USCPA(米国公認会計士)というと、転職や昇進、年収アップに活かす資格というイメージが強いかもしれません。

ですが、USCPAの専門性は、有償の仕事だけでなく、無償の社会貢献にも活かせます。

それがプロボノです。

 

会計や英語の知識は、NPO・NGO、教育活動、国際支援、地域支援など、さまざまな場面で求められます。

しかも、プロボノは「人の役に立てる」だけでなく、USCPA本人にとっても大きな学びや経験になります。

どこも、大学時代からNGO支援に関わり、USCPA取得後は会計支援、経理指導、業務フローの見直し、会計システム導入のアドバイス、簿記セミナーなどの形でプロボノをしてきました。

 

この記事では、USCPAにとってのプロボノとは何か、何ができるのか、どんなメリットがあるのか、どう始めるとよいのかを整理します。

1.プロボノとは?USCPAにも身近な専門家ボランティア

プロボノとは、自分の専門知識やスキルを活かして行う社会貢献活動のことです。

ラテン語の「pro bono publico (公共善のために)」の略です。

単なる「手伝い」ではなく、専門家として価値を提供するのが特徴です。

 

USCPAであれば、たとえば次のような形があります。

  • 会計処理の助言
  • 経理フローの見直し
  • 予算管理の支援
  • 英語を使う会計支援
  • 会計や簿記の教育支援

 

(1)ボランティアとの違い

ボランティアは、時間や労力を提供する活動です。

一方、プロボノは、スキルを提供する活動です。

どちらも大切ですが、USCPAのように専門性がある人は、スキルを使った支援の方が強みを出しやすいです。

 

(2)副業との違い

副業は、基本的に報酬を得ることを前提とした活動です。

一方、プロボノは、原則として無償です。

ただし、無償だから価値が低いわけではありません。

むしろ、相手にとっては専門家の知見を得られる大きな支援であり、自分にとっても経験の幅を広げる機会になります。

 

(3)プロボノは複業(パラレルキャリア)の1つ

プロボノは、USCPAの複業(パラレルキャリア)の1つと考えるとわかりやすいです。

本業以外でも、自分の専門性を活かして役に立つ。

そのうち、営利目的ではないものがプロボノです。

 

複業全体の考え方については、USCPAの複業(パラレルキャリア)とは?本業以外でキャリアを広げる考え方で詳しく整理しています。

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2.USCPAはプロボノで何ができる?

USCPAは「会計がわかる」「英語がわかる」というだけでなく、業務の整理や改善まで含めて支援できることがあります。

具体的には、次のようなことが考えられます。

 

(1)NGO・NPOの経理支援

小規模な団体では、会計に詳しい人がいないことも多いです。

そのため、

  • 記帳方法の整理
  • 証憑の管理方法の整備
  • 月次管理のルール作り
  • 決算対応の助言

といった支援だけでも、かなり喜ばれます。

 

(2)経理業務フローの見直し

「なんとなく回っているけれど、非効率」という団体は少なくありません。

そこで、

  • 誰が何をやるかの整理
  • 業務の流れの見える化
  • ミスが出やすい箇所の改善
  • チェック体制の整備

といった形で、業務フローの見直しを支援できます。

 

(3)会計システム導入の助言

Excel中心で管理している団体では、会計システム導入の相談を受けることもあります。

  • 何を目的に導入するのか
  • どの運用なら現場で回るのか
  • どこまで整備が必要か

を整理してあげるだけでも、実務に直結する支援になります。

 

(4)会計・簿記の講師や研修支援

USCPAは、知識を「自分がわかる」だけでなく、「人に教えられる」形にしやすい資格です。

  • 簿記の基礎を教える
  • 会計の考え方を伝える
  • 英文会計入門セミナーをする
  • 経理職を目指す人向けに学習支援をする

といった活動も、立派なプロボノです。

 

(5)英語が必要な会計支援

ここはUSCPAの強みが特に出やすいところです。

日本の会計士や税理士でも会計支援はできますが、英語で会計の説明が必要な場面では、USCPAの強みがより発揮されやすいです。

  • 英語資料の読み解き
  • 海外関係者との会計コミュニケーション
  • 英語での会計説明
  • 国際的な支援現場での対応

こうした場面では、「英語も会計もわかる人」がかなり貴重です。

 

 

3.USCPAがプロボノをするメリット

プロボノは無償です。

それでも、USCPAにとってやる価値は十分あります。

 

(1)本業では得にくい経験ができる

これは大きいです。

たとえば、監査法人で監査をしている人は、本業では自分で決算書を作る経験をしにくいです。

逆に、事業会社で経理をしている人は、本業では監査の立場を経験しにくいです。

プロボノでは、こうした本業と違う立場の経験をしやすくなります。

経験の幅が広がると、会計の見え方も変わります。

 

(2)会計の実務の幅が広がる

本業では役割が決まっていることが多いです。

でも、プロボノでは、より広い視点で会計や業務を見ることになります。

  • 実務全体の流れ
  • 現場で困っていること
  • 仕組みの弱い部分
  • 教育が必要なポイント

こうしたものを現場で見ることで、会計実務の理解が深まります。

 

(3)社会貢献と自己成長を両立できる

誰かの役に立てるのは、やはり嬉しいものです。

しかも、プロボノは「いいことをした」で終わりません。

自分の専門性をどう伝えるか、どう活かすかを実地で学べます。

相手のためにもなり、自分の成長にもなる。

ここがプロボノの強みです。

 

(4)将来の複業や副業につながることもある

プロボノは直接の報酬はなくても、経験・実績・信頼という形で帰ってくることがあります。

  • 教える経験がつく
  • 支援実績ができる
  • 自分の得意分野が見えてくる
  • 人とのつながりが広がる

こうした積み重ねが、将来の有償の複業や副業につながることもあります。

 

4.USCPAがプロボノをするときの注意点

プロボノは良い活動ですが、無償だからこそ雑にやってよいわけではありません。

 

(1)無償でも責任は軽くならない

相手にとっては、大事な業務の支援です。

無償だから適当でいい、ということにはなりません。

引き受ける以上は、責任感を持って対応する必要があります。

 

(2)できること・できないことを先に明確にする

ここはかなり大事です。

  • どこまで支援するのか
  • 何は対応できて、何は対応できないのか
  • いつまで関与するのか
  • 最終判断は誰がするのか

これを曖昧にすると、後でトラブルになりやすいです。

 

(3)資格上・立場上できないこともある

たとえば、外部監査を手伝う場面があっても、監査報告書に署名できるわけではありません。

また、日本の制度上、税務や法務など他資格の領域に踏み込み過ぎるのも避けた方がよいです。

「専門性を活かすこと」と「やりすぎること」は別です。

線引きはしっかりしておきましょう。

 

(4)本業の守秘義務や利益相反に注意する

本業で知り得た情報を持ち出すのは当然NGです。

また、本業のクライアントや取引先に近いところで活動する場合は、利益相反の観点でも注意が必要です。

プロボノだから安全、とは限りません。

本業との関係は冷静に見ておきましょう。

 

 

5.USCPAどこのプロボノ経験

ここでは、どこの経験を例として少しお話しします。

どこは、大学時代からあるNGOの支援をしてきました。

最初は毎月の定額寄付やイベント運営など、一般的なボランティアに近い形でした。

ですが、USCPAになってからは、会計の専門性を活かした関わり方に変わっていきました。

 

たとえば、

  • 経理担当者への指導
  • 経理業務フローの見直し
  • 会計システム導入のアドバイス
  • コスト削減のアイデア出し

といった支援です。

 

また、途上国で、経理職に就きたい女性向けに、簿記セミナーの講師をしたこともあります。

会計教育の支援や、会計検定導入のサポートに関わったこともありました。

 

こうした活動は、基本的には無償でした(渡航費と宿泊費は主催団体が負担してくれたことはあります)。

ただ、無償でも「価値がない」どころか、むしろUSCPAとして強く役に立てた実感があります。

 

特に印象的だったのは、日本の会計専門家では対応しにくい、英語での会計説明が求められる場面です。

このときほど、「USCPAでよかった」と思ったことはありません。

USCPAは資格名そのものよりも、英語×会計で実際に役に立てることが強みなのだと感じました。

 

  • どこは、他の人より「貢献したい」という気持ちが強いようです。
  • その裏には「役に立っていないと存在している意味がないと考えてしまう自信のなさ」があります。
  • この自信のなさ、自分の中の不安を和らげてくれるのが「プロボノ」なのだと思います。
  • 「プロボノ」という、自分にしかできないことがみつかったのは、非常に幸運なことだったと思っています。

 

 

6.USCPAがプロボノを始めるには?

「やってみたいけれど、どう始めればいいかわからない」という方も多いと思います。

最初は、難しく考えなくて大丈夫です。

 

(1)まずは身近な団体や知人経由で探す

最初から大きな団体に入る必要はありません。

  • 知人が関わっているNPO
  • 学校や地域の団体
  • 以前から応援している活動
  • 教育や国際支援の場

など、身近なところから探す方が始めやすいです。

 

(2)最初は小さな支援から始める

いきなり顧問のような立場にならなくても大丈夫です。

  • 1回相談に乗る
  • 書類の整理を助言する
  • 簡単な経理フローを見る
  • 勉強会を1回やる

この程度からでも十分です。

 

(3)業務範囲を決めてから受ける

プロボノは善意で始まる分、境界が曖昧になりやすいです。

だからこそ、

  • 何をするのか
  • 何はしないのか
  • どのくらいの頻度でやるのか

を決めてから始めるのがおすすめです。

 

(4)継続できる時間量で受ける

本業がある以上、無理なかかわり方は続きません。

月1回なのか、週1時間なのか、単発なのか。

自分にとって続けやすい形を選ぶことが大切です。

 

(5)有償の副業が難しい人にも、プロボノは始めやすい

勤務先のルールや本業との関係で、有償の副業が難しい方もいます。

そんな場合でも、プロボノなら始めやすいことがあります。

もちろん、無償であっても会社ルールの確認は必要です。

ただ、報酬を目的としない支援は、有償の副業よりハードルが低いことがあります。

 

また、

  • まずは経験を積みたい
  • 人に教える練習をしたい
  • 自分の強みを確かめたい
  • 社会貢献もしたい

という方にとって、プロボノはよい入口になります。

 

  • USCPAライセンス取得にあたり実務経験が必要な場合、経験を積む入口として、プロボノが選択肢になることもあります。
  • どこも、オーストラリアのNGOでの経理インターン(少し違いますが、プロボノのようなものです)が、会計キャリアの一歩目になっています。

 

 

まとめ:USCPAはプロボノでも専門性を活かせる

USCPAは、転職や昇進のためだけの資格ではありません。

会計や英語の知識を活かして、無償でも人の役に立つことができます。

それが、プロボノの大きな魅力です。

 

  • NPO・NGOの会計支援
  • 経理業務の改善
  • 会計システム導入の助言
  • 会計教育やセミナー
  • 英語が必要な会計支援

 

こうした活動は、相手にとって助けになるだけでなく、自分にとっても大きな経験になります。

有償の副業はまだ難しい。

でも、自分の専門性を活かして何かしたい。

そんな方は、プロボノから始めてみるのも有力な選択肢です。

 

USCPAの価値は、報酬のある仕事だけで決まるものではありません。

専門性をどう使うかで、キャリアの広がり方はかなり変わります。

プロボノについては、このような本も参考になります。

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まだUSCPAの勉強を始めていない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。

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どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。

USCPA試験やキャリアだけではなく、プロボノについても書いています。