2022年の1月にUSCPA試験の内容が変更されると聞いたけど、何が変更されるのか知りたいな。
2022年1月の変更は、それほど大きくはないけど、ご質問をいただいたのでまとめてみるね。
はじめに:最近のUSCPA試験内容の変更について
USCPA試験の内容は、頻繁に変更されます。
新しいトピックが追加されたり、古いトピックが削除されたり、既存の内容が変更されたり、毎年何らかの試験の内容変更が行われます。
ですので、変更されても驚いたり、追加で勉強しなくてはならないことが増えて不幸だと嘆く必要はないでしょう(勉強しなくてはならないことが減ったら、喜んでもいいかもしれませんが 笑)。
ただし、何が変更されたか把握し、情報をアップデートしておく必要があります。
2021年7月の改定は比較的大規模で、BECとAUDに関しての変更が集中し、FARとREGは変更の影響はあまりありませんでした。
そして、2021年10月にも小規模な改定があり、FAR・AUD・REGに関して変更がありました。
当記事で扱う2022年1月の改定は、AUDとREGに関する変更で、AUDに大きな変更があります。
最近の試験内容の変更
- 2021年7月:4科目について変更あり(BEC・AUDに大きな変更)
- 2021年10月:FAR・AUD・REGについて変更あり
- 2022年1月:AUD・REGについて変更あり(AUDに比較的大きな変更)
最近のUSCPA試験の内容変更では、2021年7月の変更が大きかったです。

AICPA(米国公認会計士協会)のBlueprintsも、2021年7月1日有効のものが最新になっておりますので、併せてご確認ください。




1.2022年1月のAUDの試験内容の変更
まずは、AUDの試験内容の主な変更点から見ていきます。
2022年1月のAUDの試験内容の変更点
- SAS第134号~第140号:非公開企業の監査報告書の更新とそれに合わせた監査基準の修正
- SSARS第25号:レビューに適用される規則の一部を変更
AUDの試験内容の変更は、大きくは2つに分けられます。
(1)SAS第134号~第140号:非公開企業の監査報告書の更新とそれに合わせた監査基準の修正
非公開企業(nonissuer)に関する監査は、SASに準拠して任意で行われますが、非公開企業の監査報告書のフォーマットが変わりましたので、それに合わせてSASも変更となっています。
①SAS第134号:「監査人の報告と修正(財務諸表の監査における開示に対応する修正を含む)」
SAS第134号では、財務諸表に対する意見を表明する監査人の責任について記載されています。また、財務諸表の監査の結果として発行される監査報告書の形式と内容についても言及しています。
主な変更点は以下の通りです。
変更点
- エンゲージメントレターのサンプルの変更
- PCAOBの監査報告書(監査人の「意見」から始まり、「意見の根拠」が続く)と同様の順序に変更
- 「継続企業の前提」に実質的な疑義がある場合には、報告書に別の区分を設けること
- 報告書の「監査人の責任」を拡大すること
- 監査人が重要な監査事項(KAM:Key Audit Matter)を報告書(別区分)に記載すること
②SAS第135号:「監査基準に関するオムニバス・ステートメント」
SAS第135号は、監査基準委員会(Auditing Standards Board)のガイダンスとPCAOBのガイダンスをより緊密に連携させることを目的としています。
主な変更点は以下の通りです。
変更点
- 前任監査人に対し、関連当事者の関係や取引、および、重要な異常な取引に関して追加的な問い合わせを含むこと
- 経営者などに対し、重要な異常な取引に関して追加的な質問を含むこと
- 不正リスク要因の追加例を含むこと
- 関連当事者に関し、追加で実施すべき手続きを含むこと
③SAS第137号:「年次報告書に含まれるその他の情報に関する監査人の責任」
SAS第137号では、企業の年次報告書に含まれるその他の情報(財務情報、非財務情報を問わず、財務諸表とその監査報告書以外の情報)に関する監査人の責任について記載されています。
主な変更点は以下の通りです。
変更点
- 年次報告書に含まれるその他の情報に関する監査人の責任の明確化
- 年次報告書の定義の明確化
④SAS第138号:「重要性の概念の記述の改定」
SAS第138号は、AICPAプロフェッショナル・スタンダードのAU-Cの各セクションを修正し、AICPAプロフェッショナル・スタンダードで論じられている重要性の概念を、米国の司法制度やPCAOB、SEC、FASBの監査基準で使用されている重要性の記述と整合させるものです。
変更点は以下の通りです。
変更点
重要性の定義の改定
➄SAS第139号:「SAS第134号からの監査人報告の変更を反映したAU-C 800、805、810項の改定」
SAS第139号は、以下の3つの項目をSAS第134号「監査人の報告と修正(財務諸表の監査における開示に対応する修正を含む)」および最近発行された他のSASの報告規定と整合させるものです。
- 800項「特別な検討事項-特別な目的のフレームワークに従って作成された財務諸表の監査」
- 805項「特別な検討事項-単一の財務諸表および財務諸表の特定の要素、勘定、または項目の監査」
- 810項「要約財務諸表の報告に関する業務」
変更点は以下の通りです。
変更点
新しい監査報告書の構成に合わせ、特別目的フレームワークに関する報告要件を更新
⑥SAS第140号:「SAS第134号および137号から変更された監査人の報告を反映したAU-C 725、730、930、935、940項の改定」
SAS第140号は、SAS第134号「監査人の報告と修正(財務諸表の監査における開示に関する修正を含む)」および最近発行された他のSASの報告規定をGAASに適合させるものです。
また、AICPA Professional Standardsの他のAU-Cは、最新の改定以降に発生した実務上の問題を反映して改定され、AU-C 935「コンプライアンス監査」も現行の政府の要求と整合するように改定されています。
変更点は以下の通りです。
変更点
- GAASの統合監査(財務監査と連動した内部統制の報告)の契約の報告要件の変更
- 中間税務情報のレビューの契約の報告要件の変更
- 政府コンプライアンス監査の契約の報告要件の変更
- 報告書の中で、その他の情報、補足情報、必須の補足情報の区分を分けること
(2)SSARS第25号:財務諸表のレビューにおける重要性と不利益な結論
SSARS第25号「財務諸表のレビューにおける重要性と不利益な結論」では、「会計・レビューサービス基準に関する声明」に基づくレビューに適用される規則の一部を変更しています。
SSARS第25号は、以下の4つに関する改定が記載されています。
- 60項「会計サービス及びレビューサービスに関する基準書に準拠して実施される業務の一般原則」
- 70項「財務諸表の作成」
- 80項「コンピレーション業務」
- 90項「財務諸表のレビュー」
変更点は以下の通りです。
変更点
- 財務諸表全体の重要性を判断し、すべての重要な項目に対処するためのレビュー手続きを設計し、実施することが求められること
- レビュー業務において、不利益な結論を表明することを認めること
- レビュー報告書に、CPAが独立している旨を記載することを求めること
3.2022年1月のREGの試験内容の変更
つぎに、REGの試験内容の主な変更点を見てきます。
2021年で、以下のような一時的な税制上の規定が失効するため、それ以前の規定が再び適用となります。
2022年1月のREGの試験内容の変更点
- Consolidated Appropriations Act(包括予算割当法案)に関する一時的な規定が失効
- American Rescue Plan Act(米国救済計画法)に関する一時的な規定が失効
REGの試験内容の変更も、大きくは2つに分けられます。
(1)Consolidated Appropriations Act(包括予算割当法案)に関する一時的な規定が失効
Consolidated Appropriations Act(包括予算割当法案)における、「慈善寄付金の制限の一時停止」に関して、一時的な規定が失効となります。
この「事前寄付金の制限の一時停止」ですが、以下のようなものでした。
納税者がSchedule A上で項目別控除として控除できる慈善現金寄付の額は、納税者の調整後総所得(AGI)の一定割合(通常は60%)に制限されています(ただし、適格寄付金はこの制限を受けません)。
個人は、調整後総所得の100%まで適格寄付金を控除することができることになりました。
また、法人は、課税所得の25%まで適格寄付金を控除できることになりました(この金額を超える寄付金は、次の課税年度に繰り越すことができます)。
控除の対象となるのは、以下の条件を満たす寄付金です。
控除の対象となる寄付
- 現金での寄付
- 適格な組織に対する寄付
- 2020年に行われた寄付
現金以外の財産を寄付した場合は、この救済措置の対象にはならず、通常の限度額の範囲内で控除を受けることができます。
変更点
- 個人の場合:「100%の慈善寄付限度額」の失効
- 法人の場合:「ATI(修正後課税所得)の慈善寄付限度額の25%」の失効
(2)American Rescue Plan Act (米国救済計画法)に関する一時的な規定が失効
American Rescue Plan Act (米国救済計画法:COVID-19 Stimulus Package)について、変更があります。
このAmerican Rescue Plan Act(米国救済計画法)ですが、大恐慌以来最大の経済対策の1つとされる大規模なもので、アメリカ国民に直接的な救済策を提供し、アメリカ経済を救い、ウイルスに打ち勝つためのプランです。
内容としては、アメリカ国民への直接給付、連邦失業給付の延長、ワクチン配布、中小企業などの救済、子供の貧困対策などです。
変更点
- 児童税控除額:「18歳未満の児童1人につき3,000ドル、6歳未満の児童1人につき3,600ドルに引き上げ」の失効
- 子供および扶養家族のための税額控除:「子供1人の場合は4,000ドル、2人以上の場合は8,000ドルに引き上げ」の失効
- 雇用者による扶養控除額:「10,500ドルに引き上げ」の失効
まとめ:2022年1月のUSCPA試験内容の変更について
2022年1月のUSCPA試験内容の変更について見てきました。
AUDとREGで変更があり、FARとBECは変更はありません。
特に、AUDの変更が大きいです。
非公開企業の監査報告書について変更がなされますが、今までの監査報告書とは全く異なり、公開企業の報告書と非常によく似たものとなります。
最初のセクションに監査意見が記載され、次に意見の根拠が記載されます。
また、監査報告書の中で、Key Audit Matter(重要な監査事項)を報告するというアイデアが新たに採用されています。
監査人がKey Audit Matter(重要な監査事項)を報告するように依頼されている場合、Key Audit Matter(重要な監査事項)のセクションは、意見の根拠のセクションのすぐ後になります。
非公開企業の監査報告書のセクション
- 意見(Opinion)
- 意見の根拠(Basis for Opinion)
- 重要な監査事項(Key Audit Matter)
FARとBECは、2022年1月の変更はありませんが、2021年7月に、FARはIFRSが範囲外となったり、BECはデータアナリティクスなどの大きな変更がありましたので、把握しておいた方が良いでしょう。
以上、「【2022年改定】USCPA試験 試験内容の変更 AUD・REG」でした。
AUDに関する変更が多いと思ってよさそうだね。
影響が大きいのはAUDで、非公開企業の報告書が変わるから、それに関連して色々と変更されるね。
2022年以降にAUDを受験する際は、この点に注意してね。
転職のためにUSCPAを取得することにした場合、早めに転職活動を始めるのが、転職成功のポイントです。
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