新試験のBlueprint(ブループリント)を読んでおこうと思ったけど、時間が無いから内容を手っ取り早く知りたいよ。
2024年1月からの新USCPA試験では、選択科目制が導入されたよ。
選択科目3つのうちのどれを選択するのか考えるためにも、早めにBlueprintsの内容を理解しておくべきだね。
Blueprints(ブループリント)のTCP部分に、どんなことが書かれているのか、特に高いスキルが必要なのはどれなのか、解説するね。
2025年1月の改訂にも対応しているよ。
USCPAに挑戦するか決めていない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
新USCPA試験に対応しています。
TCPのBlueprint(ブループリント)を解説!
新USCPA試験のTCPのBlueprint(ブループリント)について解説します。
そもそも、USCPA試験のBlueprints(ブループリント)って何?という場合、こちらを参考にしてください。
2025年1月に有効のBlueprintsの変更点については、こちらも参考にしてください。
また、2024年1月からの新USCPA試験については、こちらを参考にしてください。
新USCPA試験でのTCPの試験対策は、こちらを参考にしてください。
1.TCPという試験科目について
Blueprintsには、TCP(Business Analysis and Reporting)という試験科目について、説明が書かれています。
USCPA試験のTCPは、以下のような知識やスキルを評価します。
USCPA試験のTCPが問う知識やスキル
- 非定型的で複雑な取引に焦点を当てた、個人と企業のための米国連邦税の税法遵
- 個人・企業に対する米国連邦税の税務計画
- 個人の財務計画
米国連邦税の税法遵守については、税務申告書の作成とレビューにおけるCPA の役割に焦点を当てます。
また、米国連邦税の税法遵守については、提案された取引・利用可能な税法上の代替案・事業構造の税務上の影響を決定する際のCPAの役割に焦点を当てます。
さらに、個人の財務計画については、CPAが個人税申告書の作成やレビューに関連し通常識別する、プランニングの戦略・機会に焦点を当てます。
USCPA試験のTCPは、以下のようなことも評価します。
USCPA試験のTCPが評価すること
- データやテクノロジーの概念
- 応用的なリサーチ
申告書や付属明細書の作成に使用されるソースデータの完全性と正確性の検証を含む、データやテクノロジーの概念が評価されます。
また、 問題の特定・事実の分析・適切な対応の決定といった色々なタスクのため、ソース資料(例:内国歳入法、財務省規則)の抜粋を検討・使用することに焦点を当てた応用的なリサーチが評価されます。
- インフレに連動する特定の税率のパーセンテージ・金額・制限に関する知識が問われることはない。
- 時期によって税法上の取扱いが異なる可能性のあるテーマ(例:正味営業損失)を出題する場合は、内国歳入法または財務省規則のどの部分を適用すべきか判断できるよう、時期を明確に示す(例:実際の日付を使用)。
- 時期の明示やその他の前提条件がない場合、問題で言及されている取引や事象は当年度に発生したと仮定し、CPA Exam Policy on New Pronouncementsで指定されている時期(内国歳入法・連邦税法の改正は、発効日または施行日のいずれか遅い日から6ヶ月後に開始する四半期に出題)に従って、税法の最新の規定を適用する。
2.TCPの出題分野と配点割合
Blueprintsには、TCPの出題分野と配点割合が書かれています。
どの分野から、どのくらい出題されるのか、全体像を知っておくことは大事でしょう。
出題分野は、以下の4つです。
TCPの出題分野と配点割合(和訳)
- 個人の税法遵守と税務計画、個人の財務計画:30–40%
- 企業の税法遵守:30–40%
- 企業の税務計画:10–20%
- 財産取引(資産の処分):10–20%
各出題分野の詳細については、後ほど見ていきます。
3.TCPの必要なスキルレベルと配点割合
Blueprintsには、TCPの必要なスキルの度合いと配点割合が書かれています。
TCPの必要なスキルレベルと配点割合が書かれています。
TCPの必要なスキルレベルと配点割合(和訳)
- 評価:出題無し
- 分析:25–35%
- 応用:55–65%
- 記憶と理解:5–15%
「Evaluation(評価)」のレベルの出題はありません。
「Analysis(分析)」と「Application(応用)」のレベルの出題は、4つの出題分野全てであります。
CPAが個人の財務計画、税務申告書の作成とレビューに関連して行うことが期待されている日常的なプランニング業務を含んでいます。
「記憶と理解(Remembering and Understanding)」のレベルの出題は、4つの出題分野のうち出題分野ⅠとⅡに集中しています。
この2つの出題分野は、CPAが遭遇する非日常的なコンプライアンス問題を含んでいます。
ちなみに、このスキルレベルは、上に行くにつれて高いものとなります。
一番下の「Remembering and Understanding(記憶と理解)」が一番シンプルなスキルであり、一番上の「Evaluation(評価)」が一番複雑なスキルとなります。
各スキルレベルの説明は、以下を参照してください。
スキルレベルの説明
- 評価(Evaluation):問題を検討または評価し、そして判断力を働かせて結論を出すこと。
- 分析(Analysis):原因を特定し、推論を裏付ける証拠を見つけるために、別々の分野の相互関係を調査・研究すること。
- 応用(Application):知識・概念・技術を使用、あるいは実証すること。
- 記憶と理解(Remembering and Understanding):獲得した知識を利用して、ある分野の重要性を認識し、理解すること。
スキルレベルについて、他の科目と比較してみます。
TCPは、FARに近い配点割合です。
「記憶と理解(Remembering and Understanding)」が5%から15%と少ないので、覚えておけば解ける問題は少なめの科目と言えるでしょう。
一方、「応用(Application)」のレベルの出題が50%から60%であり、さらに「分析(Analysis)」も30%から40%ですので、他の科目より高いスキルが求められる科目と言えるでしょう。
4.TCPの出題分野の詳細
TCPの出題分野の詳細について見ていきましょう。
前述のように、出題分野は以下の4つに分かれています。
TCPの出題分野
- 個人の税法遵守と税務計画、個人の財務計画:30–40%
- 事業体の税務遵守:30–40%
- 企業の税務計画:10–20%
- 財産取引(資産の処分):10–20%
スキルレベルについては、分かりやすくするため、①から④で以下のように記載しました。
スキルレベルについて
- 評価(Evaluation):①
- 分析(Analysis):②
- 応用(Application):③
- 記憶と理解(Remembering and Understanding):④
一番上が高いスキルが必要で、下に行くにつれ、必要なスキルレベルが低下します。
(1)出題分野1「個人の税法遵守と税務計画、個人の財務計画」30–40%の詳細
出題分野1「個人の税法遵守と税務計画、個人の財務計画」について、出題内容とスキルレベルは以下の通りです。
出題分野1の「個人の税法遵守と税務計画、個人の財務計画」の出題内容とスキルレベル
- 総所得・調整後総所得・課税所得・見積税に関する個人の税法遵守と税務計画の考慮事項(Individual compliance and tax planning considerations for gross income, adjusted gross income, taxable income and estimated taxes):②と③と➃
- 受動的活動およびアットリスク損失制限の税法遵守(税額控除への影響を除く)(Compliance for passive activity and at-risk loss limitations (excluding tax credit implications)) :②と③
- 贈与税の税法遵守と税務計画(Gift taxation compliance and planning):③と④
- 個人の財務計画(Personal financial planning for individuals):③と④
必要なスキルレベルは、「分析(Analysis):②」、「応用(Application):③」、「記憶と理解(Remembering and Understanding):④」です。
「分析(Analysis):②」レベルは、あまり多くありません。
➀総所得・調整後総所得・課税所得・見積税に関する個人の税法遵守と税務計画の考慮事項
個人の所得税申告(Form 1040)における所得、調整後総所得(AGI)、課税所得(Taxable Income)、税額控除の適用に関するコンプライアンスを学びます。
特に、給与・自営業所得・株式報酬・AMT・海外所得など、さまざまな所得タイプの税務処理がポイントです。
ポイントまとめ
- Form 1040による所得・控除・クレジットの適切な計上
- AMT(代替ミニマム税)とその調整計算
- FSA・HSAなど税優遇制度の理解と活用
- 子どもの投資収益にかかるKiddie Taxの理解
- 標準控除 vs 項目別控除の使い分け
- Equity compensation(株式報酬)の課税処理
➁受動的活動およびアットリスク損失制限の税法遵守
税負担を抑えるために、所得・控除・投資タイミングを調整したり、制度を活用した戦略的なプランニングが問われます。
年末調整の検討や、将来に向けた制度選択も重要です。
ポイントまとめ
- Traditional IRAとRoth IRAの使い分けと節税効果
- HSA(健康貯蓄口座)による医療費の税優遇
- 収入・控除のタイミング調整による節税効果
- 年末のTax Planning Checklistの活用
- 税額控除の適用最大化の戦略
③贈与税の税法遵守と税務計画
年間除外額や生涯控除を活用した贈与税の計画と申告が中心です。
特に、非現金資産の贈与による評価と将来の相続対策まで見据えた戦略が問われます。
ポイントまとめ
- Annual Exclusion(年間$18,000まで非課税)の理解
- Lifetime Exemption(生涯贈与控除)の利用方法
- 非現金資産(株式・不動産)の贈与評価のポイント
- Form 709(贈与税申告書)の記載と提出タイミング
- Spousal DeductionやCharitable Giftの税務効果
➃個人の財務計画
退職、教育、保険、投資、相続などに関するファイナンシャルプランニングを体系的に学びます。
実生活に直結する重要なテーマが盛り込まれており、試験でも高頻度で出題されます。
ポイントまとめ
- 退職口座(IRA・401(k)など)の課税と非課税の比較
- 529プランによる教育費の非課税運用
- 投資商品の選定とリスク許容度の把握
- 生命保険・長期介護保険によるリスク管理
- 資産の名義や受取人指定が相続税に与える影響
(2)出題分野2「事業体のの税務遵守」30–40%の詳細
出題分野2「事業体の税務遵守」について、出題内容とスキルレベルは以下の通りです。
出題分野2「事業体の税務遵守」の出題内容とスキルレベル
- Cコーポレーション(C corporations):②と③と④
- Sコーポレーション(S corporations):②と③
- パートナーシップ(Partnerships):②と③と④
- 信託(Trusts):③と④
- 非課税組織(Tax-exempt organizations):④
必要なスキルレベルは、「分析(Analysis):②」、「応用(Application):③」、「記憶と理解(Remembering and Understanding):④」です。
ほとんどが「応用(Application):③」と「記憶と理解(Remembering and Understanding):④」のレベルで高いスキルは要求されていません。
➀C法人(C Corporation)
C法人の損失処理や株主との取引、連結納税、さらには国際課税までをカバーします。
ポイントまとめ
- 繰越欠損金(NOL)の計算と制限
- 現金や非現金資産の分配による課税の計算
- 株主との貸付取引における帰属利息(imputed interest)の扱い
- 連結申告書(Form 1120)の計算と社内取引の消去
- 外国子会社(CFC)、IC-DISC、FDII、BEAT、GILTIなど国際税務も登場
➁S法人(S Corporation)
S法人に関しては、株主のbasis計算や、非清算・清算時の分配処理、持分譲渡時の利益配分などが問われます。
ポイントまとめ
- 株主のstock basisとdebt basisの調整
- 非現金資産の分配や清算に伴う課税所得
- 株主の持分売却後の所得配分の処理
③パートナーシップ(Partnership)
パートナーシップでは、パートナーのbasis、債務引受の影響、分配と出資による課税関係、選択制度などが問われます。
ポイントまとめ
- パートナーのbasis調整と分配時の計算
- 借入金(recourse・nonrecourse)の影響
- サービス提供や出資・分配における損益の扱い
- パートナーシップ持分譲渡時の影響や資産の調整
➃信託(Trust)
信託に関しては、さまざまなタイプの信託(単純信託、複雑信託、委譲者信託)と、その所得配分や課税所得の計算が求められます。
ポイントまとめ
- 信託の種類と仕組みの理解
- 受益者、委譲者、受託者の役割
- 元本(corpus)と収益(income)の区別
- 所得分配控除(DNI)と課税所得の計算
⑤非課税組織(Tax-Exempt Organizations)
非課税法人については、税免除の条件や、免除取消となる行為、課税対象となる非関連事業所得(UBI)などを理解します。
ポイントまとめ
- 501(c)(3)の非課税資格の要件
- 非課税ステータスの喪失原因
- 非関連事業所得(UBI)の種類とその課税
(3)出題分野3「企業の税務計画」10–20%の詳細
出題分野3「企業の税務計画」について、出題内容とスキルレベルは以下の通りです。
出題分野3「企業の税務計画」の出題内容とスキルレベル
- 事業体の設立・清算(Formation and liquidation of business entities):②と③
- Cコーポレーションの税務計画(Tax planning for C corporations):②と③
- Sコーポレーションの税務計画(Tax planning for S corporations):②と③
- パートナーシップの税務計画(Tax planning for partnerships):②と③
必要なスキルレベルは、「分析(Analysis):②」と「応用(Application):③」です。
「応用(Application):③」のレベルが多いですが、「分析(Analysis):②」のレベルもそこそこ多いので留意しましょう。
➀事業体の設立・清算
このパートでは、「事業体をどの形態で設立すべきか?」「清算するときにどうなるか?」といった意思決定がテーマです。
法人、S法人、パートナーシップなど複数の形態を比べながら、出資・清算・取引における税務への影響を分析します。
ポイントまとめ
- 法人形態の違いが税務に与える影響を比較する
- 非現金資産の出資が与える影響を分析する
- 清算時の税務効果を比較検討できるようにする
➁C法人の税務計画
ここでは、C法人に特化したプランニングがテーマ。
NOL(繰越欠損金)やキャピタルロスの活用、法人税率の変更にどう対応するか、どの州でビジネス展開すれば有利か、といった実務的な視点が問われます。
ポイントまとめ
- 欠損金や損失の繰越・繰戻しによる節税戦略
- 州税の分配(アポーションメント)を考慮した展開戦略
- 将来の税制改正を見越した所得や費用のタイミング調整
- 見込み納税(Estimated tax)の計画的な見積もり
③S法人の税務計画
S法人では、設立後の取引や選択によって税務上の影響が大きく変わります。
AAA(累積調整勘定)やAEP(累積利益)からの分配の違い、S選択の終了による影響、株主ローンの取り扱いなど、試験でも狙われやすいトピックが満載です。
ポイントまとめ
- ビルトインゲイン(BIG)税の回避策を検討する
- S選択を終了する場合の税務的な影響を把握する
- 非現金資産やローンの処理が株主と法人の両方に与える影響を理解する
- 分配がAAAとAEPのどちらからかで、株主への課税がどう変わるかを押さえる
④パートナーシップの税務計画
このパートでは、パートナーシップに関する税務上の意思決定がテーマです。
出資や分配、持分の売却など、パートナーとパートナーシップとの間の取引がどのように課税されるかを分析し、それを元に有利な取引構造を選ぶ判断力が問われます。
たとえば、「出資するなら、現金より土地の方が有利?」「分配を受けるとき、どのように課税される?」など、実務でも直面する課題に答える力を養います。
ポイントまとめ
- 評価益または評価損のある資産を出資したときの税務効果
- 保証支払いや非清算分配がパートナーの課税所得に与える影響
- パートナーシップ持分の譲渡、分配、清算の各シナリオでの課税の違い
- パートナーとパートナーシップの双方における課税関係を把握する力
(4)出題分野4「財産取引(資産の処分)」10–20%の詳細
出題分野4「財産取引(資産の処分)」について、出題内容とスキルレベルは以下の通りです。
出題分野4「財産取引(資産の処分)」の出題内容とスキルレベル
- 非課税の資産の譲渡(Nontaxable disposition of assets):②と③
- 資産売却損益の金額と性質・ネッティング処理(Amount and character of gains and losses on asset disposition, and netting process):②と③
- 関係者間取引とみなし利息(Related party transactions, including imputed interest):③と④
必要なスキルレベルは、「分析(Analysis):②」、「応用(Application):③」、「記憶と理解(Remembering and Understanding):④」です。
「記憶と理解(Remembering and Understanding):④」はほとんどなく、高いレベルの出題となるでしょう。
➀非課税の資産譲渡(Nontaxable disposition of assets)
譲渡益がすぐに課税されないケース(繰延べ)があることを理解します。
具体的には、同種交換(Like-kind exchange)や強制換価(Involuntary conversion)のように、課税を繰り延べることが認められている取引が対象です。
ポイントまとめ
- 同種交換や強制換価によって利益が繰延べになることがある
- 認識される利得(recognized gain)と繰延べ利得(deferred gain)の違いを押さえる
- 新しい資産の取得原価(basis)に注意
➁譲渡益・損失の金額と性質(Amount and character of gains and losses)
譲渡によって発生する損益の「金額」だけでなく、「普通所得なのかキャピタルゲインなのか」も問われます。
さらに、減価償却された資産の再分類ルール(Recapture)も登場します。
ポイントまとめ
- Section 1231:事業用資産の譲渡で生じる損益の再分類
- Section 1245/1250:償却済み資産の譲渡時の特別ルール
- Installment sale(分割売却):回収時点に課税が発生
- Small business stock(セクション1244株式):特別な損失控除が認められる場合あり
③関連者間取引とみなし利子(Related party transactions, including imputed interest)
親会社と子会社、個人とその会社など、関連する関係者間での取引は特別なルールがあります。
たとえば、市場価格で取引していない場合は、みなし利子(imputed interest)が課税対象になることもあります。
ポイントまとめ
- 関連者(related party)の定義と判定方法(直接・間接の持分割合)
- 関連者間の資産譲渡では損失が認められないことがある
- 市場価格より低い金利での貸し借りでは、みなし利子の課税が発生することもある
以上、「TCPのBlueprint(ブループリント)を解説!2025年USCPA試験対応」でした。
2025年の変更点は大きくなさそうで安心したよ。
ただし、出題分野Ⅰも出題分野Ⅱも、そこまで高いレベルは求められていないよ。
CPAが日常的にやる業務については、TBS問題での出題が多く、非日常的にやる業務については、MC問題での出題が多いと推測されるね。
今回は、TCPのBlueprint についてざっくりとご説明したけど、余裕があったら、ぜひ自分でも読んでみてね。
USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA短期合格のコツも記載しています。
また、まだUSCPAの勉強を始めていない場合は「USCPAの始めかた」も参考にしてください。