監査法人の往査とは?BIG4出身USCPAが仕事内容と現場のリアルを解説

でも、往査中の監査人って、なんだか謎が多いよね。
監査部屋で何が起きているのか知りたいな。

Big4監査法人で監査をしていたUSCPAのどこが、監査部屋で何をしていたのか、監査部屋のリアルも含めて話していくね。
往査とは、監査法人のスタッフがクライアント先を訪問して監査手続きを行うことです。
現場では、資料の閲覧、経理担当者への質問、監査調書の作成、追加資料の依頼などを行います。
この記事では、BIG4監査法人でUSCPAとして監査をしていた経験をもとに、往査とは何か、往査で何をするのか、監査部屋の雰囲気、そして実際に困ったことまでリアルに解説します。
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監査法人の往査とは?
往査とは、監査法人のスタッフがクライアント先に行き、現場で監査手続きを行うことです。
監査というと、監査法人のオフィスでパソコンに向かっているイメージを持つかもしれませんが、実際にはクライアント先に行って作業する場面も多くあります。
特に期末監査や四半期レビュー、中間監査などでは、クライアント先にある資料を確認したり、経理担当者に質問したり、その場で追加資料をお願いしたりすることがあります。
そして、その作業場所になるのが、いわゆる監査部屋です。
監査部屋は、クライアント先の会議室や応接室の一角であることが多く、そこに監査チームが集まって作業を進めます。
外から見ると、監査人が部屋にこもって黙々と何かしているように見えるかもしれませんが、実際にはその中でかなり地道な作業が行われています。
往査で何をする?監査部屋での仕事内容
往査中に監査部屋でしていることは、四半期レビュー、中間監査、期末監査で多少違います。
ただ、たとえば期末監査であれば、各メンバーに担当する勘定科目が割り振られており、それぞれが自分の担当科目の検証を進めていくことになります。
3人での往査であれば、1番年次が低いスタッフが、比較的難しい論点の少ない科目を担当することが多いです。
たとえば、現預金、前払費用、未払費用、固定資産の新規取得や除却、PL科目のうちSG&A(販管費)などです。
次に、2番目の年次のスタッフが、やや難しい論点のある科目を担当します。
たとえば、固定資産の減損や、PL科目のうち本業にかかる売上などです。
そして、一番年次が上のスタッフ、いわゆるインチャージが、税金科目を担当したり、他のスタッフが作成した監査調書のレビューをしたりします。
クライアントによっては、銀行残高確認状や売掛金残高確認状の送付数がかなり多く、返信の有無や相違の有無を確認するだけのスタッフがヘルプで来ることもありました。
また、引当金が正しく計上されているかの検証だけを担当するスタッフが投入されることもありました。
つまり、往査中の監査部屋では、主に次のようなことをしています。
- 資料や証憑の確認
- 経理担当者への質問
- 追加資料の依頼
- 監査調書の作成
- 他メンバーが作成した調書のレビュー
- 確認状の管理や引当金などの検証
華やかな仕事というより、かなり泥臭く、地道な作業が多いです。
そのため、外から見る「スーツ姿のプロフェッショナル」という印象と、実際にやっていることのギャップに驚く方も多いと思います。
USCPAで監査法人を目指す方は、往査で何をするかを知っておくと、入社後のギャップを減らしやすくなります。
USCPAがBIG4監査法人に入る前に知っておくべきこと5選を参考にしていただけます。
監査部屋はどんな場所?
監査部屋として使われるのは、会議室や応接室であることが多いです。
きれいで立派な部屋を用意してもらえることもありますが、実際に作業しやすいとは限りません。
おしゃれだけど暗めの間接照明だけだったり、おしゃれだけど座り心地がいまいちな椅子だったりして、見た目はいいのに作業環境としては微妙なこともありました。
贅沢に聞こえるかもしれませんが、そんな環境では、ノートPCで長時間作業すると、目が疲れるし肩も凝ってしまいます。
監査部屋というと静かで厳粛な空間を想像するかもしれませんが、実際には、作業に追われてピリピリすることもあれば、雑談で妙に盛り上がることもあります。
クライアントの目が届きにくい場所だからこそ、チームの雰囲気が色濃く出るのも監査部屋の特徴です。
監査法人の往査で困ったこと5選
BIG4監査法人で監査をしていて、特につらい仕事だと感じていたわけではありません。
ただ、往査ならではの地味に困ることはありました。
ここでは、実体験ベースで「往査で困ったこと」を5つ紹介します。
監査法人の往査で困ったこと5選
- お手洗いになかなか行けない
- 服装とやることが見合っていない
- 雑談が多いメンバーばかりで監査手続きが進まない
- ランチにお金がかかる
- 仕事帰りに飲みに行きにくい
(1)お手洗いになかなか行けない
クライアントによっては、監査部屋とお手洗いの間にセキュリティーチェックが設けられていて、セキュリティーカードがないとお手洗いに行けないことがあります。
しかも、そのような会社はセキュリティーが厳しく、監査人にはカードを貸してくれないこともあります。
そうなると、お手洗いに行くたびに、社員さんに声をかけてカードを借りなくてはなりません。
男性の監査スタッフは、出勤前とランチ後の2回で十分という人も多かったのですが、どこは2時間くらいごとにお手洗いに行きたくなるタイプでした。
そのため、1日2回くらいは「お手洗いに行きたいです!」と宣言して、カードを借りていました。
自由にお手洗いに行けないというのは、かなり地味ですが、確実に面倒でした。
(2)服装とやることが見合っていない
監査人としてふさわしい服装ということで、スーツにヒールでクライアント先に行っていました。
でも、実際にやっていることは、重いファイルを運んだり、大量のコピーやスキャンのために立ちっぱなしになったりと、それくらい実務は泥臭いです。
正直なところ、ジャージにスニーカーの方が向いているのではと思うことが何度もありました。
往査中に監査部屋でやっていることは、想像以上に地味です。
きっちりした服装で行っているのに、実際には資料と格闘しているだけ、というギャップがありました。
もう少し服装が楽なら、目や肩の疲れも少しはマシなのに、と思っていました。
(3)雑談が多いメンバーばかりで監査手続きが進まない
毎日、一日中、少ないメンバーで狭い部屋にこもって監査手続きをするので、メンバー同士はかなり仲良くなります。
そうなると、昨夜観たテレビの話から、今日食べたいランチ、週末に行きたい観光スポットまで、幅広い雑談が始まることがあります。
監査手続きが計画よりかなり遅れている場合は、そんなにのんびりしていられません。
でも、そこまで切羽詰まっていないと、雑談が続いて手が止まることもありました。
特に女性が多い現場だと、何でも言い合えて議論が活発になるという良い面もありましたが、雑談ばかりで一向に手が動いていないということもありました。
監査部屋は、やるときはやるけれど、のんびりもできてしまう、不思議な空間でもありました。
(4)ランチにお金がかかる
大学在学中に公認会計士試験に合格し、そのまま監査法人に入所したスタッフの中には、かなりお金の使い方が豪快な方もいました。
忙しさからくるストレスの影響だったり、家がお金持ちだったり、実家住まいで自由にお金が使えたり、などの理由があると思います。
どこがアサインされたクライアントは、ほぼ外資系企業だったので、六本木、赤坂、麻布近辺にオフィスがあることが多く、ランチもそれなりの価格帯になりがちでした。
ランチで2,000円から3,000円ということもしょっちゅうで、さらに残業食で2,000 円、食事代だけで1日5,000円かかることも珍しくありませんでした。
たまには1,000円以下で済ませたいと思っても、そういう流れにならない現場もあり、エンゲル係数は上がり続けました。
一日狭い部屋にこもって監査をしているので、外に出られるランチの時くらい美味しいものを食べたい、という気持ちは分からなくもありません。
でも、毎日それだと、じわじわ財布に効きます。
(5)仕事帰りに飲みに行きにくい
監査法人支給のパソコンを持って通勤していたので、パソコンをなくしたらと思い、仕事帰りに飲みに行くことは避けていました。
酔っぱらってタクシーの中にパソコンを置き忘れるという事件が、監査法人内で時々話題になっていたので、自分はそうなりたくないと思っていました。
そもそも、監査が早く終わることはあまりなく、飲みに行けるような時間に帰れないことも多いです。
仮に時間があっても、体力が残っていないこともあります。
往査は「クライアント先で仕事する華やかな仕事」と思われがちですが、現実はそんなにキラキラしていません。
往査で困ったクライアント対応5選
往査では、監査部屋の中だけでなく、クライアント対応で困ることもあります。
クライアント先で直接やり取りする以上、資料の出し方、質問への反応、担当者の知識や引継ぎ状況によって、監査のしやすさはかなり変わります。
ここでは、実際に困ったクライアント対応を5つ紹介します。
往査で困ったクライアント対応5選
- 英語ペラペラ、会計知識ゼロの経理担当者しかいない
- 人の入れ替わりが多く、過去を知る人がいない
- 監査にかける時間を減らそうとしてくる
- 監査部屋の確保を忘れたり、監査対応者が休暇中だったりする
- デートに誘ってくる
(1)英語ペラペラ、会計知識ゼロの経理担当者しかいない
どこのクライアントが外資系企業だったからかもしれませんが、外国人のCFOが英語ができるだけの人を経理担当者として採用してしまい、会計知識がまったくない方が経理を担当しているパターンがありました。
謎の決算修正仕訳を切っていたり、意味不明な残高(マイナス残など)になっている勘定科目があったりして、質問しても、何を聞かれているのかもわからないということもありました。
一から経理業務の説明をしていると、監査をしに来たのか、簿記の先生をしに来たのかわからない気持ちになることもありました。
(2)人の入れ替わりが多く、過去を知る人がいない
外資系企業は、ステップアップ転職をする方が多く、前年の監査対応をしてくださった経理担当者が、翌年にはもういないということがよくありました。
日系企業ほど引継ぎ文化が強くないのか、前年の監査のことは何も聞いていないという後任者も多かったです。
後任者より、こちらの監査人の方が会社の経理に詳しい、ということもありました。
そのため、こちらが質問するだけでなく、過去の経理処理について反対に聞かれることもあります。
時間はかかりますが、改めて質問されることで、新しい発見があることもありました。
(3)監査にかける時間を減らそうとしてくる
これは地方出張で、老舗の日系企業がクライアントだったときの話です。
「先生、お弁当を用意したので召し上がってください」
「お茶菓子を用意したので、休憩してください」
という感じで、なるべく監査部屋から連れ出されることがありました。
お気遣いだった面もあると思います。
でも、監査にかける時間が減れば、質問や指摘事項も減ると思われていたようでした。
ですが、このようなお気持ちはお受けできません。
また、当然ですが、必要な監査手続きが終わらない限り監査は終わりません。
結局、監査人側の残業時間が増えるだけでした。
ちなみに、外資系企業がクライアントだと、かなり放置気味で、「先生」と呼ばれることもありませんでした。
同じ往査でも、クライアントの文化によって雰囲気はかなり違います。
(4)監査部屋の確保を忘れたり、監査対応者が休暇中だったりする
監査をあまり重要視していないのか、往査期間を事前に伝えていても、監査部屋が確保されていなかったり、監査対応者が休暇中だったりすることもありました。
監査部屋がないため、仕方なく倉庫のようなスペースで監査手続きをしたこともあります。
また、監査対応をしてくれる予定だった経理担当者の代わりに、他の部署の社員さんに対応してもらうことになったこともありました。
当然、余計な時間がかかります。
結果として、翌年の監査報酬の請求額が高くなったりします。
お互い合意して決めた往査期間中は、作業場所と対応者の確保をしっかりしてもらえると助かります。
(5)デートに誘ってくる
普通の会社と同じで、監査法人のスタッフ側も、クライアントの経理担当者側も、若手が多いです。
そのため、恋愛に発展すること自体はあります。
ただ、往査中にあからさまにアプローチされると、監査の進行に影響が出ます。
クライアントの受付の女性が、監査人のプライベートな連絡先を聞き出そうとしている場面を見たこともありました。
おそらく、公認会計士は将来有望だと思われているのかもしれません。
ちなみに、女性の監査人は、少なくとも私の周囲ではあまりモテていませんでした。
モテていたのは、監査法人でアシスタント業務をしている総務、人事、経理などのバックオフィスの女性たちで、法人内結婚に至るケースは多かった印象です。
監査法人の恋愛事情については、BIG4監査法人だとモテる?男性・女性公認会計士、職場内・職場外恋愛で解説!を参考にしてください。
以上、「監査法人の往査とは?BIG4出身USCPAが仕事内容と現場のリアルを解説」でした。

でも、困ったことを挙げている割には、あまり困っていない気がするんだけど……。

往査は大変な面もあるけれど、監査法人で働くリアルがよくわかる経験でもあったよ。
若くないと体力的にきつい部分はあるけれど、いろいろな人と働けた経験は貴重だったと思う。
USCPAに合格したら、監査法人で働くという経験をぜひしてみてほしいなあ。
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