節税効果が高い |
簡単に言えば、Deductionは「税金を計算する元となる金額」を小さくするのに対し、Creditは「計算結果として出た税金の額」から直接差し引くものです。
したがって、同じ1,000ドルでも、Creditの方がはるかに強力な節税効果を持ちます。
ステップ4〜7:税額を確定させる「税額控除(Credits)」と最終計算
課税所得に税率をかけて算出された「税額(Tax Liability)」から直接差し引くことができるのが、税額控除(Credit)です。
税額控除(Credits)は、記憶術「子・学・外・稼」で覚えるのが効果的です。
税額控除(Credits)の暗記法
「子・学・外・稼」(こ・がく・がい・かせ)
- 子:子ども・扶養がいるから控除
- 学:学校に行って勉強してるから控除
- 外:外国で税金を払ってきたから控除
- 稼:たくさん稼いでないので控除
たくさんあって、ごちゃごちゃするので「子に関するもの→学習→外国→稼げてない人」の順で並べると整理しやすいですね。
「子どもがいる、学習している、国外で払ってきた、所得が小さい」といった4つを思い出せば、Deductionではなく、Creditsの方だとわかる。
このような「事情がある人」をピンポイントで救うタイプは、上で引かずに、最後の税額のところでドンと引いてあげる、つまりCreditsとなる。
「人にやさしいやつは大体Credits」
この税額控除(Credits)には、その性質によって大きく3つの種類があります。
(1)非還付型 (Nonrefundable Credits)
税額をゼロにするまでしか使えず、超過分は原則として消滅します。
税額という上限に対する「ブレーキ」のような役割を果たします。
代表例
- Child and Dependent Care Credit
- Lifetime Learning Credit (LLC)
(2)一部還付型 (Partly Refundable Credits)
クレジットの一部が還付対象となる特殊なタイプです。
代表例
- American Opportunity Tax Credit (AOTC) →最大$2,500のうち40%(上限$1,000)までが還付される一部還付型のクレジット
(3)還付型 (Refundable Credits)
税額をゼロにした後も、残額があれば納税者に現金で還付されます。
税額の壁を突き抜けて返金される「ガソリン」のような役割です。
代表例
- Earned Income Tax Credit (EITC)
- Additional Child Tax Credit (ACTC)
実際の税金計算では、これらのクレジットとその他の税金、支払い済み税額を特定の順序で適用します。
その流れは、
- 非還付型クレジットを引く
- その他の税金(自営業者税など)を足す
- 支払い済み税額と還付型クレジットで精算する
となります。
ここで加算される自営業者税は税額の全額です。
ステップ2の調整項目(Adjustments)でこの税額の半分を所得控除として先に差し引いたことを思い出してください。
この「半分を控除し、後で全額を税金として加算する」という流れはREGで頻出のポイントです。
この全体の流れを一つの最終方程式で表すと、以下のようになります。
(税額 − 非還付型クレジット + その他の税金) − (支払い済み税額 + 還付型クレジット) = 最終的な還付額 or 納税額
まとめ:Form 1040の流れを掴んでREGを制覇しよう
今回解説したForm 1040の計算における7ステップの「流れ」を理解することは、REGの個人所得税分野を攻略する上で極めて重要です。
以下の表は、本記事で解説した内容を一枚に凝縮したものです。
試験直前の見直しにご活用くださいね。
| ステップ | 記憶術 | アクション | 主な項目 | 計算結果 |
| 1 | 載せる | 全ての所得を合計 | 給与、利子、事業所得など | 総所得 (Total Income) |
| 2 | しぼる | 調整項目を差し引く | HERB (学生ローン利子、1/2自営業者税など) | 調整後総所得 (AGI) |
| 3 | 比べる | 有利な方の控除を選択 | 標準控除 vs 項目別控除 (医税住寄災) + QBI控除 | 課税所得 (Taxable Income) |
| 4 | かける | 税率を適用 | 税率表 | 税額 (Tax Liability) |
| 5 | さしひく | 非還付型クレジットを適用 | Child/Dependent Care Credit, LLC | 控除後の税額 |
| 6 | 足す | その他の税金を追加 | 自営業者税、NIITなど(自営業者税が再頻出) | 支払うべき税金総額 |
| 7 | 清算する | 支払済税額と還付型クレジットで精算 | 源泉徴収、予定納税、EITC, AOTC還付分など | 最終還付額 or 納税額 |
以上、「【REG基礎講座】所得控除と税額控除(Credit)をForm1040に沿って整理!USCPA受験生用」でした。
問題文を読む際に「この項目はAGIの前か後か」「これは控除か、それともクレジットか」「このクレジットは還付型か非還付型か」といったポイントを意識するだけで、各項目を正しい場所に当てはめられるようになると思うよ。
構造的に理解しておくと、REGの個人所得税問題の正答率が飛躍的に向上するはず。
この知識を土台として、ぜひ問題演習に取り組んでみてね。
USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
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まだUSCPAの学習を開始していない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。






