FARの銀行勘定調整(Bank Reconciliation)のTBS問題に苦労するUSCPA受験生が多いよ。
分かってしまえば難しくないのだけど、なかなか理解するのが難しいのかな。
理解してもらって得点源になるように、どうやって解けばいいのかTBS問題の解法を解説していくね。
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【FAR基礎講座】銀行勘定調整(Bank Reconciliation)徹底解説!TBS問題の解き方も。
USCPA試験のFARの中で、特に銀行勘定調整(Bank Reconciliation)のTBS(Task-Based Simulation)問題に苦手意識を持っている受験生は少なくないです。
複数の資料を読み解き、細かな調整を行う必要があるため、混乱しやすい分野なんですよね。
ですが、心配はいりません!
このトピックは体系的なアプローチを身につければ、確実に得点源に変えることができます。
この記事では、銀行勘定調整TBSを攻略するためのステップ・バイ・ステップの解法。
さらに、暗記に役立つテクニック、そして試験直前に見直せる要点サマリーまで丁寧に解説します。
もし音声で理解したい場合は、USCPAどこチャンネルの【FAR基礎】銀行勘定調整(Bank Reconciliation)解説 をご覧ください。
USCPA試験FARの試験対策も参考にしてください。
USCPA試験FARのBlueprintも参考にしてください。
1. なぜ銀行勘定調整はTBSで問われるのか?(FAR Blueprint上の位置づけ)
銀行勘定調整は、USCPA試験の設計図である、AICPAのBlueprints(ブループリント)に明確に記載されている重要論点です。
FAR科目における位置づけは以下の通りです。
銀行勘定調整のBlueprint上の位置づけ
- 試験範囲 (Content Area): Area II – Select Balance Sheet Accounts (配点30–40%)
- 該当タスク (Representative Task): Reconcile the cash balance per the bank statement to the general ledger. (銀行取引明細書の現金残高と総勘定元帳を照合調整する。)
- 要求スキル (Skill Level): Analysis (分析)
ここで重要なのは、要求されるスキルレベルが「Analysis(分析)」である点です。
これは単なる知識の記憶(Remembering and Understanding)や適用(Application)を超えています。
そして、「Analysis(分析)」ということは、銀行勘定調整は、TBS問題で問われるということを示しています。
TBS問題にて、複数の資料を比較検討し、矛盾点や誤りを見つけ出して修正する能力が問われるわけですね。
ちなみに、どこは実務で銀行勘定調整を担当していたことがあります。
銀行勘定調整(Bank Reconciliation)はBank Rec(バンクレック)と呼ぶことが多く、月次決算・年次決算では必ず行います。
決算は、最初に現預金残高を固めるのがマストです。
現預金残高が動くと、他の科目も動いてしまうからです。
銀行勘定調整は、会計システムでほぼ自動でできるようになっており、差異が出ているところをつぶしていくだけとなっています。
システム上は、差異がなくならないと現預金勘定が締まらないようになっており、現預金勘定が締まらないと、決算も締まらないようになっていました。
Bank Recを担当するのは、不正を防ぐため、Segregation of Dutyにしたがって、現預金の記帳に関わらない人です(日本の簿記で言うと、入金伝票や出金伝票の記帳を担当しない人)。
2. 銀行勘定調整のTBS問題の全体像と攻略の心構え
銀行勘定調整のTBS問題は、通常、前月の調整表、総勘定元帳(General Ledger)、銀行取引明細書(Bank Statement)、そして追加情報といった複数の資料(Exhibits)で構成されています。
多くの合格者が実践した、攻略のための心構えは以下の4つです。
銀行勘定調整のTBS問題攻略の心構え
- 心構え1:最終目標を理解する。
- 心構え2:解きやすい側から始める。
- 心構え3:資料を比較することから始める。
- 心構え4:前月の調整表をロードマップとして活用する。
心構え1:最終目標を理解する
銀行勘定調整のTBS問題を攻略する際の心構えの1つ目が、最終目標を理解する (Understand the Final Goal) 。
銀行勘定調整の最終的なゴールは何でしょうか?
それは、異なる2つの出発点、つまり「銀行残高(Balance per Bank)」と「帳簿残高(Balance per Books)」からスタートし、それぞれに必要な調整を加えて、最終的に一つの正しい「調整後現金残高(Adjusted/True Cash Balance)」に一致させることです。
このゴールを常に意識することが、銀行勘定調整のTBS問題を解く上での指針となります。
心構え2:解きやすい側から始める
銀行勘定調整のTBS問題を攻略する際の心構えの2つ目が、解きやすい側から始める (Start with the Easier Side) 。
銀行側と帳簿側のうち、調整項目が少ない、あるいは単純で解きやすそうな方から手をつけるのが賢明です。
片方の調整後残高を自信を持って計算できたら、時間を無駄にせず、その数値をもう片方の最終残高としても入力しましょう。
心構え3:資料を比較することから始める
銀行勘定調整のTBS問題を攻略する際の心構えの3つ目が、資料を比較することから始める (Begin by Comparing the Documents)。
実践的な最初のステップは、銀行取引明細書と総勘定元帳を突き合わせ、一致する項目にチェックを入れ、差異がある項目(未処理の取引やエラー)を洗い出すことです。
ここから全ての調整が始まります。
心構え4:前月の調整表をロードマップとして活用する
銀行勘定調整のTBS問題を攻略する際の心構えの4つ目が、前月の調整表をロードマップとして活用する (Use the Prior Month’s Reconciliation as a Roadmap)。
もし試験問題に前月の銀行勘定調整表が提供されていたら、それは大きなヒントです。
この資料には2つの重要な役割があります。
第1に、解答の正しいフォーマットや構造を思い出させてくれます。
第2に、前月時点での未達預金(DIT)や未取付小切手(O/S)の具体的な金額や小切手番号といった、当月の調整計算に不可欠な情報が含まれています。
必ず最大限に活用しましょう。
3. 銀行勘定調整項目の完全分類:暗記法と一覧表
調整項目は多岐にわたりますが、決まったパターンがあります。
ここでは、記憶を助けるニーモニック(語呂合わせ)と、全ての項目を網羅した一覧表で整理します。
(1)暗記法(Mnemonics)の紹介
覚えやすい語呂合わせを紹介します。
これで混乱することはないでしょう。
銀行側 (Bank Side) の調整
“D. O.” を覚えます。
- Deposits in Transit (未達預金)
- Outstanding Checks (未取付小切手)
の頭文字です。
アメリカの受験生は、”Dottie” という名前で覚えるようです(日本の受験生だと、反対に覚えにくい気がしますね)。
帳簿側 (Book Side) の調整
“S. I. N. B.” を覚えます。
- Service Charges (銀行手数料)
- Interest Income (利息収入)
- NSF Checks (不渡り小切手)
- Bank Collections (銀行による取立)
の頭文字です。
アメリカの受験生は、”Sinbad” という名前で覚えるようです(これは覚えやすい気がしますね)。
(2)調整項目一覧表
銀行勘定調整の調整項目をまとめるとこのようになります。
| 調整対象
(Side) |
項目
(Item) |
概要
(Description) |
処理
(Action +/-) |
仕訳要否
(Journal Entry?) |
| 銀行側
(Bank Side) |
未達預金 (Deposits in Transit – DIT) | 会社が月末日に入金したが、銀行の営業時間後だったため、翌月の銀行取引明細書に記載される預金。
総勘定元帳の入金記録と銀行取引明細書を比較して見つける。 |
加算 (+) | 不要 |
| 未取付小切手 (Outstanding Checks – O/S) | 会社は小切手を振り出したが、受取人がまだ換金していないため銀行口座から引き落とされていない小切手。
総勘定元帳の支払記録と銀行取引明細書を比較して見つける。 |
減算 (-) | 不要 | |
| 銀行側の誤り (Bank Errors) | 銀行が犯した記帳ミス(例:他社の取引を誤って記帳、金額の誤入力など)。
会社側の記録は正しい。 |
誤りの内容による (+/-) | 不要 | |
| 帳簿側
(Book Side) |
銀行手数料 (Service Charges) | 月額手数料やNSF手数料など、銀行が請求した費用。
銀行取引明細書には記載されているが、会社はまだその事実を知らない。 |
減算 (-) | 必要 |
| 利息収入 (Interest Income) | 普通預金口座などで発生した受取利息。
銀行取引明細書には記載されているが、会社はまだその事実を知らない。 |
加算 (+) | 必要 | |
| 不渡り小切手 (NSF Check) | 顧客から受け取った小切手が残高不足で不渡りになったもの。
銀行取引明細書には引き落とし(Debit)として記載されているが、会社はまだその事実を知らない。 |
減算 (-) | 必要 | |
| 銀行による取立 (Bank Collections) | 銀行が会社に代わって売掛金や受取手形などを顧客から回収したもの。
銀行取引明細書には入金(Credit)として記載されているが、会社はまだその事実を知らない。 |
加算 (+) | 必要 | |
| 会社側の誤り (Bookkeeping Errors) | 会社の経理担当者が犯した記帳ミス(例:金額の誤記、取引の記録漏れなど)。
銀行側の記録は正しい。 |
誤りの内容による (+/-) | 必要 |
(3)注意!:よくある間違い
2点注意していただきたいことを挙げておきます。
第1に、不渡り小切手(NSF Check)と未取付小切手(Outstanding Check)を混同しないでください。
NSF小切手は一度入金処理されたものの現金が実在しなかったため、帳簿側の調整です。
未取付小切手は有効な支払いがまだ換金されていないだけなので、銀行側の調整です。
第2に、仕訳(Journal Entry)は、会社自身の記録(帳簿側)を修正する項目のみに必要です。
DITやO/Sのようなタイミングのズレに対して、会社が仕訳を切ることは絶対にありません!
4.ステップ・バイ・ステップで解く!銀行勘定調整TBS問題解法
以下の6つのStepで銀行勘定調整のTBS問題を解き進めましょう。
銀行勘定調整のTBS問題解法
- ステップ1:全資料(Exhibits)を確認し、開始残高を把握する。
- ステップ2:銀行取引明細書と総勘定元帳を突合する。
- ステップ3:帳簿側の調整を行う。
- ステップ4:銀行側の調整を行う。
- ステップ5:特殊項目(無効小切手など)を処理する。
- ステップ6:両サイドの調整後残高を計算し、一致を確認する。
ステップ1:全資料(Exhibits)を確認し開始残高を把握する
ステップ1は、全資料(Exhibits)を確認し、開始残高を把握する (Review All Exhibits and Identify Starting Balances)。
提供されている銀行取引明細書と総勘定元帳から、調整前の「Balance per Bank Statement」と「Balance per Books」を特定し、解答欄に入力します。
ステップ2:銀行取引明細書と総勘定元帳を突合する
ステップ2は、銀行取引明細書と総勘定元帳を突合する (Compare the Bank Statement and General Ledger)。
まず、銀行取引明細書の入金(Credits)リストを、総勘定元帳の入金(Deposits)リストと照合します。
次に、銀行取引明細書の出金(Debits)リストを、総勘定元帳の支払(Checks/Disbursements)リストと照合します。
どちらかのリストにしか存在しない項目が、調整項目となります。
ステップ3:帳簿側の調整を行う
ステップ3は、帳簿側の調整を行う (Perform Book Side Adjustments)。
銀行取引明細書にのみ記載されている項目(会社がまだ知らない取引)を探します。
「S.I.N.B.」を思い出し、銀行手数料、利息収入、NSF小切手、銀行による取立などを特定して調整します。
帳簿側の調整はすべて仕訳が必要になることを絶対に忘れないでください。
ステップ4:銀行側の調整を行う
ステップ4は、銀行側の調整を行う (Perform Bank Side Adjustments)。
主にタイミングのズレが原因です。
「D.O.」を使い、未達預金(Deposits in Transit)と未取付小切手(Outstanding Checks)を特定・集計します。
これらは会社の帳簿上は正しい記録なので、会社側での仕訳は不要です。
上級者向け注意点:DITとO/Sの複雑な計算
TBS問題では、DITやO/Sを単純に見つけるだけでなく、複数の数値を分析して計算する必要がある場合があります。
これは「Analysis」スキルが問われる部分です。
- 未達預金(DIT)の計算
単純に「帳簿にあって銀行明細書にない預金」を探すだけではありません。
たとえば、銀行側の総入金額からスタートし、前月から繰り越されたDITで当月入金された額を差し引き、さらに銀行側のエラー(例:誤った入金)も修正します。
その調整後の銀行入金額を帳簿側の総入金額と比較し、その差額が当月末の新たなDITとなります。
- 未取付小切手(O/S)の計算
同様に、銀行側で決済された小切手総額からスタートします。
これに前月から繰り越されたO/Sで当月決済された額を調整します。
この調整後の銀行支払額を、帳簿側の総支払額(会社側のエラーを修正後)と比較します。
その差額に、前月から繰り越されたO/Sで、いまだに決済されていない小切手を加えたものが、当月末のO/Sの合計額となります。
ステップ5:特殊項目(無効小切手など)を処理する
ステップ5は、特殊項目(無効小切手など)を処理する (Handle Special Items like Voided Checks)。
いくつかの特殊な項目には注意が必要です。
無効小切手 (Voided Check)は、会社が振り出したものの、換金される前に無効にした小切手です。
振り出し時に帳簿残高から減算されていますが、実際には現金は銀行から出て行っていないため、帳簿残高に加算し直す必要があります。
銀行側では元々動きがないため、調整は不要です。
ステップ6:両サイドの調整後残高を計算し、一致を確認する
ステップ6は、両サイドの調整後残高を計算し、一致を確認する (Calculate and Verify Adjusted Balances)。
銀行側と帳簿側の両方で調整項目をすべて足し引きし、最終的な「調整後現金残高」を計算します。
この2つの金額が完全に一致すれば、正しく調整ができたことになります。
5.試験直前用!銀行勘定調整の重要ポイント
試験会場に持ち込む銀行勘定調整の知識を、このサマリーで最終確認しましょう。
目標 (Goal)
銀行残高と帳簿残高を、唯一の「正しい現金残高」に一致させる。
銀行側調整 (Bank Side Adjustments)
イミングのズレが原因。DIT (+) と O/S (-) を調整。
仕訳は不要。
帳簿側調整 (Book Side Adjustments)
会社が未認識の項目が原因。銀行手数料 (-)、NSF小切手 (-)、利息収入 (+)、銀行による取立 (+) などを調整。
全ての項目で仕訳が必要。
エラーの特定 (Error Identification)
誤りが「銀行側」か「会社側」かを見極め、正しいサイドで修正する。
無効小切手 (Voided Check)
帳簿残高に加算する。銀行側は影響なし。
以上、「【FAR基礎講座】銀行勘定調整(Bank Reconciliation)解説!TBS問題の解き方も 」でした。
銀行勘定調整のTBS問題は、一見すると複雑に見えるけど、今回紹介した体系的なアプローチと暗記法を用いれば、恐れなくていいよ。
一つ一つの調整項目を冷静に分類し、ステップに沿って着実に処理することで、必ず正解にたどり着けるからね。
銀行勘定調整をマスターし、FARの合格を確実なものにしてね。
USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
短期合格のコツも記載しています。
(2025/10/29 09:34:22時点 Amazon調べ-詳細)
まだUSCPAの学習を開始していない場合「USCPAの始めかた」も参考にしてください。






